「指導」と「指南」の違いって?【正しい日本語解説Vol.24】

Posted by: 熊本沙織

掲載日: Nov 10th, 2022

社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らない頻出ワードを徹底解説! 今回は、似ているようで実は違う「指導」と「指南」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。



 

「指導」の意味


「指導」は、教えみちびくこと。特に、勉強や研究の方法を教えみちびくこと。また、団体など組織の目的や方向を決め、メンバーをみちびくこと。

【例】
小学生にサッカーを指導する。

「指南」の意味


「指南」は教えみちびくこと。特に、武術や芸能などを教え示すこと。また、方向や進路をさし示すこと。

「指南」は、「指南車」という言葉に由来しています。指南車は古代中国の軍隊が作った、常に南など一定の方角を指す仕掛けが取り付けられた車のことで、進軍する方向を見失わないようにするためのものでした。そこから、「指南」が道を指し示すこと、教えみちびくことという意味が生まれたのです。

【例】
茶道の作法を指南する。

「指導」と「指南」の使い分け方


「指導」と「指南」はどちらも教えみちびくという意味がありますが、違いは「何を教えるのか」。「指導」は勉強や研究に加え、それ以外にも、仕事の進め方などの広い分野が対象となるのに対し、「指南」は主に武術や芸能を教える際に使います。「指南」を用いるのは、武道や芸道など「道」と呼ばれるジャンルが中心なのです。

「指導」は武術や芸能にも使えるので、迷ったら「指導」を使うと覚えておいてもよいでしょう。

【クイズ】より適切なのはどっち?

【答え】
1→指南
2→指導

1の正解は指南。テコンドーは武術なので、「指南」がより適切です。ただし、「指導」を使っても間違いではありません。
2の正解は指導。ダイビングのライセンスは武術でも芸能でもないので、「指導」が適切です。

監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。

吉田裕子先生の(株)裕泉堂 公式サイトはこちら

PROFILE

熊本沙織

saori-kumamoto

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

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