場所 in Between Blues/撮影 Daisuke Kobayashi
世界に誇れる「藍染」の青
徳島の伝統的な藍染の技術は、1968(昭和43)年に「阿波正藍染法」として県の無形文化財に指定されています。 藍染の美しさは、元となる「すくも」によるところが大きく、質の高い徳島のすくもは「阿波藍」と呼ばれ高く評価されているのだそう。深く美しい藍染の青は、JAPAN BLUEとして日本を代表する色として世界でも知られていますよね。
記憶に新しいのは、東京2020五輪のエンブレム。こちらに使用されたのも藍色でした。
藍師と染師によって成り立つ藍染
藍染の元となるすくも作りの工程は、江戸時代からほぼ変わらない伝統的なもの。原料となるタデアイ栽培を経て、「藍師」と呼ばれる職人によってすべて手作業で進められます。
藍染とひと言で表現することが多いですが、実は藍師と染師、それぞれの職人さんがいることで成り立っているのです。重労働のすくも作りが、藍師によって約100日間にかけて行われます。
阿波藍を作る藍師は、徳島県内にはわずか5軒。
そして、藍師によって作られた質の高いすくもを、自らの技術と感性で染物として生み出すのが「染師」。職人によって技法は様々ですが、中でも本藍染の伝統的な手法が「灰汁発酵建て」 です。 現在徳島県内でその技法を継承する染工房はいくつか残っていますが、今回筆者が訪れたのが、そのうちの1軒「in Between Blues」だというわけです。
「青のはざま」という意味の「in Between Blues」店内には、さまざまな青の商品が並べられています。店内は地元の木と藍を掛け合わせた床板や天井板が使われ、藍色に塗られたドアなど空間にも藍を取り入れるこだわりぶり。キャップやTシャツ、オーガニック素材にこだわって作られた藍染のベビーグッズなどが販売されています。
実際に藍染を体験してみる
同店では、藍染を体験することも可能です。ということで筆者は、オーガニックコットンのハンカチを選んで藍染・食藍体験(体験料5,500円~)してみることにしました。
染める前にまず、ハンカチを水で洗います。in Between Bluesでは、微生物の発酵から生み出す灰汁発酵建て藍染を行う ので、染めるものは事前に洗い、余分なものを落としたほうが良いのだそう。
もし染めたいものがある場合は、天然素材のものを選び、予約の際に確認してみてくださいね。
場所 in Between Blues/撮影 Daisuke Kobayashi
洗い終わったら、染めていきます。エプロンと手袋を借りられるので、手ぶらで訪れても大丈夫。海を眺めながら藍染できるという、絶好のロケーション! 天気が良い日はまさに絶景です。
筆者はグラデーションの藍染に挑戦することに。はじめに、ハンカチの上部を握り、全体の3分の1ほどを浸けていきます。液に浸けたら、浸かった部分を片手でしばらく揉みます。その後一旦出して、染まった部分を中心に、丁寧にハンカチを広げます。広げて空気に触れさせることで、まんべんなく染まるのだそうです。ハンカチを浸けて広げる工程を、2~3回行います。
次は、全体の3分の2程度を浸けます。同様の工程を今回は2~3回行います。
最後はハンカチすべてを浸けて、冒頭から繰り返してきた工程を2~3回行うと、浸ける作業は終了です。
最後はバケツの中で、染めたハンカチを洗います。バケツに溜まった水を捨てながら、ハンカチから藍色が出なくなるまで洗い続けます。
洗い終えたら、藍染したハンカチを乾かします。
食べて楽しむ「食藍」もここならでは
藍染したハンカチを乾かしている間、今度は海部藍(海陽町産のオーガニック天然藍)の葉や種を使用したスイーツやお茶が味わえる、「食藍」を楽しんでみることに。
「ブルーベリーと藍の種のインディゴマフィン(350円)」と「INDIGO SEEDTEA(500円)」。徳島県阿南市でこだわりのマフィンを作っている「Planetary Muffin」さんのもので、in Between Bluesでだけ食べられる特別なものです。映えるスイーツですが、味も本当においしく、時間的にもちょうど良いおやつタイムになりました。
藍染体験をしたハンカチは、もちろん持ち帰れます。店主の永原レキさんによると、「藍は天然染料なので、時の経過とともに自然に色あせていきますが、使うたびに変化していく藍色を楽しんでほしい」とのこと。また、藍染のものは、洗濯の際に蛍光増白剤や漂白剤を含まない洗剤で手洗いし、すすぎと脱水の後、直射日光を避けて陰干しすると、色落ちを抑えることができるそうですよ。洗濯機で洗う場合は、他のものと一緒に洗わず単独で洗うことと、アイロンは裏からあてるようにした方がいいそうです。
自分で藍染したハンカチは、愛着もまたひとしお。ハンカチを使うたびに、旅の記憶も思い出されそうです。初心者も丁寧に教えてもらえるので、徳島で伝統的な藍染を体験してみませんか?
[Photos by Chika]
Chika
都内在住、京都をこよなく愛する、コテコテの大阪人。飛行機好きが高じて航空会社のグランドスタッフとして勤務していた経験も。海があるところに行くと癒される。
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