イギリス
「紳士・淑女の国」イギリス。イギリス人には、どこであってもキレイに列を作って並ぶ習慣があり、列を乱す人を軽蔑するのだとか。そんな秩序立ったところは日本人に似ていますね。
一方、イギリス人は皮肉っぽいことでも知られていて、イギリス人の皮肉がこもったジョークは、他国の人にはなかなか理解できません。シャイでストレートな物言いが苦手な性格と、曇りや雨がちな天気がダークなユーモアを生んでいるのではないかといわれています。
他国で知られているイギリス人の風変りな趣味が、オカルト。紳士・淑女でありたいと願い、いつも身ぎれいにすることを心がけるイギリス人の意外な一面です。
日本ではいわくつきの物件は敬遠されて値段が下がりますが、イギリスでは「幽霊が出る」という噂の物件は、相場の1、2割ほど値段が上がるのだとか。心霊スポットを周る幽霊ツアーも組まれるほどで、「幽霊に会ってみたい」と考えるイギリス人は少なくないようです。イギリスで、「ハリー・ポッター」シリーズが子どもだけでなく、大人のあいだでも人気を博したのも、イギリス人のオカルト好きと関係しているのかもしれません。
「イギリス人は食器洗剤の泡を流さない?〜イギリスのびっくりトリビア5選〜」も要チェックです!
フランス
「愛の国」と呼ばれるだけあって、愛に人生を捧げるのがフランス流の生き方。生涯恋愛の現役でいることが素晴らしいと考えられています。
自信家で、自分と自国が大好きなフランス人は、自国の文化や歴史に誇りを持っていて、ヨーロッパの中心はフランスだと考えています。英語を話すフランス人も増えてはいるものの、英語で話しかけると冷たい態度を見せる人もまだまだいます。たとえフランス語ができなくても、どんな場面でもまずは「ボンジュール」と挨拶し、フランスに敬意を示す姿勢が大切なのです。
また、フランスといえば有名なのがバカンス。フランスでは、年に約5週間の有給休暇があり、取得率は89パーセントにものぼります。夏には1か月ほどの長期休暇を取り、ビーチで読書をするなどしてのんびり過ごすのがフランス流。バカンスにはお金をかけても、日頃は古いものを大切にしながら意外なほどに質素に暮らしています。
「このままでいいの?日本人〜日本とフランスの休暇、4つの違い〜」でもその文化が伝えられていましたね。
ドイツ
よく「日本人と似ている」と話題にのぼるのがドイツ人。確かに、真面目で時間厳守、周囲の目を気にするところは日本人と似ています。
一方で、日本人と大きく違うのは、ドイツ人が「世界一のケチ」という評判さえあるほどの倹約家であること。日本人と違って高価なブランド物には興味を示さず、あくまでも機能性重視。ファッションに必要以上に手間やお金をかけず、女性はあまりメイクをしないのがドイツ流です。
ドイツのスーパーでは、各商品のグラムあたりの単価が表示されており、値段を比較しやすいようになっています。日本人のように「高いからいい物なのだろう」とは考えず、高い理由に納得できなければ購入しません。
決まりごとが大好きでルールに厳しいドイツ人は、仕事にせよ家事にせよ、しっかりと計画を立ててその通りにこなすのが得意。長く厳しい冬を乗り切るため、食料などを計画通りに消費する必要があった時代が長いためだといわれています。掃除や整理整頓もお手の物で、インテリア雑誌から飛び出してきたかのような住まいも珍しくありません。
住まいに手をかけても食にはこだわらないのがドイツ人。特に北ドイツは土地がやせていて食材に乏しく、料理が発展しなかったため、ドイツの伝統的な食文化は保存食が中心。グルメでファッションにこだわる日本人とはまるっきり違うところもあるのです。
ベルギー
小国でありながら、EUの本部やNATOの本部が置かれているヨーロッパの中心、ベルギー。ベルギーの人々は、自国が「EUの中心」であることを大変誇りにしています。おおらかでのんびりとしたベルギー人は細かいことを気にせず、あくまでもマイペース。周辺国からジョークのネタにされても気にしません。
ベルギーには「ベルギー語」はなく、地域によって公用語がフランス語、フラマン語(オランダ語のひとつ)、ドイツ語に分かれています。それもあって、南部はラテン的で社交的、北部は勤勉で頑固といったふうに異なる性質を持っており、「ベルギー人」とひとくくりにできないところがあります。
ベルギー人は自分の出身地にプライドを持っており、北部と南部では、言語や文化の違いによる対立もあるほど。そんな背景からか、ベルギー人は問題の妥協点を見つけて解決することに長けています。そんなベルギーは、EUの本拠にぴったりなのかもしれませんね。
スイス
人口800万人弱の小国にもかかわらず、EUに加盟せず独自路線を貫くスイスの存在感は決して小さくありません。
ヨーロッパの中央部にありながら中立を選択したことが象徴するように、スイス人はきわめて愛国心が強く、プライドが高いといわれています。そのため、仲良くなるまではとっつきにくい印象を受けるかもしれません。「自分の国は自分で守る」という意識が強いため、新しいものや異質なものを警戒する心理があるのです。
そんなスイス人は、日本人すらルーズに見えてしまうほど、勤勉で真面目な倹約家。日本人と結婚しているスイス人が日本人配偶者に抱く不満は、「欲しくなったら衝動買いしてしまう計画性のなさ」だったりするのだとか。
