
サンタクロースとムーミンの国フィンランド
フィンランドの首都ヘルシンキへは、成田からなら9時間ちょっと。日本から一番近いヨーロッパともいわれています。フィンランドといえば、サンタクロースにムーミンという2つのビッグキャラクターが頭に浮かぶ、おとぎの国という印象です。
その国土は、ほぼ日本と同じ面積ですが、ほとんどが亜寒帯湿潤気候で、北部のラップランド地方ではマイナス50度以下を記録したほど。夏は日照時間が長く、ヘルシンキでは19時間に迫ります。一方、冬は6時間ほどです。
冒頭の写真はヘルシンキ大聖堂。港を見下ろすように建つ白亜の壁に淡い緑の屋根が美しいこの教会は、長い船旅から帰った人たちを優しく迎えるような、ヘルシンキのシンボリックな建物でした。
ヘルシンキで楽しむラップランドの料理

ヘルシンキのアレクサンテリ劇場の向かいにあるのがラップランド料理の「Restaurant Saaga(レストランサーガ)」。ヘルシンキは中心部でも、それほど高い建物もなく落ち着いた街並みです。

店内に入れば、ランプはトナカイのツノを組み合わせたものだったり、壁にはトナカイの毛皮がかかっていたりと、ラップランド地方を感じることができるインテリアで、料理への期待が膨らみます。
フィンランドの自然な食材を使うそうで、生産者たちと共に良いクオリティの食材を生産する協力関係も築いているそうです。
ラップランドの地ビールはアロマティック

まずは地ビールをいただきます。「Arcitic Stout」、その名も北極圏のスタウトというビールは、フィンランドとスウェーデンの間のボスニア湾の一番奥に位置する、トルニオにあるTornion Panimoという醸造所のもの。
いわゆる黒ビールのカテゴリーになると思いますが、麦のアロマが感じられるしっかりとした味わいでした。
フィンランドには多くの醸造所があるようで、ワインよりはビールの国。ブドウ栽培の北限を超えてるんですね。
伝統のトナカイのソテーを鉄鍋で

さて、テーブルに運ばれてきたトナカイのソテーがこちら。鉄鍋の中には、シンプルに塩・コショウで味付けられたトナカイの肉、木の大きな柄杓にはたっぷりのマッシュポテト、赤い実はリンゴンベリー、それに、大きなキュウリのピクルス。木製のトレイの上に並びます。

それをプレートに取っていただきます。トナカイの肉は思ったほどクセがなく、脂身が少ない赤身。クリーミーなマッシュポテトが肉汁を吸っておいしさを増します。リンゴンベリーの爽やかな酸味とうっすらとした甘みが、肉の味を引き立てます。ジューシーなピクルスと一緒に食べれば、また違った味わいに。
シンプルながら、とても楽しい一品です。冬が厳しいラップランド地方が思い浮かぶような、おいしくて力強い印象の料理でした。24ユーロ(約3,000円)です。
ゆっくりと煮こまれた熊肉を小さなサイズで

もうひとつ、お店の人が「熊を食べてみない?実は熊肉ってかなりおいしいよ」とすすめてくれてオーダーしたのがこれ。ラップランドの中でも特に内陸部のカイヌー地方の熊肉を使って、数日間煮込んだ料理です。熊肉は硬いので、ゆっくり調理しなければならないそうです。しっかりとした肉質の肉は、ほろりとほどけるように柔らかく、脂身は溶けてさらさらとしたような印象。生きていた動物をいただいているんだなと、実感できる料理でした。小さな50gのお試しメニューで15ユーロ(約1,800円)です。
<新メニューの準備中>
現在臨時休業中ですが、11月には新メニューで再オープンするとのこと。今度はどんなメニューになるのか楽しみです。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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