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いながきの駄菓子屋探訪45三重県伊勢市「みよしや」5世代が支えてきた130年の歴史を持つ店

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史
掲載日: May 15th, 2021. 更新日: Dec 14th, 2022

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は三重県伊勢市の「みよしや」です。

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お伊勢参りと駄菓子屋探訪

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「一生に一度はお伊勢さま」。伊勢神宮は日本の総人口が2500万人ほどだった江戸時代、こんなキャッチフレーズのもとに、年間400万人が参拝に訪れたこともあったそうです。そういえば伊勢神宮って行ったことがなかったなあと思い、我が家も「一生に一度はお伊勢さま」をしようと旅に出ました。
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宗教的なことは詳しくないのですが、内宮周辺は木々の緑が力強く、五十鈴川を渡る前からすでに何か特別な雰囲気を感じます。厳かな参道をひた歩いて正宮への参拝を済ませ、おかげ横丁で観光地っぽさを楽しみ、伊勢うどんや手こね寿司といったご当地グルメを堪能。この場所に来ることができたことに満足していたところで、息子に言われました。「駄菓子屋探さなくていいの?」と。
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130年の歴史ある店

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もちろんこの街にも駄菓子屋があります!伊勢神宮から北西へ8kmほど。城田小学校の目の前に、趣のある書体で「みよしや」と書かれたお店がありました。高校生くらいの青年が自動販売機の補充をしており、「お店の方ですか?」と声をかけると、店主のお孫さんとのこと。
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店内に入ると、正面に会計する場所を兼ねた陳列棚があり、店主が迎えてくれます。奥行きを使わず、左右に細長く通路を敷いた珍しい造りで、右側が駄菓子とアイス売り場、左側がイートインスペース。近所に墓地があるそうで、線香やろうそくも販売されていました。手作り感のあるベンチやテーブルは、亡くなられた旦那さんが制作した形見のようなものとのこと。使い込まれて削れた足先に、時間の経過が刻まれていました。
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みよしやは元々、130年ほど前の明治中期ごろに、店主の祖父が料理旅館として創業。当時は富山から来る置き薬屋が顧客だったそうで、地元の人がお見合いをする会場としても使われていたとのこと。母親に代替わりした際にタバコや菓子類、文房具を販売する小売店に転業し現在に至るそうです。創業時は「美善屋」という漢字の店名を掲げていたところ、「びぜんや」と読まれてしまうので、ひらがなの「みよしや」に改称したという、看板にまつわるエピソードも教えてくれました。
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みんな何代にも渡って通ってくれている

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「もう歳で、重たいものは持ち上げられないので、孫にバイト代を払って自販機の作業をやってもらってます(笑)。さっき買い物に来た子はおじいちゃんの代からのお客さんで、みんな何代にも渡ってずっと通ってくれているので本当にありがたい。このごろは、タバコはともかく駄菓子のほうは問屋さんがずいぶん減ってしまって。今はもう仕入先がひとつしかないから、そこが辞めてしまったら、うちも考えなくちゃいけない。扱う量が多いぶん、小売りより問屋さんが大変な時代かもしれないね」
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ついつい話し込んでしまい滞在時間が長くなってしまったのですが、そのあいだも間食にブタメンを食べに来たお年寄りや、小学生や中学生、親子連れなど、本当に幅広い世代が絶えず来店して混雑していました。地域に根ざした商売を130年続けるとこうなる、という希少なモデルケースを見せていただくことができ、眼福の極み。みよしやは、店主から見て祖父母、父母、子、孫と、5世代の人が関わりながら保たれてきた、歴史ある駄菓子屋でした。
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みよしや
住所:三重県伊勢市上地町1537
営業時間:10:00~18:30
定休日:不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。


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