日本最高齢の駄菓子屋店主!?
静岡県東部を中心に菓子卸業を展開する「みぞた商店」を訪ねた際に、付き合いのある駄菓子屋をいくつか紹介していただくことができました。三島市周辺は、駄菓子屋がまだ多く残っている地域。それを下支えしている問屋さんの尽力にも感謝しつつ、早速訪ねてみることにしました。
教えていただいた住所に着くと、そこには素晴らしい趣を持った外観のお店がありました。波板の外壁に、使い込まれた引き戸の入り口、板張りの物置小屋。昭和の雰囲気が色濃く、映画のセットのようでさえあります。店内も映画『ALWAYS三丁目の夕日』(※昭和33年が舞台の映画)にそのまま出てきそうな雰囲気で、壁の感じや手作りの陳列棚、日に焼けたポスターもそれを引き立ていました。 土間が売り場になっており、その奥の小上がりで会計をするという間取りです。
この日応対してくださったのは、「ここは自分の母親の店で、本人は介護施設に入所しています。自分は留守を預かっているような感じです(笑)」とおっしゃる石川さん。お母様は施設から帰ってきて体調の良いときだけ店に出るそうなのですが、年齢を聞くと、なんと102歳のこと!(2021年現在)日本最高齢の駄菓子屋店主かもしれません!
「店を守っていかないと」
石川商店は昭和25年(1950年)頃に、布や糸などを扱う手芸用品の卸売店として、石川さんの父親が創業したそうです。その後、昭和50年(1975年)頃に母親が店主となって駄菓子屋に転業。平成12年(2000年)頃から、母親が介護施設に行っているときだけ石川さんが店番をするようになったそうで、いつからかその頻度が増えて、現在は実質的には石川さんが運営しているそうです。
「母は人に会うのが大好きなので、ここ最近はコロナのことや本人の体調のこともあって難しいんですが、施設から帰って来てるときは店に出たいみたいです。駄菓子屋は母にとっては天職だと思うんですが、自分は店番をするようになるまでは、ほとんど関わりがなかった。いろんなタイミングや都合が合っちゃって、いつの間にかここに収まってしまったという感じです(笑)。このへんの子どもたちは、みんな良い子たちばっかりなんですよ。あいさつもしっかりするし、話しやすくて付き合いやすい。だから自分も無理なく楽しく続けられてます。昔からのお客さんも母に会いたがるから、店を守っていかないとですね」
建物や店内の雰囲気も特別感がありましたが、店主の年齢や、石川さんの今に至るまでのエピソードにもまた特別なものがありました。手芸用品店時代の名残りで、「ボタン屋」と呼ばれている石川商店。次に伺う機会では、ぜひとも「推定・日本最高齢の駄菓子屋店主」にお会いできればと思います!
住所:静岡県三島市梅名243
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
[All photos by Atsushi Miyanaga]