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江戸時代に開園した「浅草花やしき」、元は植物園だった!?
【浅草花やしきの歩み(抜粋)】
1853年(嘉永6年):造園師・森田六三郎氏が植物園として開園
1872年(明治5年):遊具施設を設置し、珍鳥などの展示も行う
1886年(明治19年):動物の展示を開始
1923年(大正12年):世界的に珍しいトラの5つ子が誕生
1941年(昭和16年):劇場や豆汽車、メリーゴーランドなどを設置
1944年(昭和19年):空襲に備える「建物疎開令」で木造建築物が取り壊され、営業中止に
1947年(昭和22年):再び遊園地として開園
1953年(昭和28年):日本現存最古となるローラーコースター「読売ロケットコースター」導入
2016年(平成28年):初のイルミネーション営業「ルミヤシキ」を開始
2019年(令和元年):ホール「浅草花劇場(あさくさかげきじょう)」オープン
ジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドなど、ワクワクする乗り物がいっぱいの遊園地。一歩足を踏み入れるとそこはまるで夢の世界のよう。子どもはもちろん、大人も思わず童心にかえってはしゃぎたくなりますね。
日本で最初の遊園地とされているのは「浅草花やしき」で、オープンしたのは1853年(嘉永6年)のこと。開園当時は植物園であり、その後、震災や戦禍により閉園した時期はあったものの1949年(昭和24年)に遊園地として再建されました。ちなみに1910年(明治43年)開業の「ひらかたパーク」(大阪府枚方市)が現存する日本最古の遊園地という説もありますが、今回は開園時期が古い浅草花やしきにスポットを当て、その歴史を紐解いてみました。
戦争で取り壊しの苦難に遭うも復活
浅草花やしきが誕生したのは、江戸時代末期1853年(嘉永6年)に造園師の森田六三郎氏が2,400坪もの植物園をつくったのが始まりでした。当時は牡丹と菊細工を目玉に人気を集め、美しい花々が見られる園として「花屋敷」と名付けられました。
現在の浅草花やしきはアトラクションが楽しめる遊園地ですが、なぜ「花やしき」という名前なのか不思議に思っていた人もいるかもしれません。実は江戸時代の花園がルーツであり、その名前を現在まで継承していたというのは、ちょっとした驚きではないでしょうか。
明治時代に入って、浅草花やしきは遊具施設を置くようになり、1886年(明治19年)には動物の飼育・展示を開始しました。遊具で遊べる動植物園として広く人気を博し、大正天皇もお忍びで来園なさったことがあったのだとか。大正時代の1923年(大正12年)には、世界でも珍しいトラの5つ子が誕生するなど、明るい話題に事欠くことはありませんでした。
しかし、第二次世界大戦が勃発。1941年(昭和16年)、「松竹」の出資で軽演劇、映画などの各劇場や、馬車や豆汽車、メリーゴーランド、紙芝居などの新たな施設を設置するも、その3年後には空襲に備えるための「建物疎開令」によって、木造建築物の取り壊しが決定。戦争が世の中に暗い影を落とす時代においても、人々に夢を与える遊園地として営業を続けましたが、施設の取り壊しによって事実上の営業中止となってしまったのです。
時代の波に翻弄された浅草花やしきですが、戦争が終わり、1947年(昭和22年)に再び遊園地として開園することが決定。1953年(昭和28年)には「読売ロケットコースター」が設置されました。このコースターは、現在も稼働を続ける浅草花やしきの名物アトラクションであり、日本で現存する最古のローラーコースターとして多くの人々に親しまれています。
誰もが一度は乗ったかも!?「パンダカー」トリビア
日本最古のローラーコースターをはじめ、メリーゴーランドやお化け屋敷など、現在、18機種のアトラクションがある浅草花やしき。歴史ある園内は、わくわくドキドキの遊園地ならではの魅力と、懐かしくノスタルジックな空気が流れ、ほっと心が和みます。そんな浅草花やしきの名物アトラクションのひとつとして忘れてはならないのが「パンダカー」です。
パンダカーといえば、コインを入れると動き出す、ぬいぐるみのパンダの乗り物。全国各地の遊園地やデパートの屋上施設などでも、パンダをはじめさまざまな動物の乗り物を見かけますね。
このパンダカーを初めて導入したのも「浅草花やしき」であり、同社によって商標登録もされています。お土産ショップではパンダカーのグッズ販売も行っており、オンラインショップでもパンダカーをモチーフにしたキーホルダーやバッジ、文房具、Tシャツなどを購入することができますよ。園内を巡るとあちこちにパンダカーのマスコットキャラクターを見かけるので、浅草花やしきを訪れたときはぜひ探してみてくださいね。

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内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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