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「煮詰まる」の正しい使い方は?【正しい日本語解説Vol.29】

Posted by: 熊本沙織
掲載日: Dec 15th, 2022.

社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らない頻出ワードを徹底解説! 今回は、人によって解釈が分かれる「煮詰まる」という表現について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。

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「煮詰まる」の意味


「煮詰まる」の意味はもともと、「①煮えて水分がなくなること」でした。これは料理用語の「煮詰まる」にも通じる言葉で、「料理を煮込み、水分を飛ばすことで味の成分が凝縮され、完成に近づいた状態」というイメージが、「②十分に議論がなされて、結論が出る段階に近づくこと」という意味の由来になっています。

ただ、近年は「③時間ばかりが過ぎ、行き詰まって結論が出せない状態」という意味で使う人が増えています

【例】
文化祭の出し物を決める話し合いが煮詰まってきた

「煮詰まる」の新しい解釈


この記事では、「煮詰まる」の意味の一つとして「時間ばかりが過ぎ、行き詰まって結論が出せない状態」を紹介しています。しかし、これを新しい解釈とするか、誤用とするかは、現状では判断が分かれている状態です。

2013年度(平成25年度)に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」には、「煮詰まる」の意味を尋ねる質問がありました。その結果は、「結論が出る状態」と答えた人が51.8%で、「結論が出せない状態」と答えた人が40%となっています。

この調査では、「結論が出る状態」と答えた人は2007年に行った同じ調査時よりも約5%減り、「結論が出せない状態」と答えた人は、約3%増えました。今はまだ「結論が出る状態」と答える人が主流ですが、少しずつ「結論が出せない状態」と答える人が増えてきていることがわかります。

③はもともと誤用であると考えられていましたが、現在はいくつかの辞書・辞典では、正しい意味として紹介されています。これは、上の調査のような実際の使用状況を反映しているものといえるでしょう。一方で、③の意味を「誤り」としている辞書もあります

「煮詰まる」の正しい使い方


「煮詰まる」には、「結論の出る状態」と「結論が出せない状態」という正反対の意味があるため、どのような意図で使っているかを確認しなければ、大きな誤解を生んでしまいます。

「煮詰まってきて、もうすぐ結論が出せそうです」とか、「煮詰まっていて、結論が出せない状況です」というふうに、どのような状況なのか、ほかの言葉も使って補足することで誤解を防ぐとよいでしょう。

監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。

吉田裕子先生の(株)裕泉堂 公式サイトはこちら

熊本沙織

saori-kumamoto
編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。


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