
日本なら宍道湖や浜名湖!「汽水湖」の恵みです。

「汽水湖」って筆者もあまり聞きなれない言葉ですが、海と繋がっていて、塩水と淡水が混じっている湖です。フエは海岸線からほんの数キロに位置していて、その海岸線沿いにいくつかの汽水湖が並んでいます。調べてみると、しじみを使った料理がフエの地元料理とのこと。なるほどです。汽水湖なら、しじみがたくさん取れるはずです。
まずは、朝6時から開いている「コムヘン」のお店に出かけました。
しじみご飯にしじみ汁が体に優しい!

「Quán Nhỏ – Cơm Hến(クアン ニョ-コムヘン)」はフエの町中にある平屋の一軒家食堂で、中に入れば下ごしらえを済ませた食材が並んで、あとはちょっと仕上げるだけという状態になっていました。
店名の「Com Hen(コムヘン)」はしじみご飯のこと。メニューにある「Bun Hen(ブンヘン)」はしじみ麺のことです。

こちらがコムヘン。ご飯の上に、ねぎ、パクチー、バナナの花のつぼみ、豚の皮を揚げたもの、それに、玉ねぎと一緒に炒めたしじみがのっていて、ここに甘辛いタレをかけていただきます。

一緒に出てくるのがしじみ汁。ただのしじみを煮たスープで塩味はありません。これを、コムヘンのご飯にかけると、旨味がさらに感じられて、朝からありがたいものをいただいていると、とても幸せな気持ちになるのでした。朝11時には閉まる朝ごはんの店です。
スープがついて10,000ドンだから、50円しないという値段にはびっくり。
Quán Nhỏ – Cơm Hến
住所:28 Phạm Hồng Thái, Vĩnh Ninh, Thành phố Huế, Thừa Thiên Huế, ベトナム
電話: +84 982 593 320
営業時間:6:00〜11:00 無休
しじみ炒めにゴマせんべい!それになんだか面倒なチュルっと系

1軒目のお店から歩いてすぐの場所にあるのが「Bà Hòa(バーホア)」。こちらも朝早く、6時から開いていますが、朝ごはん以外のメニューもいろいろで、夜8時まで開いています。入って右側には、やはり調理ステーションがあります。どこでもすっかり下ごしらえを済ませて、お客さんを待っているというのがスタイルみたいです。

ちょうどお昼時、地元の人たちがランチに来ていました。ここでのお目当ては「ヘンサオ」というしじみと野菜の炒め物と、ゴマせんべい「バインチャン」のセットです。

この色鮮やかなのが「ヘンサオ」。小粒のしじみに、玉ねぎ、青ネギ、にんじん、ゴマ、ピーナッツにパクチー、それに豚の皮を揚げたものを炒めたもの。ソースはニョクマムに酢、お砂糖を合わせて唐辛子を入れたヌクチャムです。

こうやって、ゴマせんべいを割って、そこにのせて食べます。しじみの香りにゴマの香ばしさ、ぱりぱりとしたせんべいの食感に、野菜のシャキシャキ感も楽しいスナックです。麺もごはんもないので主食感がないんですね。数人でビールと一緒に楽しむのがよさそうです。
これで80,000ドンですから、360円ほど。なんだか贅沢しちゃったような気がしてましたが、リーズナブルなお値段でした。
なんでこのサイズでたくさん包むのかな

周りの席を見渡してみると、なんだか緑の葉っぱに包まれたものを、たくさん食べている人たちが。「バインナム」は、バナナの葉で米粉の生地と豚肉を煮たものを包んで蒸したものです。一つずつしっかりとバナナの葉で包まれて、しっかりと結ばれています。手間がかかってます。

開いてみるとこんな感じで、葉っぱの大きさのわりに中身はちょっぴりなんです。これをスプーンですくうと一口でイケるという量です。

これもベトナムの万能ソース、ヌクチャムで。チュルっとした食感と、豚肉の旨味がおいしい。いくつでも食べられそうです。
でも、なんでこんなに手間をかけて小さく、たくさん包むんでしょうか。周りの人たちのテーブルにも、バナナの葉がたくさん。作るのも手間でしょうが、実際食べるのも手間です。でも、それがいいのかな。誰かが作ってくれたなって感じがうれしく感じます。
一皿に8つのって、50,000ドンだから280円くらいでした。

さて、テーブルにはサービスのうずらのたまごがありました。皿の緑と調味料を入れた再利用の缶がなんだか、かわいい雰囲気です。
Quán Cơm Hến – Bún Bò Huế Bà Hòa
住所:11 Trương Định, Vĩnh Ninh, Thành phố Huế, Thừa Thiên Huế, ベトナム
電話:+84 824 248 599
営業時間:日〜月 6:00~20:00
毎日の習慣にしたいようなしじみご飯!
飲みすぎにもいいといわれるしじみ。こんなにおいしくって手軽に食べれるなら、毎日の習慣にしたいほど。汽水湖の恵みです。それに、なぜか小さく包む米粉のちゅるっとした豚肉入りの蒸し物。人の手の優しさが感じられました。
[All photos by Atsushi Ishiguro]

Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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