「気遣い」の意味
「気遣い」は「きづかい」と読み、あれこれと気をつかうこと。また、悪いことが起こる恐れや懸念のことをさします。
お気遣いいただき、ありがとうございます。
「心遣い」の意味
「心遣い」は「こころづかい」と読み、あれこれと気を配ること。ビジネスや人付き合いでは、特に、祝儀や心付け、贈答品のことを心遣いといっています。
いつもお心遣いくださり、ありがとうございます。
「気遣い」と「心遣い」の使い分け方
「気遣い」で辞書を引くと「心遣い」という説明をしている辞書があるほど、2つの言葉は似ており、本来的には区別は難しいところです。ただ、現代の会話や文章では、気を遣っていること自体か、気を遣った結果なんらかの行動をとったことかで使い分けていることが多いです。
気遣いは心配や配慮のような「気持ち」自体のことをいいます。一方、心遣いは気を配った結果が「行動」の形で現れます。
例えばレストランで熱々の食べ物を食べる際、子連れ客に「熱いのでお気を付けて召し上がってください」と声を掛けるのは気遣いですが、いったん取り分けて冷ませるようにと取り分け皿を提供するのは心遣いです。
そのほかの例では、会食の終わりに、雨が降っているので「足下に気をつけてお帰りください」と声を掛けるのは気遣いですが、駅まで濡れないようにとタクシーを手配するのは心遣いといえるでしょう。
【クイズ】より適切なのはどっち?
1→気遣い
2→心遣い
1の正解は気遣い。何かを断るときは、相手がまだ行動に移していない状態なので、「気遣い」を使うのが適切です。
2の正解は心遣い。「お土産を頂戴し」とあり、お土産を渡すという行動があったことがわかるので、「心遣い」が適切です。また、この場合の「心遣い」には贈答品の意味も込められています。ただし、いずれも、もう1つの方を使っても間違いではありません。
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。