富士見塚古墳 1号墳、前方部墳頂から
※コロナ禍なので実際はマスクをしていますが、マンガでは人物のマスクは省略しています
日本で2番目の大きさの湖、茨城県の霞ヶ浦の周りには古墳がいっぱいあります。古墳が好きになるまで、茨城県に古墳のイメージはあまりなかったのですが、茨城県も魅力的な古墳がたくさんあります。奈良時代に書かれた『常陸国風土記』では茨城は「常世の国」と言われていたそうです。山もなく土地が広く海山からの恵みもたくさんある茨城県は、まるで「常世の国(極楽)」のようだったとか。
そんな茨城県にある霞ヶ浦の周りには豊かな豪族達がいたようで、古墳もたくさんあるのです。
富士見塚古墳 墳頂から見える霞ヶ浦
まずは富士見塚古墳。かすみがうら市にあります。富士見塚古墳群として前方後円墳1基、円墳4基、計5基の古墳で構成されています。5世紀末から6世紀初頭に築造されたといわれています。
富士見塚古墳 1号墳
一番大きな前方後円墳の1号墳と円墳の2号墳、3号墳が「富士見塚古墳公園」は茨城県指定史跡に指定されて「富士見塚古墳公園」で整備され見学することができます。
まず、この富士見塚古墳なのですが、古墳群は小高い丘の上にあり、結構な長い階段を登っていきます。階段を登りきったその上に巨大な古墳がそびえ立っています。墳丘長80.2m、前方部のほうが高く9mあります。
ほかの前方後円墳にはある「段」がなく、墳頂までギュイーンとそそり立つ鋭角な墳丘がとてもかっこいいです。段のある古墳はメキシコのテオティワカンの「太陽のピラミッド」のようなかっこよさがあるのですが、段がない古墳はエジプトのピラミッドのような迫力があります。
墳丘は鋭角ですが階段がついているので、墳頂まで簡単に登ることができます。そして、霞ヶ浦を眺めることができます。冬の晴れた日には富士山も見ることができるということで富士見塚古墳という名前になったそうです。
整備された古墳の姿はとても美しく、墳丘大好きな私的には「イケ古墳」ランキングのかなり上位に入りました。
公園内にある2号墳と3号墳は1号墳の前方後円墳の中央の線の延長上にきれいに並んでおり、これもまた美しいレイアウトです。円墳も小ぶりながらシャープな墳丘です。
富士見塚古墳 2号墳
公園の丘の下に「富士見塚古墳展示館」というこぶりな発掘品の展示館があります。富士見塚古墳1号墳の主体部は残念ながら盗掘を受けていましたが、犬や鹿の動物埴輪や家型埴輪が展示されています。
富士見塚古墳展示館
続いては三昧塚古墳です。
三昧塚古墳
霞ヶ浦を挟んで富士見塚古墳のちょうど反対側の5km真南に三昧塚古墳があります。富士見塚古墳から車で20分ほどの行方市にあります。
三昧塚古墳 後円分墳頂から見える霞ヶ浦
三昧塚古墳は5世紀中頃から後半ごろの築造と推定されています。墳丘長は82.1m、こちらは前方部のほうが高く8mあります。墳丘はなんと残念なことに、昭和30年の霞ヶ浦堤防工事のために削平されてしまいました。その時の緊急発掘調査で、たくさんの副葬品が発掘されました。主体部は盗掘にあっておらず、石棺内から金冠や耳飾り、銅鏡などの副葬品がたくさん発掘され、国の重要文化財に指定されています。それらの副葬品は車で50分ほどの距離にある水戸市の「茨城県立歴史館」に収蔵されています。
三昧塚古墳 後円分墳頂から前方部を見たところ。とってもフォトジェニック!
「三昧塚古墳」は沖洲古墳群の中のひとつの古墳で、そのほかには「勅使塚古墳」「権現山古墳」「大日塚古墳」があります。その中で「三昧塚古墳」は墳丘が復元整備され「三昧塚古墳農村公園」として整備されています。
三昧塚古墳 前方部から後円部。誰もいない古墳でダッシュ!
ほぼ山に返っているような、モリモリと木が生えている古墳は行くとアドベンチャー感があって楽しいのですが、整備された復元古墳は、築造された当時の姿を実際に感じることができ、墳丘の上に木が生えておらず眺めがいいので行くと盛り上がります。
古墳めぐりは虫がいなくて、日差しの優しい秋・冬が楽なのですが、今回我が家は緊急事態宣言の隙間、6月に訪れました。春・夏の古墳は緑がとても美しく、初夏の古墳はとってもフォトジェニックです。
特に今回「三昧塚古墳」は一面に花と綿毛が咲いていて、風に草がなびきアニメの背景の中にいるようでした。
我が家は古墳だけでなく、霞ヶ浦でのクルージングも楽しみました。富士見塚古墳と三昧塚古墳は景色を楽しむドライブに最適な霞ヶ浦のナイスビュー&フォトジェニック古墳です。
住所:茨城県かすみがうら市
三昧塚古墳
住所:茨城県行方市
[All Photos by Mizutani salucoro]