「保留」の意味
「保留」は、そのままの状態で保ち、とどめておくこと。また、その場で決定しないで延ばしておくこと。生活や仕事の上では、「電話を保留にする」という使い方も多く見られます。
質問への回答は保留された。
「留保」の意味
「留保」は、すぐその場で行わず、一時差し控えること。
また、法律用語として、権利や義務を残留・保持すること。国際法においては、多数国間の条約において、ある国が特定の条項を自国には適用しないという意思を表明すること。
条約への加盟を留保する。
保留すること。
参考:コトバンク
「保留」と「留保」の使い分け方
「留保」の辞書を引くと、「保留」という語義が出てくるように、2つの言葉の意味するところはよく似ています。しかし、使われる場面が大きく違っています。
「保留」は、「態度を保留にする」など、日常や仕事で幅広く使われる言葉です。会議などで、結論を先送りにする「棚上げ」「ペンディング」の意味合いで使われている例も。
「留保」は、法律上の権利や義務の話、国際政治の話など、専門的な文脈でよく登場します。正式な会計用語ではありませんが、経営の専門用語として「内部留保」という使い方もよく見られます。
そのため、恋愛で告白をしたときに「返事を保留にされた」は自然ですが、「返事は留保された」というと違和感があります。
【クイズ】より適切なのはどっち?
1→保留
2→留保
1の正解は保留。電話を切らず、そのまま待たせる際の音は「保留音」です。
2の正解は留保。「関係機関の動向を探る」とあり、政治・経済・経営などの専門的な文脈が推察されます。この場合、「留保」が適切です。
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。