
世界で最初の発明であり、世界でもっとも使われるブランド

カッターナイフ(折る刃式)は自宅にありますか? 必要な分だけ刃を出して、切れ味が悪くなれば刃先をぽきっと折ればいい、あの優れものです。
世界各国で使われているらしい折る刃式カッターナイフ、実は日本で生まれた製品だとご存じでしょうか?
毎日新聞経済部『増補版 日本の技術は世界一』(新潮社)によれば、大阪府にあるオルファ株式会社の創業者による発明品だとの話。同社の世界シェアは30~40%を占めるといいます。特にカナダではシェア100%に近いそうなので、驚きですよね。
もちろん、交換可能な刃を持つ刃物(ユーティリティー・ナイフ)といえば、折る刃式カッターナイフ以外にもたくさんあります。例えば、STANLEY社の「Stanley 199」のように、刃を折って交換するのではなく、単純に切れ味が悪くなったら刃を交換するタイプも広く使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=-MNLbmc225E
しかし、あくまでも刃を折って(snap-offして)新しくするタイプのカッターナイフ部門に限ると、日本のオルファとその創業者が世界で最初の発明者であり、シェア的にも世界でもっとも使われるブランドと認知されているのですね。
板チョコのように刃が折れるカッターナイフ

折る刃式カッターナイフのリーディングカンパニーであるオルファ社の公式サイトには読みもの『折る刃式カッターナイフの誕生秘話』があります。
同社は、折る刃式カッターナイフの発明家・岡田良男さんが創業した会社です。戦後の復興期にいくつかの職を経て印刷会社に就職した岡田さん。印刷用紙を切る作業に使っていたカミソリの刃に不便さを感じていたそうです。
そんな折、路上の靴職人たちがガラスの破片で靴底を削り、切れ味が悪くなるとガラスを再度割って切れ味を鋭くする作業を目にします。その姿と、敗戦後に進駐軍の兵隊がかじっていた板チョコの思い出がリンクし、次のように岡田さんは思い付いたのだとか。
<そうだ、板チョコのように刃に折り筋を入れておき、切れなくなったら、ポキポキと折っていくと1枚の刃で何回も新しい刃が使えるぞ!>(オルファの公式サイトより引用)
この岡田さんのひらめきから、折る刃式カッターナイフづくりが始まったのですね。試行錯誤の末に決まった刃の長さや大きさ、厚さ、折り筋の深さなどの規格は現在の世界基準になっています。
もちろん、最初からとんとん拍子で開発・販売が進んだわけではないそうです。電話帳を片手に飛び込みのセールスを続け、品質の良さと使い勝手が建築現場の職人などにそのうち高く評価されるようになり、現在の圧倒的なシェアの基盤が出来上がっていくのですね。
刃先をつまんで山折りにする

(C) Crowing Hen / Shutterstock.com
折る刃式カッターナイフといえば、素朴な疑問があります。刃をどうやって折ればいいのか、折った刃をどうやって処分すればいいのか、悩みませんか?
学研キッズネットによると、折りたい部分だけ刃の先端を持ち手から出して、折り筋を上に向け、ペンチや専用の道具を使い、刃先をつまんで山折りにすると簡単に折れるそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=87-HjDZal2M&t=72s
折った刃の処分方法は、各自治体によって細かくは異なります。しかし、基本的には不燃ごみに分類できるので、使用済みの刃先だけを専用のケースに入れたり、少数の場合はセロハンテープでぐるぐる巻きにしたりして、まとめて捨てるといいようですね。
海外旅行に出かけて何かユニークなお土産を買って帰りたいと思ったら、海外に売っているオルファ社のカッターナイフを探し、現地の言語で書かれたパッケージの商品を買って配ると面白いかもしれません。スーツケースに入れておけば持ち帰れます。次の海外取材で筆者も一度探してみようと思いました。
[参考]
※ オルファカッターナイフ – NTTコムウェアのサイト
※ カッターナイフの正しい使い方 – OLFA
※ 折る刃式カッターナイフの誕生秘話 – OLFA
※ 5-3/8 IN CLASSIC 199® FIXED BLADE UTILITY KNIFE – STANLEY
※ Toolipedia: Utility Knives – family handyman
※ 毎日新聞経済部『増補版 日本の技術は世界一』(新潮社)
[Photos by Shutterstock.com]

