
「世論」の読み方

「世論」の読み方は、「よろん」・「せろん」・「せいろん」の3通り。どの読み方も間違いではありません。
もともとの表記は「輿論(よろん)」でしたが、昭和21年に公布された当用漢字に「輿」の文字が含まれていなかったことから、こちらも昔からあった「世論(せろん・せいろん)」という言葉の字を転用して、「世論(よろん)」も表記するようになりました。これが、「よろん」・「せろん」・「せいろん」と読み方が複数ある理由だと考えられています。
ちなみに「せいろん」という読み方は現在ではあまり使われないので、「よろん」と「せろん」の2通りの読み方があると覚えておけばよいでしょう。
「世論」の意味

現在では、「世論」はどの読み方をする場合も「ある社会問題に対して世間の人々の持っている意見」という意味で使われることが大半です。
ただし、厳密には元々の表記に基づきニュアンスが若干異なります。元々の表記「輿論(よろん)」と同じ読み方で「よろん」と読む場合は「人々の議論や議論に基づいた意見」という意味合いに、元々の表記「世論(せろん)」と同じ読み方で「せろん」「せいろん」と読む場合は「世間一般の感情から出た意見」という意味合いになります。
【例】
世論は新しい政策に反対だ。
参考:Weblio
マイナビ
「よろん」と「せろん」、どちらの読みを使えばいい?

「よろん」と「せろん」はどちらも正しい読み方ですが、いったいどちらを使えばよいのでしょうか。
文化庁が行った平成15年度の「国語に関する世論調査」では、「世論」をふだんどちらで発音しているかとの問いに対し、73.6%の人が「よろん」、18.9%の人が「せろん」と答えています。
この結果から、「よろん」と読めば大半の人に「世論」のことだとスムーズに通じ、会話が成り立つと考えられます。迷ったら「よろん」と読むのが無難といえるでしょう。
監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。
吉田裕子先生の(株)裕泉堂 公式サイトはこちら

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saori-kumamoto
編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。
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