「あやふや」と「うやむや」の違いって?【正しい日本語解説Vol.21】

Posted by: 熊本沙織

掲載日: Oct 20th, 2022

社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らない頻出ワードを徹底解説! 今回は、似ているようで実は使い分ける必要がある「あやふや」と「うやむや」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。



 

「あやふや」の意味


「あやふや」は、意図せず不確かなこと。また、頼りないこと、あてにならないこと。

【例】
目的地までバスが運行していたかどうか、記憶があやふやだ。

「うやむや」の意味


「うやむや」は今日では主に「うやむやにする」の形で使われ、その場合には、意図的に不確かにすることです。なお、漢字で「有耶無耶」とも書くのは、「有なのか無なのか分からない=有や無や」という語源の「や」に「邪」の字を借りたものです。

【例】
予約ミスについて、責任の所在をうやむやにされてしまった。

「あやふや」と「うやむや」の使い分け方


「あやふや」と「うやむや」にはどちらも不確かという意味がありますが、違いは「意図的かどうか」。「あやふや」は対象そのものがはっきりとしないため、どうしても不確かになってしまう様子を表しているのに対し、「うやむや」ははっきりさせようと思えばできるのに、わざと不確かにしている様子を表しています。

似た言葉に「曖昧(あいまい)」がありますが、こちらは意図的かどうかを問わず、どちらの場合にも使えます。

【クイズ】より適切なのはどっち?

【答え】
1→あやふや
2→うやむや

1の正解はあやふや。天気は意図的にはっきりさせていないものではなく、どうしても不確かになってしまうものなので「あやふや」を使うのが適切です。

2の正解はうやむや。「されてしまった」とあり、意図的にその状態にされたことが読み取れるため、「うやむや」を使うのが適切です。

監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。


吉田裕子先生の(株)裕泉堂 公式サイトはこちら

PROFILE

熊本沙織

saori-kumamoto

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

SHARE

  • Facebook