フランスの移民統治領だったレバノン
第1次大戦後の1923年から20年間、フランスの委任統治領だったレバノン。その前は16世紀からオスマン帝国に支配されていました。フランス料理もトルコの料理もユネスコの食文化無形文化遺産に登録されていますから、この2つの国の食文化の影響を強く受けたレバノンが「中東屈指の美食の国」と呼ばれる背景がわかります。
今回はパリの中心部からメトロに乗って30分ほど、トラムのジョルジュ・ブラッサンス駅が最寄り駅の、レバノン料理の小さなレストラン「Maison Issa (メゾン イッサ)」でひとり飯を楽しみます。
腕を振るうのはレバノンで活躍したイッサさん
駅から住宅街ををゆっくり歩いて5分ほどの住宅ビルの1階に、ピンクがアクセントになっているメゾン イッサはあります。訪れたのは日曜日のランチタイム。毎週日曜日にはブランチのみの営業です。
シェフはレバノンのベイルートで2つのレストランを成功させたハッサン イッサさん。その後パリの高級レバノン料理店のシェフに招かれ、2013年にこの店をオープンしたそうです。
店内は明るく、やはり白とピンクの色が穏やかな印象です。実は予約なしで行ったので、最初はいっぱいだと断られたのですが、「ちょっと待ってて」と席を作ってくれたのでした。
中東料理がしっかり楽しめるメゼの盛り合わせ
席につくとまずはオレンジジュースが運ばれて、フレッシュな果汁を楽しんでいると「メゼ」の盛り合わせが運ばれてきました。メゼは中東の前菜です。作り置いた軽い料理で、たくさんの種類を楽しみます。
奥の中央のフラットブレッド「Khebez(ホブス)」はピタパン。その隣は「Sahlab(サハラブ)」という牛乳ドリンクで、Sahlabという植物の根から作る粉を使ってとろみをつけます。ローズオイルとシナモンで、中東の雰囲気を醸し出します。
お皿の左上は、ラムのひき肉を使った洋ナシ型のフライ「Kebbe(キッベ)」。時計回りに、ラムひき肉が入った小さなピザ「Sfeeha(エスフィーハ)、オレガノやタイム、ゴマなどのペーストZstarを薄いパンにのせて焼いた「Manakish(マナキッシュ)」、水切りヨーグルトの「Labneh(ラブネ)」、ひよこ豆のペースト「Humms(フムス)」、 餃子型の「Sambousek Jebneh(サンブーセック・ジブネ)」は中にフェタチーズが入っています。真ん中がパセリとトマトのサラダ「Tabbouleh(タブーリ)」です。
レバノンのチキンライスはしっとりスパイシー
メインは、フライパンで焼いた鶏むね肉を米にのせてスパイスで炊いたレバノンのチキンライスRiz bi-Djaj。チキンはしっとり、米は旨味を吸っています。シンプルだけどスパイスの香りが奥深くて、飽きない味でした。
デザートは3点盛で、四角いカステラのような「Knefeh(クナーファ)」、手前の赤いゼリー状のものは「Rahat Loukoum(ラハトルクーム)」で、薔薇の香りがするゆべしのような食感。そして奥が薄いパイ生地にシロップをしみこませた「Baqlawa(バクラヴァ)」です。
パリで洗練された本格的な中東料理
食べ終わるころには、お店は満席。週末のブランチに、ゆっくりと中東を楽しむのには最適なお店です。価格もリーズナブルで、このセットで€22(2,700円ほど)なら納得です。それに何より、一人でいろいろなものを楽しめるのが醍醐味ですよね。本格的な中東料理を、洗練して仕上げてくれるこのお店、パリの人たちにも人気なわけです。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
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Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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