京都駅から車で2時間ほど、観光名所天橋立のある宮津市の隣に与謝郡与謝野町があります。作山古墳群は円墳2基、方墳2基、前方後円墳が5つ並んでいる古墳群です。与謝野町立古墳公園として公園になっており、公園の中に復元整備されています。ちなみに入り口に「加悦町古墳公園」という名前も一緒に書いてあります。入場チケットは「加悦町古墳公園」、パンフレットは「与謝野町立古墳公園」・・・え?どっちが正式名称なの?と混乱しましたが、元々「加悦町古墳公園」だったものが、今は「与謝野町立古墳公園」になっているようです。
復元整備されて並んでいる古墳群は住宅展示場のようで、一度にいろんな古墳が味わえるすばらしい古墳スポットです。ひとつひとつの古墳が比較的コンパクトなのも巡りやすいです。
1号墳は造出(つくりだし=)付きの円墳で、1号墳の造出の下に5号墳(方墳)があるという、変わった古墳の築造をしています。元々5号墳のほうが先にあり、その上に1号墳が建てられたようです。最初に築造されたとされる5号墳の築造時期は古墳時代前期後半、4世紀後半頃、1号墳もそれと大きく隔たらない時期に造られました。最後に造られたのは前方後円墳の4号墳で5世紀初め頃とされています。1号墳から4号墳までは造られた順番に並んでいます。
1号墳から2号墳を眺めたところ
1号墳は直径28メートル・高さ4メートル。二段に築造されています。この古墳群の中で最も格の高い古墳とされています。
2号墳は直径26メートル・高さ3.5メートルの円墳です。古墳群の中では前方後円墳の4号墳と並んで2番目に格が高いとされています。
3号墳は段のない方墳で、一辺17メートル・高さ2メートル。埋葬施設の発掘はされていません。5つの古墳の中では3号墳と5号墳の方墳が、格としては下に当たるようです。
4号墳は墳丘長29メートル。二段築成ですが、後円部の上部は削り取られており、埋葬部分は失われていました。現在は復元されています。
5号墳は一辺13メートル・高さ2メートルの方墳で、一番初めに作られたものです。ほかの古墳のように人の手で土を盛り上げて作ったものではなく、山を削って方墳の形に整えられたようです。
このように、いろいろな形の古墳が並んでいる古墳群は珍しく、貴重なものとされています。
4号墳から3号墳、2号墳を眺めたところ
同じく与謝野町立古墳公園には蛭子山古墳群があります。1号墳は145メートル、3段に築造された高さ16メートルという大きなものです。こちらは4世紀後半頃に築造されたと考えられています。蛭子山古墳群は全部で8基ですが、公園内には3号墳までの3基があります。
蛭子山古墳
こちらの与謝野町立古墳公園は公園に入るのに入園料がかかります。大人300円、小・中学生150円です。入園料を払えば中にある「はにわ資料館」はそのまま入ることができます。こちらで展示されていた国の重要文化財「ガラス釧(くしろ)」。展示は3年毎に一度ということで、見られてラッキーでした!わたしは「釧」が腕輪のことだと初めて知りました。これが出土した大風呂南1号墓は正確には古墳ではなくて、弥生時代後期の墳丘墓です。弥生時代の宝物がこんなにキラキラとキレイなままだということに、歴史のロマンを感じました!
ガラス釧
時間帯が少しお昼とズレていたせいか、人があまりいなかったので、古墳の上でピクニックをさせてもらいました。古墳を見ながらピクニックをすることはあっても、古墳の上でお弁当を食べるというのは初めてでした。とてもキレイで居心地のいい古墳公園なので、私的には今年の「古墳公園オブザイヤー」に認定したいと思います。日本三景のひとつである天橋立観光とセットで行ってほしい古墳です。
作山古墳群
住所:京都府与謝郡与謝野町加悦字明石小字作り山
[All Photos by Mizutani salucoro]
Mizutani salucoro
イラストレーター/マンガ家
1976年千葉県生まれ。女子美術短期大学卒業。現在は事実婚で一児の母。旅行記エッセイ、自身の結婚・離婚・事実婚にまつわるエッセイの著作が多い。旅行エッセイは『30日間世界一周!(全3巻)』『35日間世界一周!!(全5巻)』など。結婚にまつわるエッセイは『結婚さえできればいいと思っていたけど』『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している』など。自著では装丁も全て手がけている。趣味の空手は弐段。古墳好き。
夫婦で2年連続ドナーになるという激レアな体験をマンガにした新刊「
骨髄ドナーやりました!」(少年画報社刊)が発売中。
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