>>絶景新名所「白馬ヒトトキノモリ」はアクティビティ三昧だった!【白馬岩岳マウンテンリゾート】
栂池ルートで絶景の稜線を行く
槍ヶ岳や穂高とともに北アルプスで人気を二分する白馬岳。もちろん日本百名山のひとつで、標高は2,932m。代表的な登山コースは、白馬大雪渓を登る登山道(猿倉より所要6時間弱)と、栂池(つがいけ)自然園から白馬大池を経る登山道(所要約5時間40分)があります。
今回選んだのは栂池を経て、さらに白馬大池に1泊して山々をゆっくり堪能して稜線を登っていくコースです。栂池高原駅前の駐車場に車を止め、まずはゴンドラ、そしてロープウェイを乗り継いで栂池自然園まで向かいました。
ちなみに栂池自然園の標高は約1,900m。長野県・新潟県・富山県・岐阜県にまたがる中部山岳国立公園内にあり、約100haにも及ぶ日本有数の高層湿原なのです。
初夏のこの時期、栂池自然園では「ミズバショウ」や「シラネアオイ」、「ニッコウキスゲ」など、たくさんの高山植物に出会えます。ここを歩くだけでも癒やされるはずです。
ゴンドラの所要時間は20分ほど、そしてロープウェイは5分ほど。混雑時は並ぶので、もう少し時間がかかるかもしれません。とはいえ、あっという間に栂池自然園に到着です。
住所:長野県北安曇郡小谷村千国乙12840-1
電話:0261-83-2255
公式サイト:https://www.nsd-hakuba.jp/green/tsugaike/panoramaway.html
栂池からようやく登山開始
ここにある登山口から歩いて登ります。準備を整え、トイレに行ってからようやく出発。今晩宿泊する白馬大池山荘までは3時間ほど。そして明日は、3時間20分ほどで白馬岳にたどり着く予定です。
栂池から登り始めて、しばらくは樹林帯を進みます。やがて大きな石が現れ、周囲の樹木も低くなっていきます。1時間ほどで「天狗原」という平坦な場所に着きました。ここも高層湿原が広がっています。
湿原を保護するために木道が整備されていました。湿原に咲き乱れているのは秋の花「トリカブト」です。
天狗原をさらに先に進むと岩場が現れます。大きな岩がゴロゴロ。勾配もきつくなって、さらにその向こうには大きな雪渓が現れました。この雪渓は慎重に登る必要があるので、順番にひとりずつ前を行く登山者の足跡をたどりながら登っていきます。アイゼンは使わなくても大丈夫でしょう。
雪渓を登りきると、ふたたび平坦な高原に出ます。ここは湿原というよりも、乾燥した高原といった趣。
周囲は低い樹木で見通しがききます。岩陰には「チシマギキョウ」がたくさん咲いていました。そうそう、この平坦な高原にほんの少し高い場所があり「乗鞍岳」と名付けられています。その標高は2,437m。
白馬大池山荘に宿泊
もうここまで来れば大池に着いたも同然。乗鞍岳を過ぎると、前方の下に白馬大池が見えました。
池の周囲には、上の写真のように「チングルマ」のお花畑が広がっていて、まるで天国にでもいるような気分。
この湖畔にある白馬大池山荘で今宵は宿泊します。標高は2,380m。
ちなみに、この白馬大池は数百万年前に活動した白馬大池火山の噴出物によって堰き止められてできた火山性の湖といい、周辺に降る雪や雨、そして夏でも残っている雪渓から融け出す水で池となっているそうです。
山荘は大勢の登山客で大にぎわい。売店も充実していました。収容人員は150名といい、宿泊料金は1名1泊2食で13,000円。個室はありません。大部屋での雑魚寝となります。
2022年夏時点は、コロナ禍で感染症予防のために、マスク・除菌液・ウェットティッシュ・小屋泊まりの場合、インナーシーツかシュラフカバーと枕カバー(タオル等)・ごみ袋・宿帳(可能な人はプリントして内容を記入したもの)を持参してくださいとのことです。なお、不織布製のシーツ・カバー・枕カバーの3点セット(1,000円)を山小屋で販売しているそうです。
