
長野県千曲市「光文堂」
温泉街の中心地にある駄菓子屋
長野県は事前にインターネットで下調べしても、現地に着いても駄菓子屋の情報があまりなく、かなり苦戦しそうな予感がしていました。こういう時は問屋さんに聞いてみるしかない、ということで問屋さんも探してみたんですが、調べ方が悪いのか、それもあまりない。もしかして、信州は人口に対して駄菓子屋の数が極端に少ない駄菓子屋受難の地なのでは・・・?と考え始めました。

長野県の駄菓子問屋「小西屋」
辛うじて上田市で、小売りもしている問屋「小西屋」さんを発見。まず買い物をさせてもらい、会計の時に周辺に昔ながらの駄菓子屋が残っていないかと尋ねたところ、「上山田温泉で卸している店が1軒ある」との情報をいただけたのでひと安心し、早速向かいました。

小売りもしている「小西屋」の店内
千曲川の西側に温泉旅館がたくさん立ち並ぶ上山田温泉。「中央通り」という名前なので、おそらくこの地区のメインストリートだと思うのですが、その通り沿いに駄菓子屋がありました。看板はありませんが、通りからおもちゃがぎっしり並んでいる店内が見えるので、子ども向けのお店であることがうかがえます。

上山田温泉の中央通りにある「光文堂」
店内に入ると、店の奥の奥にある居室と会計する場所が合体したスペースから「いらっしゃいませ~」と声をかけられました。入り口側におもちゃ、右奥に文房具、左奥に駄菓子売り場という造りになっていて、目的ごとに買い物がしやすくなるような工夫がされています。棚の間隔が近いので通路が狭く、天井までが売り物があふれ、静かで独特の閉塞感がある空間。「昔のおもちゃ屋さんとかプラモデル屋さんって、こんな感じだったよなぁ」と、とても懐かしい気持ちに包まれます。
楽しかった昔の記憶を呼び起こす店
光文堂は、昭和27年(1952年)に現店主のお母さんが創業し、元々はおもちゃと文房具を扱うお店だったそうです。20年ほど前におもちゃの問屋さんから「駄菓子も置いたらどうですか?」と提案され、現在の形になったとのこと。元々は観光客が多いお店だったそうで、駄菓子を置くようになると地元の子どもたちも日常的に来店するようになり、順調に商売を続けてきたそうです。

「光文堂」の店内
「ここは観光地で、旅行で来てるお客さんは、今風に言うとテンションが上がるっていうのかな、つい財布の紐がゆるくなっちゃうでしょう?(笑)母もうまいこと考えたなと思いますよ。うちは昔から夜9時まで開いてるんだけど、子ども相手のお店としてはかなり遅い閉店で。なんでかって言うと、みんな旅館で食事して、温泉に入ったあと浴衣で夜遅くまで出歩くんですよ。忙しい時期なんて、外を歩く人の足音や話し声で夜眠れないなんてこともあった。逆に日曜日はみんな帰っちゃう日だからお休み。なんでもそうだけど、その土地に合わせた商売の仕方がありますよね」
お店の歴史の中では駄菓子が一番新しい商材というのも興味深いエピソードでしたが、なにより店主と話していると、子どもの頃に家族で行った旅行のことや、今は亡き祖父母に連れて行ったもらったおもちゃ屋さんのことを思い出します。誰と行った、どこにあった、何を買ってもらった・・・ 光文堂は楽しかった昔の記憶を呼び起こすきっかけになる、“ノスタルジー”という言葉そのものを持ったお店でした。
光文堂
住所:長野県千曲市上山田温泉1-71-6
営業時間:9:00~21:00
定休日:日曜日
[All photos by Atsushi Miyanaga]

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Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
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