野毛大塚古墳は東京23区内にある古墳の中では比較的大きく、整備されている古墳です。こちらは国指定史跡ではありませんが、東京都指定史跡です。全長82m、直径66m、高さ11mの「帆立貝形古墳」で、築造年代は5世紀初頭とされています。こちらの発掘の歴史は古く、明治30年(1897年)に発掘調査が行われ、石棺や副葬品が見つかりました。こちらの副葬品は東京国立博物館に収蔵され、国の重要文化財に指定されています。
公園から見た風景
帆立貝形古墳は「前方後円墳」の前方部分が短くなったもの・・・といわれていますが、それ以外に「円墳」に造出(祭事をするための四角いスペース)がついたものもあります。ちなみに、円墳に造出がついていても「円墳」とされている古墳もあります。同じような形でも成り立ちによって判別されているようです。ちなみに本連載11回で紹介した「私市丸山古墳」は造出のついた円墳で、見る限りは「帆立貝」のようですが、こちらは円墳とされています。
野毛大塚古墳の上からの眺め
野毛大塚古墳は帆立貝形古墳ですが、短い前方部分の横に、さらに造出があります。なので、円墳に2つの四角がくっついています。これがなんともいえぬかっこよさ!東日本の帆立貝形古墳の中では有数の規模です。
公園から見える富士山
多摩川沿いにはほかにも古墳があって、田園調布古墳群と野毛古墳群をあわせた「荏原台古墳群」があり、50基ほどの古墳があります。野毛大塚古墳は周りが公園になっていて、見晴らしもよく、古墳としての見栄え的にも「荏原台古墳群」を代表する古墳となっています。古墳の上からは今は隣の野球場や公園が見えるのみですが、公園で遊んでいたら富士山が見えました!古墳時代では見晴らしのいい、よい場所だったのだろうということがわかります。
等々力渓谷の横穴
近くの等々力渓谷には古墳時代後期、7世紀に作られた「横穴墓」があります。横穴墓は古墳時代のお墓のスタイルのひとつですが、墳丘がなく山や谷の斜面に穴を掘って作られたお墓です。単体ではなく、複数あることが一般的です。基本的には古墳時代のお墓なので、古墳の仲間なんですが・・・。私は古墳の「墳丘」が大好きなんですよね。横穴墓は「お墓」感が強くて、ちょっと怖いと感じてしまいます。よく見たら石室などは似ているのですが・・・!
息子がもうちょっと大きくなったら、サイクリングで世田谷古墳めぐりがしたいと思っています!
住所:東京都世田谷区野毛1丁目
[All Photos by Mizutani salucoro]