驚いたのは、山荘前の平地にすき間なく建てられた無数のテントの数々。赤、黄色、橙色などなど、カラフルなテントがまばゆい日差しを浴びて輝いていました。このテントの場合1張り1,000円プラス幕営料2,000円ということです。
夕食はカツカレー。どうやら、ほぼ毎晩カレーのようです。とはいえ一口サイズのヒレカツがふたつもあります。もちろんカレーとごはんはお代わり自由。朝食はごはんに味噌汁、そしておかずが付きました。
翌朝は雲ひとつない晴天。草原が輝いて見えました。今日は稜線をひたすら歩いていきます。まずは、この緩やかな稜線を登っていきます。
稜線を少し登ったところから後ろを振り返ると、上の写真のように白馬大池がこんな風に見えます。山の際に、ちょうどぽっかり空いた火口といった印象で、ちょうどいい具合の火口湖ができ上がり、水がこぼれなかったものだなと妙に感心します。
住所:長野県北安曇郡小谷村
電話:0261-72-2002(白馬館)
公式サイト:https://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/hakubaooikesanso.html
日本百名山の白馬岳へ 美しい稜線歩き
さて、先に進みましょうか。上の写真のような稜線を歩いて少しずつ高度を上げていきます。向こうにようやく白馬岳が見えました。
ちなみに「日本百名山」の深田久弥によれば、古くは白馬岳のことを越後や越中では「大蓮華山」と呼んだそうです。白い雪に輝く山容が蓮華の開花に見えたからだといいます。ところが信州では、これといった名前がなく「西山」と呼ばれていたとか。それがいつしか「代馬(しろうま)岳」と呼ばれるようになったというのです。
代馬とは、山の一角に残雪の消えた跡が馬の形に見える頃が「苗代掻き」をする時期だったそうです。「苗代馬」の意味で「代馬」、そしてそれが「白馬」と変わったそうです。
さて、快晴で周囲の山々、そして足元の高山植物が日差しに輝いています。登山道は多少ザレているので足元を確認しながら、遠くを見たり、周囲の花を愛でたりと忙しいのです。
途中のピーク、「小蓮華山」です。標高は2,766mで、白馬大池は標高2,380mでしたから400m登ってきました。ここでひと休み。
ちなみに小蓮華山は2007年に山頂の一部が崩れて標高が3m低くなったそうです。太古からの地殻変動がいまも継続しているといわれ、これからもちょっとずつ動いてゆくのでしょう。
登山道はザレ場が多くなってきますが、上の写真のように「高山植物の女王」と呼ばれる「コマクサ」もあちこちに見えます。過酷な環境の下でも可憐な花を咲かせます。癒やされますねえ。
後ろを振り返ると、こんな具合に稜線が続いているのです。白馬大池はもうずっと下になって見えません。後になって写真を見直すとよくも歩いたものだと感心します。
周囲の足元を見渡すとお花畑が広がっていました。「イワギキョウ」でしょうか。7月半ばから8月の上旬にかけてのわずかな期間、色とりどりの花が咲き乱れているのです。
そしていよいよ白馬岳の山頂が目前に迫ります。上りがようやく終わるのでホッとするのですが、終わってしまうのが名残惜しい気もしますね。
標高2,932m 白馬岳山頂に立つ
そして、ようやく山頂に到着。標高は2,932m。白馬大池から3時間半ほど。ゆっくり歩いても4時間あればたどり着きます。
山頂は登山客で大にぎわいです。ここで昼食。大池山荘で作ってもらった昼食弁当をいただきました。見た目はよくないかもしれませんが、登頂の感動とお腹が空いていたので、とにかく旨いのです。
山頂の周囲は360度視界が広がります。まさに絶景。剱岳や立山がすぐそこに見えます。そして今夜の宿は山頂の真下にある白馬山荘。
白馬山荘、そして下山後の温泉情報は次回に続きます。
[All Photos by Masato Abe]