JR亀崎駅に2014年新設されたエレベータ付き跨線橋 by 名古屋太郎 Wikipediaより
現役の駅舎としては日本最古
JR東海・亀崎駅の駅舎 by Mister0124 Wikipediaより
日本で最も古い駅舎といえば、どこにあると思いますか? 最古の駅舎といっても、現役の駅舎に限って考えるのか、現役で使われていなくても建物が残っていればオッケーとするのか、その辺の判断で答えが変わってきてしまうのですが、現役に限れば、愛知県の知多半島にあります。
知多半島とは、名古屋の真南にある牛角のような陸地です。伊勢湾と三河湾を隔てる半島の東岸には半田市という自治体があり、その半田市を通るJR武豊線の「亀崎駅」の駅舎が、現役の駅舎としては日本最古といわれています。
その歴史は、1886年(明治19年)にまでさかのぼると考えられています。その数年前には、鹿鳴館が東京に完成し、その数年後には、大日本帝国憲法が発布されたような時期です。日清戦争よりも前の時代です。
そのころに建てられた駅舎が現在も現役で使われているのですね。そうした駅舎の価値が評価され、「中部の駅百選」にも指定されています。
「現役」の縛りを外すと日本最古は?
長浜鉄道スクエア(旧長浜駅舎) ©︎ (公社)びわこビジターズビューロー
ただし、この日本最古説にも一定の疑いが存在します。1895年(明治28年)に駅が火災に遭っていて、当時の新聞には、亀崎駅の官舎が消失したと報じられているそうです。
その火災に際して、駅舎も燃えたのではないかという説もあるようですが、駅舎消失説を裏付ける決定的な根拠もないため、亀崎駅の歴史は表向きには1886年(明治19年)までさかのぼれるといわれているみたいですね。
ちなみに、現役の駅舎という縛りを外せば、滋賀県長浜市にある「旧長浜駅舎」が日本最古になります。旧長浜駅舎の完成は1882年(明治15年)で、亀崎駅よりも4年早い段階でつくられています。
東京駅も、この時代には存在しません(着工すらしていません)。当時はまだ、江戸期の暮らしが色濃く残るころ。その時代背景の中で旧長浜駅は、木骨構造の石灰コンクリート造りの洋風建築として建てられました。建物の四隅には花こう岩の切石、窓枠や入り口にはレンガが用いられています。
「駅」という機能を持った建物のそのものが珍しかったため、多くの見物人が押し寄せたようですが、そもそも、長浜に駅を誘致した人たちは、当の長浜の商人だったそうです。
現在、この旧長浜駅舎は、鉄道の博物館(長浜スクエア)の一部となっています。現役の長浜駅から徒歩すぐの距離にありますし、長浜には、「黒壁スクエア」など有名な観光スポットもありますので、周辺を旅する際にはぜひ立ち寄りたいですね。
[参考]
※ 鉄道を見て楽しもう – 長浜鉄道スクエア
※ JR亀崎駅駅舎(かめざきえき えきしゃ) – 亀崎潮干祭
※ JR亀崎駅駅舎 – 半田市
※ JR東海/武豊線(2)亀崎駅。 – 中京テレビ
※ 亀崎駅 – ニッポン旅マガジン
※ 日本最古の駅舎・旧長浜駅舎をじっくり見る – 駅と駅舎の旅写真館