日本三大桜 「三春の滝桜」
上の写真は、日本三大桜のひとつ「三春の滝桜」の2021年春の姿です。例年に比べてずっと早く開花した滝桜は強烈な印象でした。これほど見事な桜はそうありません。樹齢1,000年を超えるといいますが、いまもたくましく美しく咲き誇っていました。その滝桜の子や孫にあたる桜も近くで美しい花を咲かせているというのです。
まずは「紅枝垂地蔵ザクラ(べにしだれじぞうざくら)」に会いに車を走らせました。周辺は三春町や郡山市が入り組んだ丘陵地帯が広がっています。桜の所在地は郡山市になるようです。
滝桜から車で10分ほどの場所でした。近くに大きな駐車場もありました。歩いて近寄ってみます。
「滝桜の娘桜」と呼ばれる紅枝垂地蔵ザクラ
ちょうど反対側から春の日差しを浴びて神々しく見えます。たしかにしだれ桜です。しかも滝桜に比べて、ちょっと花の色が濃いようです。だから「紅枝垂(べにしだれ)」と呼ばれているのですね。品種はエドヒガン、樹齢は400年で滝桜の娘といわれていますが、お母さんの滝桜と花びらの色が微妙に違う気がします。
紅枝垂地蔵ザクラというその名の通り、桜の下にはお地蔵さまを祀る小さなお堂がありました。生まれたばかりの赤ん坊が亡くなることがないように、無事に健康に育つように、このお地蔵さまに願かけをしたといいます。
いまでは「延命地蔵尊」と呼ばれ、このお堂に中にいらっしゃいました。そのお地蔵さまの脇には、地元の人々が安置したであろう小さな赤ん坊の石像も。子を思う親の強い思いが伝わってきました。
お堂の前には迫力のある幹がどーん伸びています。この太い幹でしだれ桜を支えている姿は、子どもたちを守る親のように思えました。
そして花々はたくさんの小さな子どもたち。日差しを浴びてたくましく育ってほしいものだと願いました。
近くには「地蔵桜縁起」を記した石板がありました。これによれば、樹齢は1,000年とあり、根回り(根元の周囲)は10.5mで、「山峡のそらに羽をひろげる清婉な紅枝垂」とあります。たしかにお母さんの滝桜に較べて、少し色っぽい印象でした。
そして農作業の合間に滝桜を中心に半径10km歩き回り、滝桜の子孫を探し出した木目沢伝重郎さんという方について記されています。420本もの子孫を確認しており、その筆頭がこの紅枝垂地蔵ザクラなんだそうです。
近くには誰が選定したものでしょう、福島県内の桜の番付表も掲示されていました。これによると東の横綱が滝桜で、西の横綱がこの地蔵桜だといいます。
福島県内には本当にたくさんの美しい桜が残されているようです。昔のまま里山がきれいに残されているせいでしょうか。あるいは桜に対する思いが人一倍強いせいでしょうか。どの桜も、その周辺もきれいに整備されていることにも感動します。
次いで上石の不動サクラへ
もうひとつの上石(あげいし)の不動ザクラへと向かいました。所在地は郡山市。桜番付では滝桜に次いで東の大関に選ばれています。
こちらも滝桜から3〜4kmの山あいにあります。位置関係でいいますと、滝桜が三角形の上、北の頂点にあり、南東に紅枝垂地蔵サクラがあり、南西に上石の不動サクラがあるのです。
遠くからでも、丘の上に伸びる美しい桜であることがすぐにわかりました。樹齢は約350年、品種はエドヒガンといい、こちらも滝桜の子孫だといいます。
その脇には、不動明王を祀る不動堂があり、周囲を菜の花が囲んでいました。とても絵になる、美しい光景なのです。
この不動堂は幕末のころ、この地に移り住んだ三春藩士がお堂を寺子屋として使い、地域の子どもたちの教育をしたそうです。その名残が天井などの落書きに残されているといいます。覗いてみたのですが、暗くてよくわかりませんでしたが。
丘の上にある桜の脇に立って見渡してみると、のどかな田園風景が目に広がりました。風も穏やかで心が和らぐような良い気持ちです。
根元は太くたくましいのですが、途中から上の部分がなくなっているようで、四方に枝を広げる形になっています。
ですが、さえぎるものがないので、気持ち良く枝を延ばし、桜の花々も瑞々しく咲き誇っていました。事前に見ていた写真ではもう少し色が濃かったようですが、目の前にすると薄紅色に思えました。
案内板によれば、樹高は16m、幹の周囲は5.3mだそうです。桜を見上げながら、満開のこの木の下で勉強する子どもたちの姿を想像しました。
穏やかな風のなかで、子どもたちのにぎやかな笑い声が聞こえてくるような気がしました。
[All Photos by Masato Abe]
Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。
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