
団地の中の商店街にある年季の入った駄菓子屋

静岡県東部を中心に菓子卸業を展開する「みぞた商店」さん。以前も三島市にある「石川商店」を紹介していただきましたが、新たに文房具店と兼業の駄菓子屋を教えてくださったので、訪ねてみることにしました。

JR三島駅から北東に2kmほど。市営と県営の集合住宅が建ち並ぶ高台に商店街があり、その中に目的地の「サイトウ文具店」がありました。団地の中にある長屋タイプの商店街。子どものころに通っていた駄菓子屋があった場所に良く似ていて、「ああ、おじいちゃんに連れて行ってもらってたな、なんでも買ってくれたな・・・」など、さまざまな記憶が思い出とともに呼び起こされます。

店内は入って左側が文房具、右側が漫画や雑誌、右の奥が駄菓子売り場という構成で、回の字型になっていて一周できる造り。中央の陳列棚の内側から、店主がにこやかに迎えてくれました。床についた模様状の傷が面白く、駄菓子売り場の部分だけがかなり削れています。いかにここを行き来した人が多いかという、お店の歴史の象徴に見えたので撮影させていただきましたが、「恥ずかしいからやめてくれ」とやや嫌がられました(笑)。

「続けていたら、いつの間にか高齢者に」

サイトウ文具店は元々、店主の母親が熱海市で同じ業態のお店を営んでおり、昭和48年(1973年)にこの場所に移ってきたそうです。自治体が市営住宅・県営住宅を建てる際に「商店街も作りましょう」となり、地元の商工会が主体となって商店を誘致。1業種1店舗に限っての募集だったので、売り物が重なることもなく、順調に営業を続けてきたとのこと。

「母が引退してからは、いわゆるワンオペで営業していますが、私は学校を出た時からずっと母と2人でこの商売をやってきたので、この世界、この景色しか知らないんですよ。変わらず続けていたら、いつの間にか高齢者になってしまいました(笑)。でも、家業ってそういうものじゃないですかね」

「駄菓子は売るものがずいぶん変わったなと思います。昔からみんなクジ引きが大好きだけど、ずいぶん減ってしまったなと。でもそういえば、QRコード決済をできるようにしたんですけど、それで払うとお客さんのほうにはキャッシュバックや抽選があるんですよ。『おばちゃん、50円当たったよ!』とか言って。これって、もしかして新しい時代のクジ引きってことなのかもしれませんね(笑)」

お話を伺っている間も、保育園児や先代のころから通っているという常連さんまで、幅広い層のお客さんがひっきりなしに来店し、明るくユーモアのある店主との会話を楽しみながら買い物をしていました。商店街は高齢を理由に廃業してしまったところが多いそうで、確かに少し寂しい雰囲気ではあります。それでも、サイトウ文具店の前は常ににぎやか。ちょっと不思議な光景です。駄菓子屋はただの小売店ではなく、コミュニティの中心なんだなとあらためて感じさせてくれたお店でした。

サイトウ文具店
住所:静岡県三島市光ケ丘2-19-19
営業時間:月~金15:00~18:00、土10:00~13:00、15:00~18:00
定休日:日曜
[All photos by Atsushi Miyanaga]

