ベトナム中央部の世界遺産の街ホイアン
ベトナムは南北に長い国。北には首都ハノイ、南には商業都市ホーチミンという大都市があって、ホイアンがあるのは中央部。東西の幅が狭い地域です。海のそばに位置するホイアンは昔から交易の要で、トゥボン川河口の港町です。現在までよく保存されている街並みは、「15世紀から19世紀のアジアの交易港の古い街並み」として、1999年に世界遺産に登録されました。冒頭の写真は「廣肇會館(こうちょかいかん)」という集会所。
古い町並みの特徴の一つは、鮮やかな黄色に塗られた建物。「Yellow City」とも呼ばれていて、ほとんどの建物がこの色です。黄色は縁起がいいからというのが、その理由の一つと言われています。こんな風に、街の風景はどこを切り取っても絵になります。
世界的なグルメを唸らせるバインミー
さて、市場のすぐそばにバインミーがおいしい「Bánh Mì Phượng (バインミー・フーン)」があります。上の写真の真ん中の部分、間口が4mほどの小さな店です。朝早いのに、すでに多くの客で賑わっています。現地の人はバイクでやって来て持ち帰る人が多いようでした。
入ってすぐ左側には調理場があって、さまざまな食材が並んでいます。野菜にハーブ、チャーシュー、ハム、グリルしたチキン、辛そうな赤いソース、レバーのパテなどなど。
30,000ドン(約140円)のミックス・バインミーを注文しました。
さまざまな肉類が挟まれたこのバインミーをご覧ください。ミックスなので当たり前ですが、チャーシューにハム、グリルチキンにポークとなかなか豪勢です。パンは表面がパリッとして、内側はふかふかのベトナムのバゲット。ベトナムの魚醤ニョクマムにライムを絞って唐辛子を入れたヌクチャムを振りかけて大口でほおばれば、いろんなおいしさが口いっぱいに広がって朝から幸せになります。しかも、このボリュームでこの値段とは驚きです。
アメリカの有名シェフであり食べ物冒険家でもあるアンソニー・ボーディンが、彼のテレビショー「No Reservations」で、「一番旨いバインミー」と言っただけのことはあります。
2b Phan Chu Trinh, Cẩm Châu, Hội An, Quảng Nam 560000 ベトナム
電話:+84905743773
営業時間:6:30〜21:30 無休
ホイアン名物のホワイトローズ
ホイアンの古い街はどこでも歩いて行ける広さなので、のんびり散策するのが楽しいんです。ぶらぶらと歩いている途中で見かけたのがこちら。作っていた女性に何か聞いてみれば「ホワイトローズだよ」と教えてくれました。
ベトナムでは稲作が盛んですが、ご飯で食べるよりはフォーやブンといった麺に加工したものをよく食べます。また、米粉にしてタピオカ粉と混ぜて水で溶いたものをプルプルに蒸して食べることもあります。このホワイトローズは、米粉とタピオカ粉で作った手のひら大の皮を花びらのようにして、その真ん中に豚肉やエビの小さなかたまりをキュッと押さえて包んで蒸したもの。ホイアン独特の料理です。
夜になって、トゥボン川を渡った中州の川岸に並ぶレストランを覗きながら歩いて、「27」というレストランに入りました。ここでホワイトローズをいただきます。
これが蒸しあがったホワイトローズ。玉ねぎを揚げたものがトッピングされて、エビのだしで作ったたれをつけていただきます。チュルっとした食感で、一口サイズなのでいくつでも食べられそう。甘くてレモンや辛い唐辛子が効いたソースがよく合います。79000ドン(約360円)です。
レストランの2階から川岸を見下ろすと、川面にはランタンの灯りが映り、そぞろ歩きする人たちものんびりとした雰囲気でした。
住所:27 Nguyễn Phúc Chu, Phường Minh An, Hội An, Quảng Nam, ベトナム
営業時間:月 11:30〜17:00 、火 11:00〜22:30、水〜日 11:00〜22:00
ホイアンならではの旅グルメ
ベトナム料理と言っても、北はハノイ、南はホーチミンまで南北に長い土地ですから、それぞれの地域に独特な食べ物があります。もちろん共通した調味料も使いますが、その使い方はさまざまです。ホイアンは特に、米粉を使ったチュルチュル系の食べ物がいろいろあります。ほかにも見つけたら試してみてください。
[All photos by Atsushi Ishiguro]