10位 隅田川花火大会<日本最古の花火大会>
夏の風物詩といえば、夜空を美しく彩る花火。東京・隅田川沿いの河川敷で7月に開催される「隅田川花火大会」は、都会の真ん中で大輪の花火を間近に見られる一大イベントです。花火の打ち上げ数は2万発以上。毎年95万人もの観覧客(2019年開催時のデータより)を集めています。
隅田川花火大会の発祥は江戸時代。8代将軍・徳川吉宗の時代に、飢饉と疫病が吉宗を悩ませました。1732年(享保17年)の大飢餓で多くの餓死者が出て、さらに疫病が流行。翌1733年(享保18年)5月28日(旧暦)に、慰霊と悪病退散を祈って隅田川で水神祭を行ったことが、花火大会の始まりなのです。
(C)墨田区
隅田川沿いの特設会場をはじめ、東京スカイツリーや周辺のホテル、レストラン、屋形船など、さまざまな場所から異なる風情が楽しめる隅田川花火大会。残念ながら、令和4年(2022年)も中止になってしまいましたが、その歴史を知って、次回の開催を楽しみに待ちましょう。
9位 大浦天主堂<日本最古の教会建築>
長崎市にある大浦天主堂は、幕末の頃に建てられた、現存する日本最古の教会です。創建当時は木造の外壁でしたが、明治時代に増改築が行われてレンガ造となり、現在の姿となりました。
アーチ型の高い天井のゴシック建築、柔らかな光が注ぐステンドグラス、天主堂内のイエス・キリストを腕に抱く聖母マリア像やフランスから贈られた白亜のマリア像など、貴重な歴史的遺産が残されています。
長崎に落とされた原爆の被害にさらされたものの、爆心地から離れていて、倒壊することなく持ちこたえることができたので、国宝や世界遺産にも登録されている大浦天主堂。さまざまな歴史の舞台となった奇跡の場所です。
住所:長崎県長崎市南山手町5−3
電話番号:095-823-2628
拝観料:大人1,000円、中高生400円、小学生300円
公式サイト:https://nagasaki-oura-church.jp/
8位 函館公園こどものくに空中観覧車<日本最古の観覧車>
日本最古の観覧車は、北海道函館市青柳町の「函館公園こどものくに」に設置されている「函館公園こどものくに空中観覧車」。誕生は1950年(昭和25年)で、1989年(平成元年)には観覧車の歴史と価値が評価され、国の登録有形文化財にも指定されています。
鉄骨造の観覧車全体の高さは10m。ホイールは、直径は8mの円形ではなく八角形です。2人乗りのカラフルな長椅子型ゴンドラが2本背合わせのホイールの角に8カ所、挟まれるように設置されています。
積雪や悪天のために冬季(11月中旬〜3月中旬)を除く半年ほどしか営業していないそうなので、それ以外の時期に函館を訪れた際には、この日本最古の観覧車に一度乗ってみてはいかがでしょうか。
住所:北海道函館市青柳町17-4
電話:0138-22-5039
営業時間:平日11:00〜16:00、土日祝10:00〜17:00*春休み・夏休み・GWは祝日扱い
休園日:雨天時、11月中旬〜3月中旬
料金:入園料無料、きっぷ1枚300円、得々きっぷ8枚2,200円
公式サイト:https://kodomonokuni.sakuraweb.com/
7位 大神神社<日本最古の神社>
日本で一番古い神社は、奈良県桜井市にある「大神神社(おおみわじんじゃ)」です。『古事記』や『日本書紀』の神話にもその起源が記されているほど歴史は古く、本殿がないのが特徴です。
一般的な神社は本殿に向かってお祈りをするものですが大神神社は、神社に社殿が成立する以前から存在していた神社で、原初の神祀りを体現しています。ご神体は拝殿の奥にある三輪山。神様が鎮まる山に向かって祈りを捧げる全国でも珍しい神社なのです。
(C) PixHound / Shutterstock.com
『古事記』に記されている大物主大神の恋物語から、「運命の赤い糸」のゆかりの地としても注目を浴びています。さまざまなご利益をもたらしてくれるといわれる最強のパワースポットとしてもいわれているので、願い事のある人は訪れてみてはいかがでしょうか。
6位 道後温泉<日本最古の温泉>
愛媛県松山市といえば、夏目漱石ゆかりの温泉「道後温泉」が有名ですよね。
漱石のエピソードで語られることが多いですが、実はその歴史ははるか古く、およそ3000年前の神話の時代から続く日本最古の温泉といわれており、「日本書紀」や「万葉集」、「源氏物語」などの文献にも登場しています。596年(推古天皇4年)に聖徳太子がこの地を訪れた際の逸話も残っているのです。
