いながきの駄菓子屋探訪24千葉県船橋市「みどりや」2020年12月31日に閉店する店

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Dec 12th, 2020

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は千葉県船橋市の「みどりや」です。

いながきの駄菓子屋探訪24みどりや

ひっきりなしにお客さんがやってくる

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今まさに、その役目を終えようとしている駄菓子屋があります。2020年12月31日をもって閉店する、千葉県船橋市にある文房具店兼駄菓子屋、「みどりや」。船橋の情報サイトにそのニュースが取り上げられたのが1年半前のこと。短めの営業時間や定休日の都合でタイミングが合わず、なかなか訪問できなかったのですが、その日が迫る師走にようやく行くことができました。
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車で向かうと、鎌ケ谷市と船橋市を何度か出入りすることになります。面白いことに、お店のある船橋市丸山は鎌ケ谷市に完全に取り囲まれた島状の飛び地。地元の方に聞くと、明治以降に自治体が合併されていく中でそうなったそうです。このことから、鎌ヶ谷市だと勘違いされることも多いとのこと。
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踏切を起点に伸びる商店街の中ほどにある「みどりや」。店内は、入り口のそばにメダルゲーム機があり、右半分が駄菓子と文房具の売り場、左半分が飲食スペースになっていました。閉店を知り駆けつけた旨を伝え、店内の写真を撮らせてもらっていると、ひっきりなしにお客さんがやってきます。ひとりで来た低学年の子や、高学年のグループ、保育園児とお母さん。中には、久しぶりに訪ね、閉店することを知り驚く高校生も。誰に対しても丁寧で紳士的な店主の人柄に、来店者が多い理由を感じることができました。
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ジェントルマンによる気遣いと優しさに満ちたお店

いながきの駄菓子屋探訪24みどりや いながきの駄菓子屋探訪24みどりや

みどりやは、現店主のお父さんが日用品を売る雑貨店として昭和36年(1961年)に創業し、店名は自然豊かだった当時の周辺の様子から取ったそうです。文房具店兼駄菓子屋に改装してからは20年ほどとのこと。お店の片隅には、テーブル席を確保するための予約票や、ハメをはずしすぎた人を注意する際に使うイエローカード・レッドカードがありました。長い時間の中で、たくさんの人、たくさんのコミュニティが利用してきた何よりの証です。
いながきの駄菓子屋探訪24みどりや

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「閉店を決めたのは、ひとことでいうと年齢です。何かあってからでは遅いので、元気なうちに終わらせようと思い、そうしました。本当は昨年末で閉めるつもりだったんですが、『もうちょっと続けてほしい』と多くの人から言われまして、今年末までに延長しました。いろんなことがありました。周辺環境の変化や商店街の盛衰、子どもたちの成長、簡単には言い表せないたくさんのことが思い出されます。世の中がまさかこんなこと(※コロナ禍)になるとは思わなかったので複雑ですが、最後はみんなに来てほしい。インターネットの記事を見て知ってくれた方も、私の親の代から通ってくれていた方も、子どもも大人も、みんな大切なお客様。あと何日もありませんが、ここで待っています」
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懐かしい豆電球やソケットを買うと、ひとつひとつ、ちゃんと点くかを確認してから袋に入れてくださった店主。個人店は店主の人柄が創るといわれますが、「みどりや」はジェントルマンによって創られた、気遣いと優しさに満ちたお店だと感じました。「ここで待ってますから、閉店するまでにみんな来てください」という最後の希望。難しい時期ではありますが、店内は窓が開け放たれており、消毒液も常備されています。訪ねる際はできうる限りの新型コロナウイルス対策をしていただければ幸いです。
いながきの駄菓子屋探訪24みどりや

みどりや
住所:千葉県船橋市丸山3-7-12
営業時間:14:00~17:00
定休日:月曜日・木曜日

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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