いながきの駄菓子屋探訪(7)愛知県名古屋市北区「つねかわ」

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Aug 15th, 2020

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は愛知県名古屋市北区の「つねかわ」です。

愛知県名古屋市つねかわ

「つねかわ」の「スナックロール」に期待高まる

駄菓子屋が多く残る愛知県の中でも、名古屋市内は人口が多いこともあってか、さらに格段に多く、インターネット上にも情報がたくさんあります。その中でもさまざまなメディアが「つねかわ」というお店の「スナックロール」という、駄菓子を使った鉄板焼メニューを紹介していて、「これはリトルグルメ※だ!」と、ものすごく期待値が高まり訪ねてみました。

※宮永が小学生の時に流行っていた「OH!MYコンブ」というアニメの中で、駄菓子で作る創作料理が「リトルグルメ」と呼ばれていました。1980年付近に生まれた方は覚えている方も多いのではないでしょうか?
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つねかわは名古屋市中心部から北東に伸びる国道19号線、ものすごい交通量の幹線道路沿いにありました。お店の近所の方に「ここ、道路の幅と車の数がすごいですね」と話すと、「昔は片側1車線だったのに、拡張工事でこんなになっちゃった」とのことです。

鉄板のカウンターと駄菓子売り場、味噌おでん

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店内に入ると、右側に大きな鉄板のカウンターが、左側に駄菓子売り場が広がっています。入り口には味噌つぼごと温められているおでん。赤味噌にドボンと漬けて食べる愛知のおでんです。壁に貼ってあるメニューには味や見た目の想像がつかない名前が並んでおり、ワクワクが止まりません。
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スナックロールとは?

早速気になるスナックロールを注文すると、溶いた卵を薄く広げて、取り出したのは「うまい棒」。サクサクのうまい棒を中心にふわっとした卵をクルクル巻き、調味料をつけて串で刺してできあがりです。いろんな所で話題になるのも納得のインパクトとおいしさでした。
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つねかわは、昭和50年にお好み焼きや焼きそば等の鉄板焼のお店としてスタートしたそうです。鉄板焼の待ち時間につまんでもらうために駄菓子を置き始め、現在の形になったとのこと。駄菓子の創作メニューの数々は、お客さんである子どもたちの発案から定着したものが多いんだそうです。

懐の深さこそが愛される理由

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「うちの子どもが小さいときに、自宅で面倒を見ながら働けるようにって始めたんですよ。長くやってるから、始めた頃から来てるお客さんは子どもを連れてきたり、孫を連れてくることもある。この商売はそういうところが楽しいねえ。駄菓子は利益がなくて大変だけど、うちは鉄板焼きがあるからここまでやってこられた。これから駄菓子屋を始めるなら、駄菓子だけじゃない売り物も考えたほうがいいよ」

日本中の駄菓子屋を訪ねていることを告げると、「近所の人じゃないから教えてあげる」と、自家製調味料や鉄板料理の作り方のポイントなどを細かく教えてくださいました。お客さんの発案したメニューを採用したり、見知らぬ人間にレシピを教えてくれたり・・・その人間性、懐の深さこそが、このお店が長年愛され続ける理由であると強く感じます。

面白くておいしいメニューの数々

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名古屋市周辺ではメジャーな駄菓子屋メニューの「たません」、卵でビッグカツを包んだ「たまかつ」、ただでさえ辛い「タラタラしてんじゃねーよ」を焼いてソースと唐辛子をかけた「こんじょう焼き」、引き伸ばして薄く焼いた餅を帆タラで包んだ「もちホタラ」・・・子どもの空想力を現実に落とし込んだような面白くておいしいメニューの数々に、注文が止まりませんでした。
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これ以外にも食べに食べたんですが、このままだと旅ではなくただの食レポになってしまいそうなのでここまでにします(笑)。つねかわのリトルグルメが気になる方は、ぜひ名古屋へ。柔和な表情で優しく応対してくれる店主と、お話し好きの面白い旦那さんが、常連さんでも一見さんでも分け隔てなく温かく迎えてくれますよ。

つねかわ
住所:愛知県名古屋市北区上飯田東町1-37
営業時間:11:00~20:00
定休日 不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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