(C)道後温泉事務所
歴史・文化的価値から1994年(平成6年)には公衆浴場として日本で初めて国の重要文化財に指定されている道後温泉。そのお湯は、疲労回復や健康増進に効能があるとされるので、日頃の疲れを癒やしに訪れて、奥深い歴史に触れてみるのもいいのでは。
※道後温泉本館は2022年4月現在、営業しながらの保存修理工事中のため、外観の見え方等が掲載されている写真と異なる場合や、利用できない浴室や休憩室があります。詳しくは道後温泉公式サイトをご確認ください。
5位 ビヤホールライオン銀座七丁目店<日本最古のビヤホール>
東京・銀座ライオンビルの1階にある「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」は、現存する日本最古のビヤホールです。1934年(昭和9年)4月8日のオープン以来、現在まで変わらぬ姿のまま営業を続けています。
戦争の空襲を奇跡的に免れた建物は、歴史的建造物としても高く評価されており、国の登録有形文化財に登録されています。
店内に入ってまず目を引くのが、正面にある大型のガラスモザイク壁画。壁にあしらわれた赤レンガや、葡萄の房をモチーフにしたシャンデリアなど、神殿や教会を思わせる空間となっています。こんな歴史的な空間で味わうビールマイスターが注ぐ極上の生ビールは、よりいっそう味わい深く感じられることでしょう。
住所:東京都中央区銀座7-9-20 銀座ライオンビル 1F
電話番号:03-3571-2590
営業時間:月~土11:30~23:00、日・祝日11:30~22:30
定休日:なし
公式サイト:https://www.ginzalion.jp/shop/brand/lion/
4位 札幌市時計台<日本最古の時計台>
白い壁に赤い屋根のレトロな佇まいで、札幌市の観光名所としても人気のスポット「札幌市時計台」。1878年(明治11年)につくられた日本最古の時計台の建設にはクラーク博士が関わっており、北海道開拓の歴史と深い結びつきがある建物です。
国の重要文化財にも指定されており、時計は明治時代に設置された当初と同じものが、今も現役で動き続けています。
1階には時計台の歴史を伝える資料やパネルの展示があり、2階部分は演奏会や講演会を行うホールになっています。ベンチに腰掛けるクラーク博士の像と一緒に記念撮影もできますよ。
住所:札幌市中央区北1条西2丁目
電話番号:011-231-0838
開館時間:8:45〜17:10分(入館は17:00まで)
休館日:1月1日〜1月3日
観覧料:大人200円、高校生以下は無料
公式サイト:http://sapporoshi-tokeidai.jp/
3位 日光金谷ホテル<クラシックホテル第1号>
まず紹介するのは、栃木県日光市にある「日光金谷ホテル」です。日光東照宮の目の前に構える存在感あふれるホテルなので、その存在を知っている人も多いはずですよね。
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同ホテルは、1873年(明治6年)に開業した日本最古のホテルという側面も広く知られていますよね。外国人向け宿泊施設「金谷カッテージ・イン」として開業し、それから姿を変えながらも現在まで約150年間も営業を続けているのです。2005年には本館、新館、別館、竜宮が国指定登録有形文化財に登録され、2007年には近代化産業遺産に認定されています。
館内には、同ホテルならではの美しい彫刻や調度品なども多数。「虹鱒のソテー金谷風」などの歴史を紡いだグルメも楽しめるので、特別な旅を演出してくれることは間違いありません。
住所:栃木県日光市上鉢石町1300
電話:0288-54-0001
URL:https://www.kanayahotel.co.jp/
2位 グラバー邸<現存する日本最古の木造洋風建築>
16世紀後半から海外交易の重要拠点となった長崎港。異国の文化や産業が長崎港から流れ込み、異国情緒あふれる港町として発展した長崎の街に建つ「グラバー邸」は、現存する日本最古の木造洋風建築です。
江戸時代、スコットランド出身の貿易商、トーマス・ブレーク・グラバーとその家族が暮らしたバンガロー風様式の木造平屋建ては、幕末維新の志士・坂本龍馬との出会いの舞台ともなった場所です。グラバーは龍馬が仲介役をした薩長同盟の成立を支援。また、龍馬の貿易結社「亀山社中」の後ろ盾となって倒幕運動にも積極的に協力しました。
