
パリでアジア料理を食べるなら13区へ

フランスのおいしいものを食べ歩いて、何か麺料理をすすりたいなぁと探したのが、このお店「Pho Tai」です。筆者のフランス人の友人の多くが、麺をすすると驚きます。盛大に音を立ててずるずるっと麺を吸い込むというのは、フランスの皆さんは見たことがないようで、人によっては「お下品」といった感じで眉をひそめたりします。さて、ここではどうなんでしょう。

パリ13区はアジアからの移民が多い地区。旧フランス植民地の国々からやって来た人たちが多く、アジア料理のレストランも多くあります。
Pho Taiの最寄り駅はメゾン・ブランシュ。中心部から地下鉄で15分ほどです。駅を降りると住宅が並ぶ、いかにも地元といった落ち着きがある街です。日本の中華街にあるような派手な装飾はなくて、アジア料理のレストランはぽつぽつと、あっちこっちのビルの1階にあります。
大きな通りから路地に入って少し行くと、Pho Taiがありました。
ミシュランのビブ・グルマンのお店だった

そっけない外観とは対照的に、店内はキッチュなアジア系の装飾がにぎやかで、それほど広くはないフロアには所狭しとテーブルが配置されています(並んでいるんじゃなくて、いろんなテーブルをスペースに効率よく配置しています)。

夕食時だったのでテーブルはすぐ一杯になって、ある意味「密集」といった状況です。フランス人のカップルや、アジア系の友人とやって来たフランス人と一緒のグループ、近所の家族連れ風など、ワイワイと楽しい雰囲気です。
実はこのお店、比較的安い価格でおいしいものが食べられるレストランに与えられる、ミシュランのビブ・グルマンに選ばれたお店でした。
生春巻きと特別なフォーでおなか一杯

おなかが空いていたので、まずは早く出てくるチャーシュー入りの生春巻きを、ベトナムのサイゴンビールと一緒にオーダーしました。
むっちりとかなりボリュームのある生春巻きは、チャーシューも米麺も野菜もたっぷり巻かれています。これで一食でもいいくらいの迫力。価格は9.5ユーロ(約1,200円)ですから、これだけでも充分という人もいるかも。

店員さんにフォーを食べたいのでおすすめを聞いてみると「牛肉が好きならスペシャルフォーがいいよ」との答え。それがこちら。たっぷりの玉ねぎに、魚のつみれ、ちょっと隠れていますが、煮込まれた牛肉がたっぷり乗せられています。付け合わせには、ミント、パクチー、もやしなどの生野菜と、こちらもボリュームたっぷりです。
スープは丁寧にとられたビーフベース。コンソメのように澄んだ味です。そこにニョクマムの香り。麺はつるりとのど越しがよくて、とってもおいしい。価格は9.5ユーロ(約1,200円)です。
ところでフランスの皆さんは、麺をズルズルっとすすることはないようでしたが、適度にすすってまして、筆者も郷に入りては郷に従えということで、上品目にすすりました!
フランスでフォーがおいしいのは!

1968年にフランスにやって来たシェフのTeさんが開いたこのお店。それはベトナム戦争が激しくなってきたころ。フランスの植民地時代が長かったので、ベトナムからの移民が多いんだそうです。
そして、実はフォーって20世紀の初めに生まれた食べ物で、米粉を使った麺は中国の福建省から伝わって、フランスの煮込み料理ポトフのスープとベトナムで合体したという説もあるようです。フォーなら牛肉のフォー・ボーと鶏肉のフォー・ガーがありますが、最初は牛肉のものだけだったとか。ポトフのスープを取るのも牛肉です。
というわけで、フランスのフォーがおいしいのは、ベトナムがフランスの植民地だったからでした。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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