
出汁の味が染みた「静岡おでん」が人気
夜、葵区の銭湯「天神湯」で入浴していると、浴槽で常連の方と世間話になりました。昔ながらの駄菓子屋を探しているということを伝えると、なんと「目の前の通り沿いに2軒あるよ」とのこと!ここは「長谷通り」という静岡浅間神社の鳥居から東に伸びる道で、昔から商業が盛んな歴史ある通りなんだそうです。
翌日、長谷通りを1往復し、銭湯で聞いたとおり「かどや滝浪商店」「ふくよし菓子店」という2軒の駄菓子屋があるのを確認。まずは駐車場のある「かどや滝浪商店」から訪ねてみることにしました。看板がなく、「おでん」と書かれたのれんが掛かるだけのシンプルな外観なので、駄菓子屋ということを教わっていなかったら居酒屋と勘違いしていたかもしれません。

店内は入り口付近に駄菓子が並び、テーブルでは真っ黒の出汁に入ったおでんが煮込まれていました。静岡おでん特有の調味料「ダシ粉」も置かれ、常に漂うおいしそうな香りに期待が高まります。壁には静岡高校のさまざまな部活動の集合写真が飾られ、高校生のお客さんが多そうな雰囲気。

早速着席してみたものの、完全に地元の方向けのお店でなんの案内書きもないため、旅人には注文の仕方がわかりません(笑)。マゴマゴしていると、「取りましょうか?」という店主の優しい声が。聞けば、おでんは鍋から自由に取って食べることができ、どれでも1本80円(2020年9月現在)なので、最後に串の本数を数えて会計するとのことです。いろいろな種類をいただきましたが、どの具材も芯まで出汁の味が染みていておいしく、特に練り物系はダシ粉をかけることでより風味が引き立つ感じがしました!

静岡特有の駄菓子屋文化
かどや滝浪商店は、昭和32年(1957年)頃に現店主のお母さんが創業したお店だそうです。交差点のカドにあるので「かどや」という愛称で呼ばれるようになったとのこと。静岡では駄菓子屋でおでんを売るのは普通のことで、営業スタイルは創業当時から何も変わらないそうです。以前は学生のお客さんが多く、現店主が引き継いだころから持ち帰りの大人のお客さんが増え、今では夕方には鍋を持った人が多数来店すると話してくれました。

「おでんは食べるのは楽だけど、火の加減とか時間とか、売るほうは結構大変なんですよ(笑)。このへんは学校が多いから、少子化の時代って言われるけど学生のお客さんもいまだに多くて。ふざけて大食いチャレンジなんかしたりする子もいて、記録を張り出したりして、こっちも一緒に楽しんでますよ。材料の値段も上がってきてるし、体力的にあと何年できるかわからないですけど、続けられるだけ続けてみますよ」

このお店には、社会人になった卒業生が部活の後輩たちのために店主にお金を預けていくという、なんとも伝統と愛を感じる独特の仕組みもありました。静岡特有の駄菓子屋文化の濃さ、昔ながらの駄菓子屋の持つ重要な役割など、さまざまな気付きを与えてくれたお店を訪ねることができたのは、銭湯での偶然のコミュニケーションから。旅の良いところを寄せ集めたような出会いの数々に感謝です。
かどや滝浪商店
住所:静岡県静岡市葵区長谷町17-2
営業時間:10:30~19:00
定休日:水曜日
[All photos by Atsushi Miyanaga]

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Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
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