日本の観光が絶好調です。日本政府観光局によれば2016年の3月・4月は連続で200万人を超える外国人観光客が遊びに来てくれたのだとか。
さまざまな場面で日本の観光を評価する声も聞こえてきますが、一方で誰もが手放しに褒めてくれているわけではないはず。
そこで今回は日本総合研究所が行った『2015年度アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査』を基に、アジアの大都市から日本に遊びに来てくれた観光客が、日本に来て不満や不安に感じたポイントをまとめてみました。
1:滞在費が高い
最近は東京や大阪などの大都市や有名観光地でホテルがとりにくく、宿泊料金も上がってきている印象がありませんか?
ビジネスホテルですら宿泊料が高いと感じてしまう現在、日本と比べて物価の安い国から来た外国人観光客の場合、その値段の高さに驚いてしまいますよね。
上述の調査には「日本への直近の観光旅行で不満だったことは?」との質問があります。その問いにシンガポール、クアラルンプール(マレーシア)、マニラ(フィリピン)、バンコク(タイ)の人々の5割以上が、「滞在費の高さ」を挙げています。
ホテル代だけでなく、食事も決して安くはありません。トータルで日本旅行はかなりお金が必要になってしまうのですね。
2:母国語が通じない
当然といえば当然の話ですが、母国語が通じないという不満が意外にも多く挙げられていました。
例えば中国の北京、上海、広州から来た観光客の3割から4割の方が、「母国語が通じない」という点に不満を覚えたと回答。
2016年の3月には約50万人、4月には51万人もの中国の方が遊びに来てくれました。
今では中国語を併記している看板も増えましたが、英語以上に中国人を中国語でもてなせる人材は、まだまだ多くはないのかもしれませんね。
3:英語が通じない
母国語が通じないに引き続き、英語が通じない環境に不満を感じているアジア人観光客も多いと分かりました。
特にシンガポールやクアラルンプール(マレーシア)など、英語を母国語のように使いこなす人たちの3割から4割が不満を感じているようです。
「マレー語が通じなくても仕方ないが、せめて英語くらいは・・・」といった気になってしまうのかもしれませんね。
アジアの人々が思うくらいですから、アメリカやイギリス、オーストラリアなど英語を母国語とする国の人々のみならず、英語を普通に使いこなすヨーロッパの人々も同じように不満に感じているかもしれませんね。
4:放射性物質が心配
最後はちょっと意外な不満として、あるいは全く意外ではないのかもしれませんが、放射性物質に対する不安を挙げる声もあると分かりました。
冒頭の調査は2015年の10月に実施しています。東日本大震災から4年近くの月日が流れているはずですが、ニュース映像などのインパクトが、いまだに一部の外国人観光客を不安にさせているのかもしれませんね。
特にインドのムンバイの方、ベトナムのホーチミンの方の3割近くは「放射性物質の不安」を不満として挙げています。それ以外の都市に住む方も、平均して2割以上の人が気にしていると分かりました。
旅行する場所にもよると思いますが、時間が経った今でも、情報の少ない外国人旅行者には根気強く説明が必要なのかもしれませんね。
以上、外交人観光客が日本旅行で不満に感じる点を紹介しましたが、いかがでしたか? 逆に日本を訪れる理由としては、日本食や自然景観、伝統文化や伝統建築などを求めて来てくれていると分かります。
磨くべきところは磨き、改善すべきところは改善しながら、日本の観光がもっと栄えると素敵ですね。
[2015年度アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査 – 日本総合研究所 ] [訪日外客数 – 日本政府観光局 ] [All photos by Shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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