1400年もの歴史を重ねる木造建築物
【法隆寺の歩み(抜粋)】
593年(推古天皇元年) 聖徳太子が推古天皇の摂政となる
601年(推古天皇9年) 斑鳩宮の建設を開始
605年(推古天皇13年) 聖徳太子が斑鳩宮に移る
607年(推古天皇15年) 法隆寺を建立
622年(推古天皇30年) 聖徳太子が亡くなる
670年(天智天皇9年) 伽藍を焼失
8世紀初頭 伽藍が再建される
739年(天平11年) 夢殿を建立
1993年(平成5年) 日本初の世界文化遺産に登録される
奈良県北西部に位置する斑鳩町は、聖徳太子ゆかりの地。叔母にあたる推古天皇が即位後に聖徳太子は摂政として政治で力を奮い、605年に斑鳩の里に移り住んで亡くなるまでの間をこの地で過ごしました。
斑鳩町には現在も聖徳太子が築いた飛鳥時代の歴史や文化を知ることのできる遺構などがが多数残されており、中でも法隆寺は世界に知られる日本の名所となっています。「法隆寺」は聖徳太子が父・用明天皇のために創建したお寺で、607年(推古天皇15年)に完成。現存する世界最古の木造建築物として、日本で初めて世界文化遺産に登録されました。
まさに日本の宝!国宝・重要文化財が55棟も
601年(推古天皇9年)、聖徳太子は推古天皇とともに斑鳩宮の造営を始めました。その際、父・用明天皇の病気平癒と冥福を祈るために法隆寺の建設にも着手。斑鳩宮に拠点を移した2年後の607年(推古天皇15年)に、法隆寺はようやく完成を迎えました。
金堂の「釈迦三尊像」は、622年(推古天皇30年)に聖徳太子が病に倒れ亡くなる際、病気平癒と冥福を祈ってつくられたもので、聖徳太子の等身大の像といわれています。太子の死後の翌年に釈迦の像が完成し金堂に納められたことから、法隆寺は太子を弔う菩提寺でもあるとされおり、威厳の中に穏やかな微笑を浮かべた釈迦三尊像は、太子の人柄をそこはかとなく感じさせる表情をしています。
『日本書紀』には670年(天智天皇9年)に伽藍が焼失したとあり、奈良時代の初頭に再建されています。その後、法隆寺は天災や戦火に遭うこともなく、現存する1400年前の木造建築物として今に遺されています。
その中心である西院伽藍の五重塔、金堂、中門、大講堂、回廊、そして東の東大門、夢殿は、国宝に指定されており、国宝・重要文化財に指定されている建築物は55棟に及びます。また、仏像をはじめとする美術品についても、国宝・重要文化財を合わせると、その数は約3,000点にものぼります。
聖徳太子の足跡をたどる古都散歩へ
斑鳩の里は聖徳太子と関わりの深いお寺や史跡が多く残されており、散歩やサイクリングでの街めぐりをしてみるのもおすすめです。
まずは、聖徳太子が住んだ「斑鳩宮」。これは法隆寺の東院伽藍が建つ場所にあったとされています。もともと東院伽藍は、太子の亡き後に高僧・行信によってつくられたもの。八角形のお堂が特徴の「夢殿」は行信が739年(天平11年)ごろ太子供養のために建立し、その前は斑鳩宮があったということです。
また、法隆寺の東隣にある「中宮寺」は、聖徳太子が母・穴穂部間人皇后のために創建したお寺です。太子が暮らした斑鳩宮と、晩年に移り住んだ「葦垣宮」の中間にあったことから、中宮寺と呼ばれるようになったのだとか。
中宮寺の本尊は国宝・菩薩半跏像。思惟を含んだ気品ある表情で、エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザと並び、「世界の三つの微笑像」とも呼ばれています。
そして、太子が晩年に暮らしたという葦垣宮。中宮寺から南東へ10kmほど行くと「上宮遺跡公園」がありますが、この場所こそ聖徳太子が晩年に暮らした葦垣宮の跡地であり、諸説ありますが、聖徳太子が息を引き取った最期の場所ともいわれています。
法隆寺と中宮寺から上宮遺跡公園までは、歩いて15分ほど。その道はかつて聖徳太子が歩いたものと同じ道かもしれません。1400年を経ても今なお色濃く残る聖徳太子の足跡を追って、歴史ロマン漂う古都の街散歩に出かけてみませんか。
[Photos by Shutterstock.com]
内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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