
「危機一髪」と「危機一発」、正しいのは…

一文字違いの「危機一髪」と「危機一発」ですが、正しい表現は「危機一髪」。
「一髪」と「一発」はどちらも「いっぱつ」と読みますが、言葉の意味を知れば「一髪」の字が用いられている理由がわかります。
「危機一髪」の読み方と意味

「危機一髪」は、髪の毛1本ほどの違いで安危が分かれるような、きわめて危険な瀬戸際のこと。1つ違えば危険に陥るような、ぎりぎりの状態をさしています。
映画のタイトルやおもちゃの商品名などで「危機一発」という表記が用いられたことがあるためか誤用されがちですが、正しい表現は「危機一髪」であると覚えておきましょう。
「一髪」を使った言葉には、「間一髪」もあります。これは髪の毛1本の幅ほどのわずかなすき間という意味から、物事が非常に差し迫っていることや、危ないことをさします。「危機一髪」とほぼ同じ意味ですが、危機一髪のほうがより危険度が高い場合に使われることが多いでしょう。
【例】
高波で船が大きく傾いたが、危機一髪のところで難を免れた。
「危機一髪」の類義語は?

「危機一髪」の類義語である「絶体絶命」・「九死」・「剣ヶ峰」はいずれもきわめて危険な瀬戸際、ぎりぎりまで追い詰められた最大の危機という意味です。それぞれの細かな意味の違いを知って使い分けましょう。
絶体絶命(ぜったいぜつめい)
「絶体」と「絶命」は、どちらも九星占いの凶星の名で、この星が現れると破滅を招くと言われています。「絶対絶命」と「対」の字を使うのは誤りなので、注意しましょう。
九死(きゅうし)
九死は十のうち九までは死ぬという、ほとんど命が助かりそうもないような危険な状態をさします。「九死に一生を得る」の形で使うことで、「ほとんど命が助かりそうもないところをかろうじて助かる」という意味になります。
剣が峰(けんがみね)
剣が峰は火山の噴火口の周縁、特に富士山頂の噴火口の周縁を表す言葉。「剣が峰に立つ」や「剣が峰に立たされる」という形で使うと、「足がかりがなく、もう後がない、いつ落ちてもおかしくない状態になる」という意味になります。また、剣が峰は相撲用語として土俵際の俵の一番高いところという意味もあります。
監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。
吉田裕子先生の(株)裕泉堂 公式サイトはこちら

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saori-kumamoto
編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。
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