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福井県立恐竜博物館の恐竜を手がけた会社
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筆者の暮らす北陸(富山・石川・福井)には、手取層群と呼ばれる地層が広がっています(岐阜も)。その手取層群からは恐竜化石が次々と発見されていて、発掘に力を入れる福井には県立恐竜博物館もあります。
福井県の玄関口である福井駅前には巨大な恐竜ロボットが設置されていますし、石川県の玄関口である小松空港のロビーにも動く恐竜が展示されていることからも、恐竜に親しみ深い土地であることが伝わってきますよね。
訪れたことのある人はわかると思いますが、置かれている恐竜には、子どもが恐れおののいて泣き出すくらいの迫力とリアリティがあります。あの動く恐竜模型は誰がつくっているのでしょうか。
結論から言うと、東京に本社を構える株式会社ココロ がそのつくり手です。
同社は1984年(昭和59年)4月に東京都世田谷区で設立されてから、動く恐竜の模型「動刻」を国内外の博物館などに納めてきました 。もちろん、福井県立恐竜博物館の恐竜も、福井駅前の恐竜も、小松空港の恐竜も同社の作品です。
ほかにも、ロンドン自然史博物館やウィーン自然史博物館、アメリカ自然史博物館、上海自然博物館など、国際的な博物館にもココロの恐竜模型が置かれてきました。
ギネス世界記録にも登録
ジェミノイドHI-1(奥)と石黒浩氏 image by Shervinafshar in Wikipedia
この恐竜模型づくりで世界をリードする企業は、異なる分野でも世界一の偉業を成し遂げています。
30代~40代以上の人は記憶していると思いますが、今から15年以上前の2005年(平成17年)に、ロボット研究の第一人者・石黒浩さんがつくった研究用人体型ロボット「ジェミノイドHI-1(GEMINOID HI-1)」が話題になりました。
話題になったどころか、ギネス世界記録にも「the first true android avatar」(世界初人間に酷似するアンドロイド)として登録 されました。
そんな石黒浩さんそっくりのアバターをつくった会社もココロです。2010年(平成22年)には、石黒さんの研究グループとココロの共同開発で、20代女性をモデルにした人間型ロボット「ジェミノイドF(Geminoid-F)」も発表されました。
言い換えると、ギネス世界記録に登録された人体型ロボットを実現した高い技術力を誇る企業がココロだというわけです。
アメリカの博物館や科学館で評価された恐竜ロボット
福井県立恐竜博物館 (C) AKKHARAT JARUSILAWONG / Shutterstock.com
筆者の手元には、毎日新聞経済部による『増補版 日本の技術は世界一』(新潮社)があります。その本の中ではココロも紹介されていて、同社のつくる恐竜模型のレベルの高さの秘密が書かれています。
制作を担当するのは美術学校などを出た実力派で、その人たちが文献を読みあさり、専門家と協力しながら恐竜の模型をつくっているからこそ、リアルな姿を実現できるのだとか。
そんな同社の質の高い仕事は、アメリカの博物館や科学館で最初に評価されたそう。海外からの注文が殺到し、その反響も手伝って日本の博物館も注文するようになったようですね。
世界から評価されるトップクラスの技術は、恐竜の模型にとどまらず、さまざまな生き物の模型やキャラクター制作にも生かされてきました。研究用人体型ロボット「ジェミノイドHI-1(GEMINOID HI-1)」といったアンドロイドの分野にもその中で貢献してきました。
新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか自由に旅に出られない時期が続きますが、どこかの博物館にお出かけして恐竜の模型を見かけたら「これって、制作はココロですか?」などと学芸員の人に聞いてみるといいかもしれません。
「よくご存じで」などと会話が盛り上がるはずですし、「the first true android avatar」(世界初人間に酷似するアンドロイド)としてギネス世界記録にも認定される研究用人体型ロボット「ジェミノイドHI-1(GEMINOID HI-1)」をつくった世界トップレベルの技術が、恐竜模型を通じて間接的にでも伝わってくるはずです。
足を止めてじっくりと観察したいですね。
[参考]
※ ココロのあゆみ – ココロ
※ 会社案内 – ココロ
※ 遠隔操作型ACTROID-F (アクトロイド –エフ)~アクトロイドシリーズの最新機種~ – ココロ
※ The huge dinosaur world “GONDWANA Das Praehistorium” appears in Germany!
※ 世界初の恐竜ロボット新型登場!恐竜の餌やり体験ができる! – ココロ
※ 人間そっくりの女性型ロボ、阪大とココロが発表 – AFP
※ I, Robots: Androids so Real, They’re Unreal – The Wheeler Centre Books Writing Ideas
※ First android avatar – GUINNESS
※ あの人を訪ねたい 石黒 浩 – Assist Biz
[Photos by Shutterstock.com]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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