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
国産野菜を毎日手軽に摂れる「野菜をMOTTO」ショップが静岡・浜松地区に
Feb 24th, 2023 | TABIZINE編集部
2023年2月22日に静岡県・遠鉄百貨店地下1階に「野菜をMOTTO」の店舗がオープンしました。国産の野菜を毎日手軽に取り入れられるよう「ベジMOTTOスープ」などを購入できるお店です。マルシェをイメージさせる大きなカウンターは、ナチュラルながら落ち着いた雰囲気。2023年2月26日までオープン記念キャンペーンも開催中です。
【可愛いお土産「もなか」8選】お取り寄せもOK!癒しの動物最中からインパ
Feb 15th, 2023 | TABIZINE編集部
ハムスターや猪などの動物、トーストやバナナなどの食べ物、そしてインパクトあるなまはげや、さらには東京駅丸の内駅舎まで、全国各地のユニークな最中たち。自分で餡を詰めるタイプや、老舗の味を楽しめるものまで、個性的な最中を9選まとめてみました。可愛くて楽しい最中は、お土産にはもちろん、自分へのご褒美にもおすすめですよ。
伊豆半島の特産品がお得に買える!「第29回伊東温泉めちゃくちゃ市」開催【
Jan 17th, 2023 | TABIZINE編集部
静岡県伊東市にて、「第29回伊東温泉めちゃくちゃ市」が2023年1月28日・29日に開催されます。2022年は規模を縮小しての開催でしたが、今年は例年通り開催予定! 採れたて野菜や特産品のひもの、地元銘菓などを“めちゃくちゃに安い”値段で買うことができる大物産市をお見逃しなく。
鉄板焼き料理と静岡茶のティーカクテルに心酔できる隠れ家的バー「ノーエイジ
Jan 10th, 2023 | kelly
静岡、なかでも駿河地方に来たら、「お茶」を存分に楽しみたいところ。でも、「お茶もいいけど、お酒もね!」という方(筆者含む)にぜひおすすめしたいのが、「NO’AGE concentré(ノーエイジ コンセントレ)」です。同店は、静岡駅からほど近い、鷹匠地区に佇む全6席の隠れ家的なバー。静岡茶を使ったティーカクテルもたくさん用意しています。そんなお茶を使ったカクテルを堪能すべく、「NO’AGE concentré」に出かけてきました。
いちごの季節到来!いちごBonBonBERRY 伊豆の国factoryで
Nov 28th, 2022 | TABIZINE編集部
いちご専門店「道の駅伊豆のへそ いちごBonBonBERRY 伊豆の国factory」では、スイーツビュッフェでいちごのおいしさを思う存分楽しめる『いちごづくしのスイーツビュッフェ』が開催中! いちごが一番おいしいこれからの季節におすすめのスイーツビュッフェです。
【11月ベストシーズンの国内旅行先】福井県の越前がに・静岡県の桜えび・山
Nov 16th, 2022 | TABIZINE編集部
この連載では、毎月、その月にベストシーズンを迎えるおすすめの国内旅行先をピックアップしていきます。11月第3週は、そのときが旬のグルメをチェック! ラ・フランスが食べごろの「山形県」、白菜キムチ鍋が名物の「茨城県・八千代町」、越前がにの祭典が開催される「福井県・越前町」、とれたての桜えびが味わえる「静岡県静岡市」、キウイフルーツ狩りが楽しめる「愛媛県西条市」を紹介します。
【期間限定】熱海で「金目鯛」の食べ放題!刺身・揚げ物・焼き物で金目鯛を満
Nov 3rd, 2022 | TABIZINE編集部
2021年12月にJR熱海駅前にオープンした『おさしみ食べ放題 熱海おさかなパラダイス』では、2022年10月28日(金)より期間限定で「金目鯛フェア」を開催中。静岡・伊豆地方で有名な金目鯛を、刺身・揚げ物・焼き物などさまざまな料理を食べ放題で楽しめますよ。
お茶のワンダーランド、静岡・駿河で体験したい、大人のお茶の楽しみ方5選
Nov 2nd, 2022 | kelly
静岡県は言わずと知れたお茶の産地。なかでも「駿河」と呼ばれる静岡県中部地域は、日本茶の生産量・消費量ともにトップクラスの、日本屈指のお茶のワンダーランドです。今回は、日本人の生活にとても身近な存在であるお茶をテーマに、駿河ならではのお茶体験、駿河に来たらマストで訪れたいお茶スポットをご紹介します。お茶の本場は、さすがに楽しみ方も多彩。知られざるお茶の新たな魅力に開眼しちゃってください!
【静岡】一人500円で旬のみかん食べ放題!伊東市12農園で「温州みかん狩
Oct 29th, 2022 | TABIZINE編集部
童謡「みかんの花咲く丘」のモデル地になったと言われている伊東のみかん畑。2022年10月1日から2023年1月31日まで、伊東市内3地区12農園で、「温州みかん狩り」を開催中です。歌詞にもある青い海を毎日眺めて育ったおいしいみかんを味わってみませんか?
目の前で仕上げられる「和栗モンブランパンケーキ」も登場!伊豆のたまご専門
Oct 15th, 2022 | TABIZINE編集部
伊豆・村の駅「たまご専門店TAMAGOYA」では、2022年10月11日(火)より「AUTUMNフェア」を開催中。お客さんの目の前で仕上げる「和栗モンブランパンケーキ」をはじめ、まるごとりんごが入った「まるごとりんごのミルフィーユパンケーキ」やお芋を満喫できる「おいものモンブランパフェ」など、旬の美味しさを楽しみながら味わえるスイーツが多数登場しますよ。