
これまでのあらすじ>>>【私のオーストラリア物語】
ビーチ天国ゴールドコースト

時は2006年、ブリスベン移住生活を始めて約1週間が過ぎたある日のこと。突如海が見たくなり、やってきたのはゴールドコースト。日が暮れるまで海を堪能した筆者、気づけばサーファーズ・パラダイスの街には明かりが灯り始めていました。軽く夕食を済ませ、街を散策したら、足早に今宵の宿バックパッカーズ・ホステルへ。
バックパッカーズ・デビュー

世界中から旅慣れたバックパッカー達が集う「バックパッカーズ・ホステル」。通称バッパーと呼ばれる安宿で、アメニティーは最低限。キッチン・トイレ・バスルームは共用です。今回、予約したのはドミトリーと呼ばれる4人用の相部屋。

部屋の扉を開けると聞こえてきたのは、「グ〜、グ〜」どうやら既に誰かが眠っている様子。電気をつけるわけにもいかず、手探りで空いているベッドを探す筆者。時間はまだ21時を回ったところ、荷物を置きひとまず共有エリアへ行くことに。
旅人たちの交差点

ビール片手にビリヤードを楽しむ男性客達、ほとんどがヨーロッパ出身と見受けられます。バッパー初心者の筆者は、どう振る舞えば良いのかさっぱりわからずソワソワ。

そんな中至極自然な趣きでその場に溶け込む、日本人女性客を発見。聞けば彼女はラウンド(車でオーストラリア各地を一周)中だそう。ここ数カ月はあちこちのバッパーを転々としているとのこと。そんな彼女の旅話は、実に刺激的なものでした。
ラウンド中の大ピンチ

車で「エアーズロック」を目指していた時のこと。荒野のど真ん中で、車がまさかのガス欠。灼熱の太陽の下、なす術もなく途方に暮れること数時間。偶然通り掛かった給油車に助けられ、窮地を脱したのだそう。どうやらそこは地元民すら使わない道だったらしく、給油車が1週間に一度、月曜日に通るだけ。運よくその日だったから助かったものの、そうでなかったら……。当事者でない筆者が想像しただけでも身震いがします。

しかし「苦労して辿り着いたエアーズロックからの眺めは、涙ものの絶景だった」。そう語る彼女の笑顔はどこか誇らしげ。すっかり旅の武勇伝に魅了された筆者、部屋に戻りベッドに入った後もなかなか寝付けません(いつか私も……)。まだ見ぬ素晴らしい景色に想いを馳せながら、眠りについたのでした。
バックパッカーにはなれそうもない

翌朝目覚めると、目の前に広がっていたのは荒野ならぬ荒屋(あらや)。ところどころ剥がれた壁紙、ボロボロのベッド、気のせいか何だか体が痒い気がする。極め付けはシャワールーム、お世辞にも清潔とは言えず、裸足では歩けないほど。そうか、昨夜は暗くて何も見えなかったんだ……。
何というか、夢から一気に覚めたような感覚です。そして気づいてしまった、私は潔癖症だということに。リュック一つで世界を旅するバックパッカーに憧れを抱きつつも、自分には無理かもしれないと悟った日。記念すべきバッパーデビューを飾ったばかりではありますが、これを機に引退となるやも知れません。
注意)キレイで清潔なバックパッカーズも、たくさんあります。
[All photos by Shutterstock.com]
Please do not use the photos without permission.

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Ai Kaneko 暮らし旅ライター
【オーストラリア】役者として映画やミュージックPVなどに出演。現地撮影コーディネーターとしても様々な作品に携わる。【日本】TV番組制作や旅メディア運営を経験 【現在】「暮らすように旅して、旅するように暮らす」をモットーに、”暮らし旅ライター”としてフリーで活動中。
【豪華客船クルーズ最前線】クイーン・エリザベスに乗ってみた!クルーズ新様
Feb 28th, 2023 | kelly
2022年12月、豪華客船の代名詞であるクイーン・エリザベスに初乗船する機会を得ました。パンデミック下で止まっていたクルーズ各船の運航再開以降、私にとっては初めてのクルーズです。今回は、シドニーからメルボルンまで、2泊3日のクルーズでした。3回のレポートになりますが、まずは乗船までのプロローグ編です。今ならではの、クルーズの新様式についてもご紹介します! どうぞ、お付き合いくださいませ。
【オーストラリア現地取材】世界遺産グレートバリアリーフの真ん中に浮かぶ楽
Aug 2nd, 2022 | 窪咲子
この夏、ケアンズやゴールドコーストへの直行便が再開し、オーストラリアがますます身近に! オーストラリア東海岸、世界遺産グレートバリアリーフの中央に浮かぶハミルトン島は、世界屈指のリゾートアイランド。「ハモ(Hamo)」の愛称で知られ、長期休暇で訪れるオーストラリア人も多いといいます。憧れの絶景としても人気のホワイトヘブン・ビーチ、ハート・リーフ、グレートバリアリーフを見るツアーの拠点にもなっています。今回、クイーンズランド州のプレスツアーに参加し、ハミルトン島を訪れたので、その魅力をご紹介します。新型コロナウイルス感染症に関連するオーストラリア出入国の状況も。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜 Vol.12 慣れとい
Jul 2nd, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第12回は、「ときめきを維持するヒント」をお伝えします。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.11 理想のシェ
Jun 25th, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第11回は、「極楽シェアハウス生活」の巻。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.10 シェアハウ
Jun 18th, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第11回は、「シェアハウス探しでショックだった出来事」をご紹介します。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.9 所変われば人
May 14th, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第9回は「環境が変わると、キャラも変わる」というお話。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.8 人生初のバッ
May 7th, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第8話は「生まれて初めてバックパッカーズに泊まる」の巻。
【オーストラリアの不思議&驚き14選】UFO・オーロラ・ヌーディストビー
May 6th, 2022 | 金子 愛
「世界最古のアレ」や「世界一コレが多い国」などなど……、さまざまな ”世界一” を持つオーストラリア。今回は、在豪11年の暮らし旅ライター金子 愛が、そんな知られざるオージートリビアを大公開! 明日、友達にちょっと自慢したくなること請け合いです。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.7 迷いは突然に
Apr 30th, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。第7回は、「ブリスベンに暮らし始めたものの、突如迷いに襲われる」の巻。
【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.6 ブリスベンと
Apr 23rd, 2022 | 金子 愛
夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう.....。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。今回は、ブリスベンの魅力についてお話しします。