グラバー邸は、1961年(昭和36年)に国の重要文化財に指定され、2015年(平成27年)には「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として、世界遺産に登録されています。グラバー邸と合わせて長崎で龍馬ゆかりのスポットを巡ってみれば、歴史の変動期の日本を感じられるかもしれせんね。
住所:長崎県長崎市南山手町8-1
電話番号:095-822-8223
開園時間:8:00~18:00
入園料:大人620円、高校生310円、小・中学生180円
公式サイト:http://www.glover-garden.jp/
1位 法隆寺<日本最古の木造建築>
「法隆寺」は聖徳太子が父・用明天皇のために創建したお寺で、607年(推古天皇15年)に完成。現存する世界最古の木造建築物として、日本で初めて世界文化遺産に登録されました。
その中心である西院伽藍の五重塔、金堂、中門、大講堂、回廊、そして東の東大門、夢殿は、国宝に指定されており、国宝・重要文化財に指定されている建築物は55棟。また、仏像をはじめとする美術品も、国宝・重要文化財合わせて約3,000点にものぼります。
法隆寺は太子を弔う菩提寺でもあるとされおり、威厳の中に穏やかな微笑を浮かべた金堂の「釈迦三尊像」は、聖徳太子の等身大の像といわれ、太子の人柄をそこはかとなく感じさせる表情をしています。
住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
電話番号:0745-75-2555
拝観料:大人(中学生以上)1,500円、小学生750円
公式サイト:http://www.horyuji.or.jp/
まだまだある!日本最古
神戸ムスリムモスク<日本初のモスク>
兵庫県神戸市の北野は、明治・大正時代に外国商人たちが住む洋館が多く建てられた異国情緒あふれる街として知られていますよね。その一角にある「神戸ムスリムモスク」は日本で最初のイスラム教の礼拝所です。
神戸・北野の街並 (C) Shutterstock.com
北野は西洋のイメージが強いエリアですが、実は当時からインドやトルコ、ペルシャといったイスラム文化圏の商人たちも多く移り住んでいました。昭和初期、神戸在住のトルコ人やタタール人、インド人貿易商らの出資と、在神教徒らの寄付金により、イスラム教を信仰するムスリムの人たちのために建てられたのが同モスクなのです。第二次世界大戦や阪神淡路大震災など、数々の困難を乗り越え、現在も、日本に住むムスリムの人たちの心のよりどころとなっています。
(C)一般財団法人 神戸観光局
礼拝中でなければ、イスラム信徒以外の人でも見学が可能です。豪華なシャンデリアが飾られたモスクで、イスラムの伝統と、美しく厳かな空気に包まれてみてはいかがでしょうか。
小石川植物園<日本最古の植物園>
東京都文京区にある「小石川植物園」は、日本最古の植物園。正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」といい、植物学の研究を行う学生の学びの場となっています。東アジアの植物研究の世界的センターとして、多くの植物研究者に活用され、日本の植物多様性研究の重要な拠点ともなっています。
(C)KanokpolTokumhnerd / Shutterstock.com
その起源は江戸幕府が開設した「小石川御薬園」。1722年には、第8代将軍・徳川吉宗が町医者の小川笙船(赤ひげ先生)の訴えにより、貧民救済の医療施設として養生所を開設しました。薬が高価で、ケガや病気になっても庶民が満足に治療も受けられなかった時代に、無料で診察し、植物園で育てた薬草を用いて治療を行ったそうです。
16万1,588平方メートル(4万8,880坪)もの広大な敷地には、台地や傾斜地、低地、泉水地などの地形を利用してさまざまな植物が植えられています。樹齢約130年と推定される日本最古級のソメイヨシノをはじめとする各種サクラ、約80品種もの花が咲くツバキ園や、約70品種140株を植栽する梅林、イロハモミジの並木、徳川綱吉ゆかりの日本庭園などがあり、四季折々の花や紅葉を楽しむことができますよ。
住所:東京都文京区白山3-7-1
電話番号:03-3814-0138
開園時間:9:00~16:30(入園は16:00まで)
休園日:月曜(祝日の場合は翌日、月曜から連休の場合は最後の祝日の翌日)・年末年始
