カタカナ英語や和製英語が日本語の中にあるように、フランス語の中にも日本語の語彙があるのです。どんな日本語がフランス語で使用されているのでしょうか。一つずつ見ていくことにしましょう。
仏教用語 ZEN/禅
日本語の禅は、仏教用語のひとつですね。このZenがフランスでは「心の静けさ、落ち着き」といった意味で使われているのです。例えば、何か問題があってイライラしている時などに、フランス人はRestez zen/心を落ち着かせてといったような使い方をします。仏教の世界観や仏教における精神性の高さに興味を持っているフランス人は多く、座禅に関する本なども人気のようです。
アニメ文化が大人気 Otaku/オタク
フランスでも日本のアニメは大人気。特に現在20代後半ぐらいのフランス人は子どもの頃日本のアニメを見て育ったといいます。「日本という国を身近に感じている」とこの世代の人々は言います。パリで毎年開催されている「ジャパン・エキスポ」も20万人以上の来場者を記録しているほどです。
本来フランスではアニメ、アイドルやゲームのオタク文化というものはありませんでした。そもそもオタクを意味するフランス語はありません。その結果日本ようにアニメやアイドルの熱狂的ファンのことをフランスでもオタクと呼ぶようになったようです。
可愛い/Kawaii!
可愛いという形容詞はフランス語にも勿論ありますが、日本語の可愛いの概念とは違うようです。フランス在住の筆者は可愛いと思うものをフランス語で可愛いを意味するMignon/ミニョンという形容詞で表現すると、その使い方は正しくないと指摘を受けたりします。文化によって可愛いものに対する感覚の違いはあるのです。可愛い文化が世界的にも有名な日本の可愛いものを、あえてフランス人はKawaiiという形容詞で表現する人もいます。
日本の社会問題、Hikikomori/ひきこもりやKaroshi/過労死
世界的にも有名な日本の社会問題ひきこもりや過労死はフランス語でもそのままの意味で使われています。フランスのメディアでは日本のひきこもりや過労死については度々取り上げれています。とりわけこの二つの問題は日本特有の社会病理としてフランスでは捉えられているようです。
日本のアート Origami/折り紙
フランスでは折り紙文化はなく、折り紙で折った鶴などを見せるとなんて器用なのだと驚くフランス人も少なくはありません。何年か前、旧フランステレコム(現オレンジ)は携帯の料金プランにOrigami star, Origami Zen などと名付けました。Origamiに繊細で洗練されたイメージをフランス人は抱いています。
日本の国技 Sumo/相撲 Judo/柔道 Aikido/合気道 Kendo/剣道
日本の国技である相撲や柔道はフランスでも有名のスポーツ。前大統領ジャック・シラクは相撲の大ファンで、フランス杯が作られたほどですね。フランスではスポーツの習い事としても柔道、合気道、剣道は大人気。日本の国技である柔道はフランスは強豪国になるほど、フランスに浸透しました。
日本の伝統衣装 Kimono/着物
着物は日本が世界に誇る伝統衣装ですね。フランス人は日本の着物を着るということはありませんが、お洒落な人はバスローブのように着ることもあるようです。また柔道着や空手着のことをKimonoとも呼ぶのだそう。フランスでは浴衣も甚平も着物と思っている人も少なくはなく、日本特有の衣装全般をKimonoと捉えられているようです。
こうして見ると、フランス語の中の日本語は日本の典型的な文化や社会問題の語彙がそのまま使われています。これらの単語からは日本がどのように見られているのかを垣間みることができるようですね。
「外国人にとって意味不明な「日本のカタカナ英語」10選 」のように、外国語だと思っていたら違った! というものもあります。一度チェックしておきたいですね。
[Japan Expo ] [All Photos by shutterstock.com ]
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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