夏休みの自由研究のように、心惹かれることについて、じっくり調べてみる。考えて、試行錯誤し、また考えて、まとめて、発表する。TABIZINEにもそんな場がほしいと思い【TABIZINE自由研究部】を発足しました。部員ライターそれぞれが興味あるテーマについて自由に不定期連載します。
今回は、TABIZINEライター、坂本正敬の自由研究「地元の町に外国人観光客を集める方法」をお届けいたします。
自分の町に外国人観光客を招く方法を、オンライン講義gaccoの『文化財を活用した観光拠点形成』をテキストに考えてきた連載の10回目になります。
前回までに自分の町にある文化財の見せ方を学び、STPマーケティングでどんな外国人観光客であれば自分たちの町にある文化財に興味を持ってくれそうなのかを考えるなど、さまざまな点を学習しましたね。
また、仲間と定期的に集まる大切さに触れ、実際に集まってあれこれとアイデアを深めていくための場所として、町づくりセンターや自治体の庁舎の無料コミュニティルーム、公民館や農村環境改善センターなどの存在を紹介しました。
そこで今回は、本連載の「理論編」の締めくくりとして、仲間と集まった会議はどのように進めていけばいいのか、いよいよ一歩を踏み出すそのときまで効果的に議論を進める方法を、gaccoのテキスト内容を踏まえつつ考えたいと思います。
ポイントその1:論じるべきことを一貫して押さえ続ける
今までの連載で、自分の町に外国人観光客を呼び寄せるためのポイントを一通りまとめてきました。
・自分の町にある文化財のテーマを再確認し、そのテーマから町全体を巻き込むような、後付けではない、住民が誇りに思うような物語を起承転結で整理する
・どんな人であれば自分たちの物語を気に入ってくれるのか、仮説を立ててデータで検証する作業を繰り返し、最終的に年齢、性別、国や地域を細かく絞り込んでいく
・ターゲットとなる外国人観光客の顔が見えてきたら、その人たちに喜んでもらえるような形に地元の文化財を磨いていく
・ターゲットとなる外国人観光客に届くようなメディアを考え、宣伝の方法を考える
・SNSの時代に即してシェアしてもらえるような町のシンボルを作る
といった点が重要だとまとめてきましたね。仲間と公民館なり、まちづくりセンターの無料コミュニティルームなり、誰かの家なりに集まったら、上述したポイントに沿って話を進めてみてください。
ただ、参加者が会議に慣れていないと、議論があちこちにそれてしまったり、上手に仕切れる人が居なくてまとまりが生まれなかったりと、非効率的な会合のまま終わってしまうかもしれません。
経営学を学ぶ社会人に人気の名著シリーズ『[新版]MBAクリティカル・シンキング』(ダイヤモンド社)』では、
<考え、論じるべきことを一貫して押さえ続けること>(『[新版]MBAクリティカル・シンキング』(ダイヤモンド社)』より引用)
とあります。この言葉は自分の考えや主張を誰かに説明する場面で求められる基本姿勢を表していますが、会議や話し合いでも一緒ですよね。
本連載でまとめてきたgaccoの『文化財を活用した観光拠点形成』のポイントに沿って考え、論じるポンイントを参加者全員で一貫して押さえながら、生産的に語り合いたいです。
ポイントその2:「発言に対する批判禁止」など会議にルールを設けてみる
社会人に必須の知識を身に着けたいと、筆者が10年ほど前に受験した情報処理技術者試験のエントリー資格・ITパスポート試験という資格試験範囲には、問題解決方法や発想法の初歩的な知識も含まれていました。
その中には問題解決のために、いろいろな人がアイデアを出し、展開していくための技術、ブレーンストーミングもありました。
ブレーンストーミングとは小集団による会議のやり方で、参加者の誰もが思い切って、自分の考えを思いつくままに口にできるような環境を作るためのテクニックになります。
受験のときに勉強した参考書の1つ『ITパスポート試験集中ゼミ』(日本経済新聞出版社)を引っ張り出して参照してみると、ブレーンストーミングを行う際のポイントとして、
・発言者の発言内容は批判禁止(批判をされると、人は身構えたり、無難な内容に発言を修正したりしてしまうから)
・発言内容はテーマに関連していればなんでもオッケー
・理論の誘導は行わない
・発言内容は質よりも量を求める
・他人の意見に便乗した意見も歓迎する
といった点が挙げられていました。確かにこうした点に注意すれば、何も意識しないで話し合うよりも、テーマに関連した自由な発言が増えると予想されますよね。
ポイントその3:仲間が増えてきたらバズセッションを試してみる
最初は顔を合わせる仲間の人数が2人、3人だったとしても、会を重ねていくうちに、10人、15人と増えていくかもしれません。15人でブレーンストーミングを行ってもいいのですが、自由に発言すると言っても、15人も居れば1人1人の発言時間も物理的に減ってしまいます。そうしたケースで試したいテクニックがバズセッション。ITパスポートの参考書にも掲載されている有名な手法になります。
まずは大きなグループを2つ、3つなどの小グループに分けて、小グループ内でテーマに関してワイワイ、ガヤガヤと自由に議論します。次のステップでは議論内容を各グループのリーダーなり代表者なりがまとめて発言し、最後に各グループの意見を集約するという会議の手法ですね。
今回の連載では筆者が一人で考えた仮説を紹介してきましたが、ブレーンストーミングやバズセッションを定期的に繰り返して大人数の頭で考えた方が、一人で考えるよりも優れたアイデアや仮説が出てきます。
話し合いを積み重ねてアイデアが膨らんでくると、行動に移さずにはいられないくらいワクワクしてくるはず。その段階で、いよいよ実践の段階に移行していけばいいのですね。
以上のように、gaccoの講義で学んだ方法を、どこで、誰と、どのように語り合えばいいのか、最後の2回でまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
本連載は10回の今回をもって「理論編」にいったん区切りを設けます。この先は筆者自身も連載を通して学んだポイントを、実際に行動に移してみた上で、その様子を「実践編」として伝えていければいいと思います。
自分の町に外国人観光客を呼びたいという志を持つ方は、本連載にまとめたポイントを考慮しつつ、各地域の実態に即した形で実践してみてください。共に大きな目標に向かって、歩んでいきましょうね。
[[新版]MBAクリティカル・シンキング』(ダイヤモンド社) – グロービス・マネジメント・インスティテュート]
[ITパスポート試験 集中ゼミ(日本経済新聞出版社) – 木村宏一]
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