料金:一般400円、小・中学生130円
URL:https://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/koishikawa/
三光丸<日本最古の胃腸薬>
古くから和漢薬の製造が行われ、古来より受け継がれた製法を守る「大和家庭薬」が今も伝わっている奈良県御所市。その町の一角にある「三光丸」は、現存する日本最古の製薬会社で、社名にもなっている胃腸薬「三光丸」は、鎌倉時代に生まれ、700年もの歴史を持つ日本最古の胃腸薬です。
後醍醐天皇が名付け親とされる三光丸は、センブリ、ケイヒ、オウバク、カンゾウの4種の生薬が配合された丸薬。胃弱、食べすぎ、食欲不振、飲みすぎ、もたれ、胃部・腹部膨満感、胸やけ、胸つかえ、はきけ、嘔吐などに効くとされ、長きにわたって公家や武士たちに重宝されてきました。
三光丸本社の隣にある「三光丸クスリ資料館」には、生薬の歴史や薬づくりを描いたミニシアターや、実際に使用されたさまざまな資料や道具などの展示コーナーなどがあり、大和の薬の歴史をわかりやすく知ることができますよ。
住所:奈良県御所市大字今住700-1
電話番号:0745-67-0003
営業時間:9:00~16:00
休業日:土・日・祝日
料金:無料
URL:https://sankogan.co.jp/kusuri-museum/
旧長浜駅舎<現存する日本最古の鉄道駅舎>
旅行に出かける時に利用する鉄道の駅。全国には多数の駅が存在しますが。現存する日本最古の鉄道駅舎は、琵琶湖の東側のほとりにあるJR長浜駅にあります。
旧長浜駅舎は1882年(明治15年)に北陸線の始発駅としてつくられました。イギリス人技師が設計を担当し、鹿鳴館になぞらえた高級感あふれる西洋館風の内装が特徴的。暖炉や回り階段、彫刻入りの欄干が備えられ、また、一等・二等待合室には八角形の釣ランプや、ビロード張りのクッションの長椅子が置かれました。
130年前の姿をそのまま残した旧長浜駅舎は長浜鉄道文化館、北陸線電化記念館とともに観光施設「長浜鉄道スクエア」として整備され、当時の姿を見ることができます。映画やドラマの舞台に入り込んだような気分が味わえますよ。
住所:滋賀県長浜市北船町1-41
電話番号:0749-63-4091
営業時間:9:30~17:00
休館日:12月29日~1月3日
入館料:大人300円、小中学生150円
公式サイト:https://kitabiwako.jp/tetsudou/
放香堂珈琲<日本最古のコーヒー店>
コーヒーが好きな人は多いですよね。最近は、さまざまなコーヒーチェーンやこだわりの豆を扱う専門店を至る所で見かけますが、日本最古のコーヒー店は神戸にあります。江戸時代末期から国際貿易港として大きく発展した神戸港にほど近い神戸元町商店街にある「放香堂珈琲(コーヒー)」です。
※写真はイメージです
放香堂珈琲を始めたのは、宇治茶の里・京都府和束の茶農家です。1874年(明治7年)、神戸元町商店街に宇治茶の小売り店を開店。やがてコーヒー豆の輸入も手がけるようになり、日本茶とコーヒーの両方を販売するようになりました。1878年ごろには新聞に「イートインもできるお店」ということを謳った広告を出しており、日本最古のコーヒー店だったことを示す貴重な資料となっています。
お椀型の臼や薬研を使ってコーヒー豆を挽いていた伝統から、コーヒー豆専用石臼を開発し、いまもオリジナルの「石臼挽きコーヒー」を販売しています。神戸へ足を運ぶ機会があったら、その昔ながらの味を楽しんでみては? オンラインストアでも販売を行っているので、お取り寄せしてみてもいいですね。
住所:兵庫県神戸市中央区元町通3-10-6
電話番号:078-321-5454
営業時間:9:00~21:30
定休日:水曜日
公式サイト:http://www.hokodocoffee.com/
今回は、「日本最古」の企業や建造物、伝統行事の記事ランキングを紹介しました。日本には、ぜひ見ておきたい貴重なモノやコトがたくさん隠れています。あなたが興味をひかれた日本最古はどれでしたか? ひとつずつ掘り起こしながら旅を楽しむのもいいかもしれませんよね。
※集計期間 2022年2月1日〜2023年11月30日 TABIZINEサイト上のページビューにて集計
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