後方部から前方部の展望
山代二子塚古墳は島根県松江市にある日本最大級、島根県で最大の前方後方墳です。全長94m(周囲の外堤を含めると150m)、後方部一辺55m、高さ8m。前方部の高さ6.5m。6世紀中頃の築造で国指定史跡です。この古墳が大正13年(1924年)に初めて「前方後方墳」という名称がつけられて学会に報告されたということです。大きさといい、考古学的な歴史といい、前方後方墳を代表するような古墳です。
後方部を横から見たところ
今は公園整備されており、駐車場完備、東屋などもあり自由に出入りできて、市民の憩いの場となっています。草刈りもきれいにされていて、とても見学しやすい古墳です。我々が行ったのは2019年の夏でしたが、古墳は草に包まれていて抹茶ケーキのようで、とてもキレイでした。
後方部は明治40年(1907年)頃、旧日本軍(陸軍歩兵連隊)の射撃場を設置の際に、削られてしまっていましたが、現在は復元されています。そして古墳見学施設の中でも珍しい「土層見学施設」が設置されています。
こちらは後方部の中央に入口があって、中に入ると古墳の土層を見学できます。6世紀の人たちが人工的に盛り土をした工程が、識者がみれば明らか・・・なのかもしれませんが、私は土層のことはよくわからず「これが古墳の断面か・・・!」という感想でした。
土層見学施設内(土層)
断面に線が引いてありますが、そこが「玄室」のあるとされる場所です。ですが、中は未発掘でです。ここまで削っているのに・・・!玄室は発掘されてないなんて・・・!?と思いました。しかし、考古学の世界では「発掘したら中身は劣化するので、発掘が必ずしもよいことだとは限らない」という価値観があると聞きました。「この中には埋葬施設がある」とだけわかっているというのも、歴史のロマンなのかもしれません。出雲東部の大首長が葬られていると考えられていますが、その正体が明らかになる日が来るのでしょうか。
土層見学施設内(ナメクジ・・・)
で、この見学施設・・・。地下なのでなかなかの湿気でした・・・!そして、よく見ると・・・展示パネルに・・・大量のナメクジが!季節にもよると思いますが、古墳の中に入れる系の施設では「中が多湿」というのはわりとあるあるで、入るときドキドキします。
それゆえに「古墳の内部」はちょっとした冒険感を出してくれます。幼児連れの古墳見学はハードなことはできないので、このように誰でも入りやすい施設が設置されていると、とてもうれしいです。
次回も引き続き、出雲の古墳を紹介する予定です。
墳丘の上にいる父子
住所:島根県松江市山代町
[All Photos by Mizutani salucoro]