「いろいろ」の意味
「いろいろ」は、種類が多いこと。もともと、万葉集や源氏物語では「各種の色」という意味で使われていました。
この店ではいろいろなクッキーを買うことができます。
「さまざま」の意味
「さまざま」はそれぞれ様子が異なること。傾向などが多様なこと。
旅の目的は人によってさまざまです。
「いろいろ」と「さまざま」の使い分け方
「いろいろ」と「さまざま」はどちらも「複数あること」を表す言葉ですが、何が複数あるのかによって使い分けます。
たとえば、ドッグランにたくさんの犬がいるとします。そのとき、犬種が複数あることを表したい場合は「いろいろな種類の犬がいます」というふうに「いろいろ」を用います。
一方、異なる雰囲気や性格の犬が集まっていることを表したいときは「同じ犬でも雰囲気はさまざまです」「さまざまな性格の犬がいます」というふうに「さまざま」を用います。
とはいえ、「いろいろ」と「さまざま」は区別せずに使われている場合もよくあります。そのため、より実践的な使い分け方としては、「いろいろ」は話し言葉で、「さまざま」は書き言葉で使うことが多いと覚えておくのがよいでしょう。
また、傾向として「色々」のほうが汎用性が高いということも覚えておくと便利です。「いろいろ」を使うと違和感がないのに、「さまざま」だと違和感のある文になる場合があるので、注意しましょう。下記はその例です。
×「さまざまとお世話になりました」
〇「いろいろと面白かったね」
×「さまざまと面白かったね」
【クイズ】より適切なのはどっち?
1→いろいろ
2→さまざま
1の正解はいろいろ。「国」というカテゴリのなかで種類がたくさんあるので、「いろいろ」がより適切です。ただし「さまざま」でも問題はありません。
2の正解はさまざま。「反応」は様子だと捉えられるので、「さまざま」がより適切です。ただし「いろいろ」でも問題はありません。
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。