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いながきの駄菓子屋探訪27山形県山形市「はじめや」厳しくも優しい名物おばちゃんの店

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史
掲載日: Jan 9th, 2021. 更新日: Dec 14th, 2022

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は山形県山形市の「はじめや」です。

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山形で有名な駄菓子屋

子どもの頃に通った駄菓子屋の店主のことを思い返すと、優しい人もいれば、無愛想な人、厳しい中にも思いやりがあった人など、いろんな人がいて、それぞれしっかり印象に残っている気がします。山形市には「厳しくも優しい名物おばちゃんの店」として有名な駄菓子屋があり、少し調べただけで記事や映像がたくさん出てきました。ここはどんなお店なのか、そして店主はどんな人なのか。とても気になり、訪ねてみることにしました。
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山形駅から南に2kmほどのところにある「みなみ公園」は、池と遊歩道、広場があり、桜の木が並ぶのどかな場所。その池のそばに、建物にもうひとつ屋根をかぶせたような外観の「はじめや」がありました。店内に入ると、店主と若い男性のお客さんが談笑中。何の話をしているのかわからないくらい訛りの強い話し言葉に、遠くの駄菓子屋に来たことを感じます。
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店内は、壁側の棚に駄菓子が置かれ、それ以外はイスとテーブルで占められています。店外の軒のようなスペースにもイスとテーブルが複数あり、全て合わせると20席以上。これなら来店者が多くても長く居着けて、コミュニケーションも生まれやすいのではないでしょうか。聞けば、ここで宿題やゲームをしても良いとのこと。
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駄菓子の棚には使い込まれた遊び道具も並び、これは公園で遊ぶ子たちへの貸し出し用なんだそうです。なるべく外で遊んでほしいということで、ゲームに関しては30分まで。メリハリが出るようにルールもきちんと作られていました。
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「子どもたちも人間なので、いろいろ抱えています」

はじめやは昭和43年(1968年)に、食品や雑貨を扱う商店として創業。店名は「人の名前じゃなくて、初めて開いたお店だから『はじめや』」とのこと。20年ほど前にほぼ駄菓子のみを扱う業態に変え、現在に至るそうです。
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「店を始めて50年経ったとき、『もう閉めて、あとはゆっくり暮らそうか』と家族で話したこともあったんだけど、やっぱりここで子どもたちの相手をするのが、何よりの生き甲斐なんですよ。なので、もうちょっと続けさせてもらいます。子どもたちもちゃんと人間なので、いろいろ抱えています。許すことが必要な子もいれば、叱ることが必要な子もいる。向き合ってあげるとその子の背景が見えてくるので、それぞれの子に合った声の掛け方がありますね。最近の子は標準語に近い言葉を使うから、山形弁でしゃべると通じないことがあるんですよ。取材があってテレビで放送されるときも、私が話してる言葉に全部字幕がつく。私、日本語しゃべってんだけどなあ(笑)」
※標準語話者には、すごく標準語に寄せた口調で話してくれます
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子どもたちとのやり取りに着目した番組は、海外でも放映されたそうです。子どもからなにか相談されても、その子が理解できる範疇の良い答えを返すのは難しいもの。専門家がするような役割をこなせる駄菓子屋があったら、取材に来る人が多いのも納得です。聡明で、ユーモアがあって、愛情深い店主が運営する「はじめや」。駄菓子屋という枠を超え、保育園や学童保育のような、子どもを預かる施設に似た雰囲気を感じるお店でした。
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はじめや
住所:山形県山形市南一番町8-28
営業時間:平日13:00〜18:00、土日祝12:00~18:00
定休日:不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。


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