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
知らないと損をする英会話術128 居眠りや朝寝坊など「睡眠」に関するフレ
May 29th, 2022 | フレッチャー愛
みなさんは毎晩、よく眠れていますか? “I’ll sleep on it”は「それの上で寝る」!? “He is fast asleep”は「急いで眠っている」!? これらのようなSleep以外の眠ることを表す言葉や、Sleepを使って眠る以外のことを表す表現など、毎日ネイティブが使う睡眠に関するフレーズを解説します。
「退職」と「離職」の違いって?【正しい日本語解説Vol.1】
May 29th, 2022 | 熊本沙織
「アメリカ人にとって日本語は最難関の言語」という話も耳にするほど、数ある言語のなかでも複雑な日本語。日常生活で何気なく使っている言葉でも、意外と意味が説明できなかったり、類語との違いがわからかったりする場合も多いはず。このシリーズでは、そんな知っているようで意外と知らないビジネスシーンの頻出ワードを徹底解説! 今回は、言葉自体も似ていて違いがわかりにくい「退職」と「離職」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。
【地図記号クイズ】チクチク&ギザギザな葉っぱがヒント!「〇〇樹林」
May 26th, 2022 | TABIZINE編集部
旅好きの皆さんの中には、「1日中ずっと地図を眺めていられる」なんて言う人も多いかもしれません。遠い地の景色を思い描きながらの卓上トリップも素敵ですよね! そこでここでは、そんな地図好きさんのために「地図記号クイズ」を連載でお届けします。2万5千分の1の地形図には、全部で134種類の地図記号が設定されているそう。よく知っている記号から、「はじめて見たかも」なレア記号もあるかもしれませんね!
【実は日本が世界一】戦中に一番乗りの「海底鉄道トンネル」は未だ現役だった
May 25th, 2022 | 坂本正敬
意外な世界一を取り上げるTABIZINEの連載。今回は、世界で一番乗りに日本でつくられた、意外な土木遺産を紹介します。
【地図記号クイズ】小中学生が考えたデザインから作られた「○○ホーム」
May 25th, 2022 | TABIZINE編集部
旅好きの皆さんの中には、「1日中ずっと地図を眺めていられる」なんて言う人も多いかもしれません。遠い地の景色を思い描きながらの卓上トリップも素敵ですよね! そこでここでは、そんな地図好きさんのために「地図記号クイズ」を連載でお届けします。2万5千分の1の地形図には、全部で134種類の地図記号が設定されているそう。よく知っている記号から、「はじめて見たかも」なレア記号もあるかもしれませんね!
【日本一の○○連載】定期便復活が期待される「礼文島の最北端施設」とは?
May 24th, 2022 | 坂本正敬
意外な日本一を紹介するTABIZINEの連載。今回は、旅行にも大きく関係する日本最北端の空港の話です。
【地図記号クイズ】竹林にそっくり?パンダのごはんとしてもお馴染み「〇地」
May 23rd, 2022 | TABIZINE編集部
旅好きの皆さんの中には、「1日中ずっと地図を眺めていられる」なんて言う人も多いかもしれません。遠い地の景色を思い描きながらの卓上トリップも素敵ですよね! そこでここでは、そんな地図好きさんのために「地図記号クイズ」を連載でお届けします。2万5千分の1の地形図には、全部で134種類の地図記号が設定されているそう。よく知っている記号から、「はじめて見たかも」なレア記号もあるかもしれませんね!
【日本最古を探せ】武田信玄や徳川家康も訪れた!?山梨の秘湯「慶雲館」
May 22nd, 2022 | 内野 チエ
「日本最古」のスポットは史跡・名勝だけでなく、日常の意外なところにも潜んでいるものです。ホテルや遊園地、喫茶店など、数百年の時を重ねながら現在まで脈々と続く、歴史ある場所やコト、モノを発掘してみました。今回は日本最古の温泉宿「慶雲館」を紹介します。
知らないと損をする英会話術127「時代劇、朝ドラ、ネット配信」エンタメ関
May 22nd, 2022 | フレッチャー愛
ネット配信が普及している今、海外の人と好きなテレビ(ネット)番組について話すのも楽しいですよね。そこで今回は「朝ドラにはまっている」「時代劇が好き」など、テレビ番組やエンタメについての話題で使えるワードを解説します!
【地図記号クイズ】シラカバやケヤキなど幅の広い葉が特徴「〇〇樹林」
May 19th, 2022 | TABIZINE編集部
旅好きの皆さんの中には、「1日中ずっと地図を眺めていられる」なんて言う人も多いかもしれません。遠い地の景色を思い描きながらの卓上トリップも素敵ですよね! そこでここでは、そんな地図好きさんのために「地図記号クイズ」を連載でお届けします。2万5千分の1の地形図には、全部で134種類の地図記号が設定されているそう。よく知っている記号から、「はじめて見たかも」なレア記号もあるかもしれませんね!