ギリシャ・ドデカニサ諸島最大の島、ロドス島は、世界の七不思議のひとつとされるロドスの巨象があった島、あるいは騎士団の島として、知る人ぞ知る場所。
大人気リゾートのサントリーニ島やミコノス島と比べると、日本での知名度はさほど高くありませんが、一言では語り尽くせない魅力が詰まった島です。世界遺産の中世都市や郊外にある絶景の村、紺碧の海など、その魅力は尽きません。
世界遺産の中世都市
ロドス島に行ったら、まずは街全体が世界遺産に登録されているロドス・タウンの旧市街へ。
堅牢な城壁に囲まれたロドスの旧市街は、これ以上ないほど「タイムスリップ」という表現がよく似合います。
現在見られる旧市街の街並みは、その大部分が1309年から2世紀にわたってロドス島を本拠地とした聖ヨハネ騎士団(ロドス騎士団)によって造られたもの。「騎士団が築いた中世の街」。それだけでもロマンたっぷりですが、その街並みがほとんど当時のままに現代に残っていることに、感激せずにはいられません。
さすが世界遺産の中世都市だけあって、どこを歩いても情緒たっぷりの風景に出会います。騎士団長の館や騎士団通りなど、騎士団ゆかりの地で在りし日の街の様子を想像してみては。
紺碧の海
門をくぐって旧市街の外に出れば、そこにはたっぷりの日差しを受けて輝く紺碧の海が。城壁に囲まれた中世都市と碧い海とのコラボレーションは、なかなか見ることのできない贅沢な風景です。
ボートが停泊する港でも驚くほどの透明度を誇る海を眺めながら、そのまま海沿いを北上しましょう。風車が並ぶギリシャらしい光景や、かつてロドスの巨象があったとされる場所に立つ2頭のシカの像などを眺めながらの歩くだけで気分は爽快。もちろん、島の各地にあるビーチでリゾートライフも楽しめます。
絶景の白い村・リンドス
ロドス島の見どころはロドス・タウンの中世都市だけではありません。地元の人が「ロドス島で最も美しい場所」と胸を張るのが、ロドス・タウンからおよそ55キロ南にある小さな村、リンドス。
白い街並みと碧い海が織り成す絶景の村として知られ、丘の上にそびえるアクロポリスからは、真っ白な家々と、吸い込まれそうなほどに碧く美しい海が見渡せます。断崖絶壁の下には、ハート形をしたロマンティックな入江が。
考古学遺跡の指定を受けているリンドスの村へは、車とバイクの乗り入れが禁止されているため、移動手段はロバか徒歩。ブーゲンビリアが咲き乱れる白の街並みは、どこを切り取っても絵になります。青い空の下、暖かい陽射しを受けて歩くだけで幸せな気分になれますよ。
温暖で晴天率の高い気候
南エーゲ地方に位置するロドス島は、温暖で晴天率の高い気候が自慢。年間降水量は東京の約半分で、なかでも4~9月にかけての降水量はきわめて少なく、6~9月はほとんど雨が降りません。
加えて、最も寒くなる1~2月でも、最高気温15度、最低気温9度という過ごしやすさです。筆者がロドス島を訪れたのは10月末から11月初めのことでしたが、日中は半そで一枚で過ごせる陽気。空も青くすっきりと晴れ渡り、夏のような開放感が味わえました。
自然の恵みたっぷりのおいしい食事
離島だけあって、新鮮なシーフード料理が充実。特に貝がおいしいことで知られ、生のままレモン汁をかけて食べたり、グリルにして食べたりと、素材の旨みをシンプルに味わうのがロドス流です。
中東が発祥といわれるギリシャの代表的な家庭料理、ムサカをはじめとする定番ギリシャ料理に加え、すぐお隣のトルコ料理の影響を受けた料理も食べられます。特産のワインを片手に味わう、自然の恵みたっぷりのロドス島の料理は格別。
素朴でのんびりとした雰囲気
ヨーロッパでは人気の観光地ではあるものの、まだまだ観光地化されきっていない部分も残っていて、素朴でのんびりとした雰囲気が味わえるのがロドス島のいいところ。特に7~8月の夏のハイシーズンを避けて旅行すれば、ゆったりと滞在できます。
ロドス・タウンから離れると手つかずの自然が残る場所も多く、野生のクジャクに出会える「エプタ・ピゲス」や蝶の谷「ペタルデス」などで、穏やかな自然に包まれるひとときを過ごすのもいいでしょう。
歴史に自然にグルメにと、欲張りな旅を叶えてくれるロドス島。この居心地の良さは行った人にしかわかりません。
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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