思いやりのある「自殺する」の言い方
英語で「自殺」は“Suicide”と言います。この“Suicide”は必ず“Commit”(実行する、罪などを犯す)という動詞とセットで使われます。フォーマルなきちんとした英語なので、ニュースや新聞などでも使われる表現です。ただし、“Do suicide”とは言わないので注意しましょう。
例)The terrorist leader committed suicide when the police arrived.
(警察が到着したとき、テロリストのリーダーは自殺した。)
話し言葉でよく聞く「自殺する」は“Kill oneself”(自身を殺す=自殺する)です。
例)I can’t believe I did that! I want to kill myself!
(あんなことしたなんて信じられない!もう死んじゃいたい!)
この手の表現は、友達同士などで冗談っぽく使う人も多く、“Kill oneself”という表現はまじめな場面でも、おちゃらけた場面でも使えます。
では、実際に自殺した身近な人の話をする場合は?“Commit suicide” も“Kill oneself”も正しい英語ではあるものの、ダイレクトすぎる表現方法といえます。友人や家族、知り合いなど実際に知っている人の話をする場合は、“Take one’s own life”(自分の命を奪う)という表現を使うことが一般的です。
例)My uncle took his own life 7 years after the war.
(叔父は、戦争の7年後に自殺したんだ。)
「死んだ、亡くなった」と言いたいときは?
(C) Emanuela Vigna/ Shuttterstock.com
「死んだ、存命ではない」とは、英語でなんて言う?一番シンプルな表現の仕方は、“Die”(死ぬ)を使うことです。
例)Freddie Mercury died in 1991 at age 45 due to complications from AIDS.
(フレディマーキュリーは1991年に45歳でエイズによる合併症で死亡した。)
歴史上の人物、有名人などの話題はもちろん、日常会話では自分の家族などにも使っても全く問題のない正しい英語表現です。ただし、亡くなった人が話している相手の家族である場合など話相手の方に近い場合には、直接的な表現を避けるて伝えるフレーズがいくつかあります。一番よく聞く表現は“Passed away”(帰らぬ人となった)、“Lost”(失った)などを使ったもので、日本語でも「死亡した」よりは「亡くなった」を使うことが多いのに似ています。
例)Our teacher passed away last month.
(先月、先生が亡くなったんだ。)
He lost his dad when he was 10.
(彼は10歳のときに父親を亡くしている。)
悲しいニュースで落ち込んでいる友達にかける言葉
友達や同僚などが「子どものころから飼っていた実家の犬が昨日、死んじゃったの」と、さみしそうに打ち明けてくれたとします。家族が友人、ペットなどを失って落ち込んでいる友達にかけてあげられる言葉として以下の3つをご紹介します。
例)Thank you for telling me.(私に伝えてくれてありがとう。)
悲しい中でも、打ち明けてくれたことに感謝します。
例)I am very sorry for your loss.(あなたが失ったものを私も残念に思います。=ご愁傷さまです。お悔み申し上げます。)
“I am sorry”は「すみません、ごめんなさい」とあやまっているのではなく「残念です」という意味で使われ決まり文句で「ご愁傷さまです。お悔み申し上げます」の意味です。
例)I’m thinking of you. (あなたのこと考えています。=お気持ちをお察しします。)
悲しんでいる相手のことを気遣って「あなたの気持ちを思っているから、できることがあったら言ってね」という意味でよく使われる表現です。
日本語でも関係者を思いやって「自殺する」「死ぬ」を「自死する」「亡くなる」と言われるように、英語でも直接的な表現を避ける傾向があることをご紹介しました。楽しいことばかりでなく、それ以外のことを話したり共有してこそ築ける友情や信頼もあるもの。「文法や発音が間違っていても伝えたい気持ち」が英会話では一番大切なことですが、話す相手もやはり同じ人間です。思いやりを持って英会話ができたら、一層通じ合えるはず!
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