【石川県・のと鉄道】トトロ岩と絶品生牡蠣
のと鉄道は、石川県の能登半島・七尾湾側の海沿いを走ります。海の見える絶景を、車窓から眺めることができるのは、進行方向の左側。
能登中島駅から町を歩くと、牡蠣の貝殻が山のように積まれているのを、ところどころで目にします。10分ほど歩いたところにある「かき処 海(かい)」では、生牡蠣はもちろんのこと、フライ、釜飯、牡蠣焼きなど、豊富な牡蠣のメニューが楽しめます。
穴水駅からはドライブで、能登半島を西に横断して増穂浦海岸へ向かうと、国道からトトロのような岩が見られます。荒波に削られて侵食されてこのような可愛い形になったそうです。
【福島県・只見線】奥会津の田園風景と10個限定の姫ます寿司
只見線はローカル線の中でもファンが多く、足繁く通う人が多い路線です。移りゆく季節を感じられて、只見線沿線そのものがすべて絶景。雨の日も雪の日も、美しい風景が広がり、お天気をあまり気にせず、楽しみに出かけられる路線です。
第1只見川橋梁は、只見線沿線を代表する絶景地で、四季折々の美しい風景を眺めることができます。特に川霧の中を列車が走って行く瞬間は、とても幻想的!
只見線に乗車する時は、必ず停車時間を利用して途中下車したいのが会津川口駅。お目当ての1つは、駅の売店で取り扱っている「姫ます寿司」です。土日限定10個なので、見つけた時はラッキー! 包み紙も最高に可愛いのです。
【京都府・京都丹後鉄道】空と海の境目を走る「由良川橋梁」と地魚・出石そば・オリーブ
“海の京都”と呼ばれている京都府・北部の地域。京都丹後鉄道・宮舞線には、空と海の境目を走る「由良川橋梁」があります。橋梁の長さは京都府最長で、大正時代に架けられた、というのも驚きです。
由良川橋梁の近くの、川沿いに小さなオリーブ園「由良オリーブ工房」があります。7月下旬ごろ訪れたときには、小柄な木に可愛いオリーブの実がたくさんなっていました。11月ごろが収穫の時期で、由良産100%のオリーブオイルを買うことができます。
伊根湾の周りには、1階が舟のガレージで2階が居住スペースになった舟屋が立ち並んでいます。「食事処うらなぎ丸」では、伊根湾で獲れる新鮮な地魚のお刺身がセットになった定食が食べられます。
若狭湾西部に位置する東舞鶴駅から徒歩約20分のところに、おいしい「出石(いずし)皿そば」が食べられる「出石皿そば松福」があります。わざわざ足を延ばして食べに行きたいお店です。
【茨城県・福島県・水郡線】四季折々の田園風景と「しゃも弁当」
水郡線は、「奥久慈清流ライン」という愛称がついていて、久慈川に沿って列車は走ります。橋梁は「第11久慈川橋梁」まであるので、久慈川を11回も渡るのです。橋梁を渡る音を何度も楽しめるのも、魅力のひとつ。
水郡線沿線は田園風景が広がる場所も多く、秋になると辺り一面が黄金色に。稲刈が終わると、刈った稲を天日干しする「はざかけ」が多く見られます。
常陸大子駅前にある玉屋旅館で買える「しゃも弁当」。紙製の3色の紐が十文字に括られているところが駅弁らしくて、きゅっとしっかり縛られた紙製の紐をほどく時に、ワクワクします。
【北海道・根室本線】廃止になる『鉄道員』のロケ地とかきめし弁当
日本の最東端の駅「東根室」を通る根室本線は、北海道でいちばん長い路線です。その長さは443.8km。
幾寅駅は、台風の被害で不通区間となっていますが、映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地である「幌舞駅」として愛されています。春にはお花が咲き、資料館として手入れが行き届いています。
厚岸駅を降りると、目の前に「氏家待合所」という「かきめし弁当」の小さなお店があります。炊き立てのご飯と牡蠣をその場で詰めてくれて、ほっかほかのお弁当がいただけます。
【青森県・津軽鉄道】幻想的な鶴の舞橋と中まで赤いりんご「御所川原」