ただし、地域によってドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語を話すスイスでは、言語圏により気質も異なるとされています。フランス語を話すスイス人はフランス人のように自分好き、ドイツ語を話すスイス人はドイツ人に似て心配性といった具合です。割合でいえばドイツ語を話す人が最も多いため、ややドイツ人に似た要素をもつ人が多いといえるでしょう。
「ありえない!日本人がスイスで驚いたこと7選〜精算前に開けてOK!〜」からも、スイスならではの一面が垣間見れますよ。
イタリア
陽気なラテン系のイメージを代表するのがイタリア人。他のヨーロッパ諸国に比べ、イタリア人は時間にアバウトです。イタリア人に「5分待って」と言われたら、「30分待って」と言われたと解釈したほうがいいかもしれません。ヨーロッパの中では温暖で太陽の出ている時間が長い南国気質に加え、各人が自分の時間を生きているために独特の時間感覚があるようです。
ダーリンはイタリア人!〜「君はキレイ」は社交辞令!? 国際恋愛をしてわかった5つのこと〜でもお伝えしたように、男性ならば、「ナンパ好き」「女好き」というイメージも付いて回りますね。日本人ならキザだと思うような行為をサラッとできてしまうのがイタリア人なのです。
「ちょい悪」という言葉にも象徴されるように、ちょっと悪くてカッコイイ雰囲気の男性が多いイタリアですが、実はマザコンが多いことで有名。独身男性の大半が親と同居し、同居していなければ毎日のように母親と長電話。さらには、困ったときはなにかと「マンマ・ミーア!(お母ちゃん!)」と叫び、イタリアでは母子癒着が「マンマミズモ」と呼ばれ社会問題にもなっているほどです。
実は、イタリア人には「自分はイタリア人だ」という意識が希薄で、「ジェノヴァ人」「フィレンツェ人」といったように地元意識が強いのが特徴です。現在のイタリアという国ができたのは1861年のことで、かつて小国の集合体だった頃の影響が今もあるのです。食に関しても地元意識が根強く、「ジェノヴァ料理」「トスカーナ料理」など、各地域の料理と考え、地元の料理が一番おいしいと思っています。もっといえば、「うちのマンマのパスタが一番!」なのです。
スペイン
自己主張が強く、ズバズバと物を言うスペイン人は、あまり遠慮をすることがありません。尋ねたいことがあれば見知らぬ人にも気軽に話しかけますし、なかには相手がスペイン語を理解しない外国人であっても構わずにスペイン語で話し続ける人もいるほど。そんなスペイン人のマイペースで自由なところは、日本人からするとちょっと羨ましいような気もしますね。
よく「情熱の国」と呼ばれるスペインですが、スペインには「情熱と狂気」が同居しているといわれます。底抜けに明るいひたすら平和な情熱ではなく、スリルや冒険を伴う生の輝きが大好きなのです。それは、下手をすれば闘牛士が命を落としかねない闘牛や、鬼気迫る表情で激しくステップを踏むフラメンコに象徴されています。
古くからカトリックの厳しい道徳観の影響があるスペインでは、現在も年配の人を中心に、離婚や同性愛、人工妊娠中絶に反対する声が根強く残っています。離婚法が成立したのは、なんと1981年になってから。一方で、2005年に同性婚が認められるなど、従来の価値観を覆すような動きもみられ、一概に「保守的」だと言えないのがスペインの面白いところです。
特に、ファシズム政権下で保守的な教育を受けた60代以上と、それ以下の世代の考え方や価値観のギャップが大きい傾向にあります。スペインには、古い価値観を守ろうとする保守的な人と、伝統や権威にとらわれないリベラルな人が両極端に混在しているのです。
スウェーデン
世界屈指の高福祉国家として知られるスウェーデン。未成年者の医療費はほぼ無料、世界で初めて育児休業を導入するなど、福祉が手厚い分、当然税率も高くなっています。
スウェーデン人が「高福祉高負担」を受け入れているのは、貯蓄や倹約を説くプロテスタント・ルター派と、寒冷な気候が影響しているといわれています。北極圏に位置するスウェーデンでは、日頃から長く厳しい冬に備えて食料の備蓄や倹約をしておかないと生き延びることができないため、「後でラクをするために今は我慢する」という姿勢が身についたのです。
スウェーデンは個人主義的傾向が強く、「未婚でいるのも、結婚するのも離婚するのも個人の自由」という考え方が一般的です。女性の社会進出率が高く、バリバリ働く女性も多いため、近年では「家事や育児ができない男性は、女性から結婚してもらえない」とさえいわれるほど。
北欧の海賊ヴァイキングの末裔でありながら、激しい自己主張はせず、争いを避ける傾向にあるスウェーデン人。スウェーデンでハードロックの一種、へヴィメタルの人気が高いのも、日頃のストレスを音楽で発散しようとする人が多いからなのかもしれません。
もちろん一人一人に個性がある
遠く離れた日本から見るとあまり違いがわからなくても、国ごとに大きく異なるヨーロッパの国民性。
もちろん、日本人が一人ひとり異なるように、決して「イギリス人が皆こう」「フランス人が皆こう」というわけではありません。生身の人間と接すれば、必ず個人差があり、「○○人」とひとくくりにできない個性が見えてくるでしょう。
しかし、国によってその気質に一定の傾向があるのもまた事実。偏見を持ちすぎるのはよくありませんが、傾向を知ることは、その国やその国の人々をよりよく知るうえで役に立つはずです。
[日本人が知らないヨーロッパ46カ国の国民性|PHP文庫]
[All photos by Shutterstock.com]