諏訪富士とも呼ばれる蓼科山 そのアクセス
南に位置する天狗岳から望んだ蓼科山。「日本百名山」の著者・深田久弥によれば、諏訪から蓼科山を望むと完全な円錐形をしているので「諏訪富士」と呼ばれたそうです。特に頂上部分は、どこから見ても端正な形を崩さず、蓼科山が名山と呼ばれる理由もここにあると記しています。
蓼科山への登山ルートは6つあるそうです。なかでも「7合目登山口」からのルートは、初心者でも2時間ほどで山頂に立つことができます。
交通のアクセスは中央道諏訪ICから「七合目登山口」まで1時間15分ほど。ビーナスラインと呼ばれる、高原地帯の美しい森を走り抜けて登山口に向かいます。
7合目登山口の標高はすでに1,900mもあり、けっこう高い場所にあるのです。2,500mを超える蓼科山ですが、600mちょっと登れば山頂という計算になります。大きな駐車場で100台ほどの車が止められます。ちなみにトイレもあります。
登山口には「蓼科神社」と書かれた鳥居が建っていました。山頂にある蓼科神社奥宮を祀る「一の鳥居」なのですね。
この日の天気は上々。しばらくは樹林帯を歩きます。苔むした林に朝日が差し込んで輝いています。
20分ほど進み「馬返し」と呼ばれる地点からは少しずつ急坂になります。「馬返し」というのは、馬でさえ登ることができずに引き返してしまうという意味なのです。
登山口から1時間10分ほどで「将軍平」と呼ばれる2,350m地点にやってきました。ここは4方向からの登山道が合流する地点で、蓼科山荘の前に平らな広場があります。この日は休憩する人たちで混雑していました。
将軍平からは急峻な山道に
将軍平から山頂までは傾斜が大きくなります。結構な急登になるのです。
とはいえ山頂まで40分ほどの辛抱。ゴロゴロした大きい岩が山頂まで続き、途中には鎖場もあります。
鎖場では鎖だけに体重を預けず、三点支持で登ります。三点支持は四肢のうち三肢で体を支え、一肢だけを自由にして次の手がかり・足場へ移動します。鎖はいざという時に使ってください。気を付けてゆっくり登れば大丈夫です。
そして山頂のへりにある蓼科山頂ヒュッテが見えてきました。もうここまで来れば、ひと安心です。とはいえ、蓼科山の山頂は広いのです。
蓼科山の山頂には火口があるのだそうで、その直径は150メートルほどといいます。広い山頂には、太古の昔の噴火による溶岩の大きな岩がゴロゴロしていました。その中心に蓼科神社奥宮が祀られています。
かなり広く、しかも少しガスがかかってきたので、最高地点はどこにあるのか、なかなかわかりませんでしたが、ようやく標識を発見! 標高2,531m地点に到着です。
ガスがかかっているので遠くまで見渡すことはできませんでしたが、上の写真は霧ヶ峰の方向でしょうか。
そして、こちらは登り口方向の女神湖かしら。快晴なら、その向こうに北アルプスが見えるといいます。
下山して、ふたたびやってきた将軍平。蓼科山荘の前の広場にはベンチも置かれています。ちょうどお昼の時間なので大勢の登山者が昼食をとっていました。絶好の休憩ポイントなので、ここで昼食をいただきました。
この日はカップラーメンとラーメン用の水、ガスバーナーを持ってきました。経験した方はお判りでしょうが、山で食べるカップラーメンはたいへんおいしく感じますね。大汗をかいて、体が塩分と水分を欲しているからなのでしょうか。ごちそうさまでした。
住所:長野県北佐久郡立科町芦田八ヶ野
シカの棲む森にひっそり テラス蓼科リゾート&スパ
下山後、登山口から30分ほど、蓼科の森に佇むテラス蓼科リゾート&スパを訪ねました。以前は主にトヨタの保養施設だったらしく存在を知らなかったのですが、たいへん居心地の良いホテルなのです。
ちなみにJR茅野駅から送迎バスが出ています。所要時間は30分ほどですから、とても近いですね。詳しくはホテルにお問い合わせください。
上の写真はスパへ向かう渡り廊下から。目の前には八ヶ岳連峰が広がっていました。蓼科はしばしば訪れているのですが、目の前に八ヶ岳が広がる宿はそうありません。
「テラス蓼科」と名付けられているように、建物からテラス、芝生広場が延びて、その向こうに蓼科の森が広がっているのです。
到着してホテル脇の美しい森を散歩していると、たくさんのシカに出会いました。シカはじっとこちらを見ていますが、逃げる様子はありません。後でホテルスタッフの方に伺ったところ、周囲の森にシカが家族で棲んでいるらしいのです。新鮮な驚きでした!
さて客室です。天井も高く広々として、調度類のセンスもよいのです。そして大きな窓から蓼科の森が広がります。部屋の位置にも寄りますが、八ヶ岳の山なみも目の前にできるかもしれません。
露天風呂からは八ヶ岳の絶景
浴室へのアプロ―チも考えられています。上の写真のように、いったん屋根付きの廊下に出て、森の息吹を感じながら浴室に向かいます。
こちらは内風呂です。目の前の低くなった窓からは木立の緑が映り込みます。夜になると、ライトアップされた木立が美しく映えます。
そして八ヶ岳を目の前にした露天風呂は圧巻。この日は多少雲がかかっていましたが、横幅12mもの大きな浴槽の前に八ヶ岳連峰が広がります。スタッフの方によると、このホテルを設計するときに、八ヶ岳を目の前にできるこの露天風呂の位置を最初に決めたとか。
泉質はナトリウム塩化物硫酸塩泉、メタケイ酸が83mgの「美肌の湯」です。そして露天風呂は源泉かけ流しといいます。
ゆったりとしたダイニングでいただく夕食
ダイニングルームも大きな窓が印象的です。鮮やかな緑が室内に差し込んできます。朝晩ここでビュッフェをいただきます。
もちろん手指消毒や手袋・マスクの着用などのコロナの感染防止策がしっかりと取られていました。室内は広くゆったりとしているので、隣の席とのスペースは十二分にあります。
うれしいことに、ビュッフェのどの位置にどんな料理が並んでいるか、ゲストがすぐにわかるように、食卓ごとに配置図と料理メニューが置いてありました。これはとても参考になります。ゲストの立場に立った、こうした心配りがうれしいですね。
信州ならではの蕎麦、そして高原野菜もたっぷり。お肉料理も各種いただきました。
そしてデザートもたっぷり。「心地よく上質な食材と、心地良いダイニング」をコンセプトにしているそうです。その通りのビュッフェで、ごちそうさまでした。
それにしても露天風呂は感動でした。これほど絶好のロケーションはそうありませんから。
[All Photos by Masato Abe]