津軽鉄道は、私鉄最北端を走る列車です。津軽は、文豪太宰治のゆかりの地でもあり、列車の名前は”走れメロス号”。可愛いオレンジ色の車両が走っています。季節に合わせて、鈴虫列車、風鈴列車などのイベント列車も運行しており、冬には、ストーブ列車が走ります。
ストーブ列車は、元国鉄の旧型客車を整備した車両で、だるまストーブが置いてあります。売店で買ったスルメイカを焼くのもOK。たまに石炭をくべてくれるので、釜の火が赤くなるところが見えます。
北津軽で絶景ポイントなのが、鶴の舞橋公園です。青森県産のヒバを使用した日本一長い木造橋がかかっています。岩木山を背景に鶴が空を舞うようにも見えるとも言われており、晴れの日は、湖面に映る岩木山も素晴らしいです。
津軽五所川原駅の線路端の1番近いところに、「御所川原」のリンゴの木が植わっていました。「御所川原」は皮だけでなく中の実も赤いのです。
【青森県・秋田県・五能線】険しい日本海とフルーツのようなにんじん
青森県・川部駅と秋田県の能代駅を結ぶ五能線は、全長147.2kmの乗りごたえのある路線。車窓の景色も素晴らしいため、一度は乗ってみたい路線として人気がありますが、冬には、荒れる日本海を走る逞しい路線でもあるのです。
晴れた日も美しいですが、雪の日も雨の日も、激しい荒波の中も走る五能線は、強くてカッコ良いです。
「ふかうら雪人参」は、白神山地の麓で育った糖度9度以上の人参です。夏に育て秋に収穫できる人参を、あえてしばらく寝かせ冬に収穫するそう。「糖度が高くてフルーツのような人参」と言われていますが、臭みのない甘い人参は、何もつけなくても、そのままでおいしいです。
【青森県・弘南鉄道】雪景色の弘前でアップルパイ&大鰐もやし
弘南鉄道は、青森県弘前市を中心に弘南線と大鰐線の2つの路線を走ります。“田んぼ”と“りんご畑”に囲まれた路線で、弘南線は「田んぼ鉄道」大鰐線は「りんご畑鉄道」という愛称がついています。「津軽富士」といわれる岩木山を車窓に楽しめる路線でもあります。
大鰐は、冬野菜の「大鰐温泉もやし」が有名な地域です。温泉熱と温泉水のみを用いる独特の栽培方法で作られるシャキシャキのもやしで、道の駅でも食べられます。
大正浪漫喫茶室は、藤田記念庭園の中にある大正時代を感じさせるレトロな喫茶室で、外観も可愛い建物。たくさんの種類のアップルパイをそろえていて、好きなものを選んで食べることも、お土産として買って帰ることもできます。
【秋田県・秋田内陸縦貫鉄道】駅ナカの温泉と「鉄ピザ」に田んぼアート
(上桧木内2021年撮影)
秋田内陸縦貫鉄道は、鷹巣駅から角館駅まで秋田県を94.2kmかけて縦断する路線です。毎年、沿線の5カ所の駅では、田んぼアートが開催されていて、乗った時に、車窓から一番きれいに見えるように工夫がされています。
秋田内陸線沿線には、日帰り入浴のできる温泉施設がいくつもあります。阿仁前田温泉駅は、“駅ナカ”に温泉が! 途中下車して列車の待ち時間に温泉に浸かるのに、ちょうど良いのです。
阿仁合駅には、おしゃれなレストラン「こぐま亭」が併設されていて、メニューに「鉄ピザ」という秋田内陸線オリジナルのピザがあります。鉄分を含む地元の具材を使って鉄道会社が作ったピザです。鉄道ファンとしては、どうしても食べてみたいメニュー。
【北海道・釧網本線】「SL冬の湿原号」で雪景色とつぶ焼き・駅舎喫茶を満喫
釧網本線は網走駅から東釧路駅まで走っており、太平洋側からオホーツク海側へ越える絶景路線です。
釧路の町で、必ず食べたいのが「つぶ焼き」。釧路の飲食街の一角にある何年も続く老舗のお店「かど屋」でいただけます。
オホーツク海に沿って進む釧網本線には、レストランや喫茶店の入った駅舎がいくつかあります。改札の隣の扉を開けたら、そこはレストラン。駅では、おいしそうな匂いがしているのです。
[All photos by Hiromi Ito]
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