いながきの駄菓子屋探訪29宮城県仙台市太白区「五時良屋」閉店する予定がコロナで延期!

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Jan 23rd, 2021

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は宮城県仙台市太白区の「五時良屋(ごじらや)」です。

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区画整理で建物の取り壊しが決まっている

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仙台市太白区に、今すぐというわけではないけれど、閉店が決まっている駄菓子屋があります。「五時良屋」は区画整理で建物の取り壊しが決まっており、移転等はせずに廃業するとのこと。とても寂しい情報ですが、お話をうかがったり、写真を撮って記録に残すことも自分の役目と思い、訪ねさせていただきました。
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仙台市の中心部から南に5kmほど。太子堂駅から県道258号線へ向かったところにお店がありました。周辺は道路の拡張工事をしているようで、更地になっている場所もちらほら。昔ながらの駄菓子屋がある建物の前を真新しい道路が通り、その日が近いことを感じさせます。

店主の几帳面さやこだわりがうかがえる店内

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店内に入ってまず気が付いたのは、棚が多くて駄菓子の品数が豊富なこと、そして陳列の仕方がきれいなことです。箱のサイズ感や値段で置き場所が区分けされ、ピシッとしていて手に取りやすく、計算もしやすい。駄菓子屋特有のごちゃつき感が抑えられ、店主の几帳面さやこだわりがうかがえます。その一端は店主の机にもあり、「袋を開ける」「印を付ける」といった、子どもたちからのリクエストを想定した道具がそろえてありました。
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5時とゴジラの語呂合わせ

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五時良屋は、元々は店主が昭和44年(1969年)に創業した大衆食堂だったそうです。その後、体調不良となった際に一旦閉店し、平成7年(1995年)に駄菓子屋として再開したとのこと。店名は「良い子は5時に帰りましょう」という意味と、ゴジラとの語呂合わせ。「実際は5時半まで開いてるけどね」と、笑いながら教えてくれました。
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「もし体調を崩して休んでも、子どもたちなら文句言わないんじゃないかな、と思って駄菓子屋にしました。実際は休んだら文句言われますけどね(笑)。中学生から『夜の9時まで開けて九時良屋(くじらや)にしてくれ』ってリクエストがあったんだけど、子どもって、すぐそういうのを思いついて言ってくるから面白いよね(笑)。楽しい商売だから終わっちゃうのは残念だけど、どこかに移って新しくまた始めるという歳でもないし、ここまでということです。今、コロナの影響で、道路の工事が遅れてるみたいなんですよ。だから、もうちょっとやれるかな?いずれにせよ、そんなに長くはないけどね!」
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「この人は信頼できる!」

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店主と子どもたちとのやり取りを見ていると、人間関係がとても良好に築かれているように感じました。初めて来た大人でも、やんちゃな子どもでも、みんな優しく包み込んでしまう、おおらかで朗らかな店主。子どもたちも、「この人は信頼できる!」と本能的に察するのかもしれません。駄菓子屋を経営する身としても学びが多く、かなり参考にさせていただいた五時良屋。近々なくなってしまう運命にあるのは非常に惜しいですが、それをあっさりと受け入れている店主の器の大きさもまた、このお店の素晴らしさの一部なんだと思います。
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五時良屋
住所:宮城県仙台市太白区大野田1-6-50
営業時間:月~金14:00~17:30、土13:00~17:30
定休日:日

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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