いながきの駄菓子屋探訪48岐阜県土岐市「かえで商店」創業から65年、骨董品のような陳列台を使い続ける店

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Jun 5th, 2021

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は岐阜県土岐市の「かえで商店」です。

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閉業した店の前で紹介された店

事前に下調べしてあった駄菓子屋にたどり着くと、どう考えても閉業している雰囲気。せっかく岐阜県までやってきたので、営業していたころのお話だけでも伺えないかと呼び鈴を押すも、残念ながら不在でした。

その様子を見ていた近所の方が声をかけてくれたので諸々を尋ねると、高齢だった店主が5年ほど前に閉めてしまったとのこと。その際にこちらの事情を話すと、なんと別のお店を紹介していただけたので、早速訪ねてみることにしました。

創業当初から使っている水色の陳列台

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JR土岐市駅から南西に2kmほど。教えていただいた住所に着くと、「かえで商店」という看板のかかる、新しめの建物がありました。店内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、上蓋がガラスになっている、水色の大きな陳列台。骨董品のようなオーラがありますが実働で、子どもたちは手慣れた感じで蓋を開け、中の駄菓子を取っていきます。
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聞けば、「創業当初から使っているので、65年もの」とのこと。子どもがついつい手をついて体重をかけてしまう絶妙な高さのため、長い年月の中で元々入っていたガラスはすべて割られ(笑)、現在は強化ガラスに入れ替えてあるんだそうです。
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いつの時代も子どもたちが来るとにぎやか

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かえで商店は昭和30年(1955年)ごろ、お菓子や日用品、切手等を扱う雑貨店として、店主の両親が創業。代替わりや2度の建て替えを経た現在は、ほぼ駄菓子専門で、小学生向けに学校で使う文房具も置いているとのこと。秋の風情を感じる特徴的な店名は、樹木の楓から取ったものかと思いきや、「店主の苗字+商店」。かなり珍しい苗字なのでは?と尋ねると、土岐市特有で、この地域ではわりと普通にあるんだそうです。
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「建て替える前は売り場が今の3倍くらいありました。今は、子どもたちは駄菓子を買いに、昔からのお客さんは買い物じゃなくてもフラッと立ち寄ってくれる、そんな小ぶりな店です。これは仕方ないことなんだけど、最近はいろんな面で衰退みたいなものを感じていて、まず、駄菓子は問屋が減っちゃってるから仕入れに苦労するんですよ。数が揃わなくて。そして、お年寄りは亡くなっていくので、昔からの常連さんが減っちゃって寂しいなって思う。長く店をやっていると、そういう変化も感じるね。でも、いつの時代も子どもたちが来ると本当ににぎやか(笑)。やりがいがあるので、まだまだ元気に続けますよ」
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昔の建物や店内の写真を見せていただくと、そこには2020年に101歳で亡くなられたという、先代店主の現役時代の姿が。優しさの中に厳しさもありそうな、なんとも威厳を感じる佇まいをしていらっしゃいました。店内にはもちろん水色の陳列台があり、今と同じように駄菓子が収められています。変わらないものの存在が、変わっていくものたちを繋ぎ止めて、歴史を地続きにしてくれる。かえで商店は、古い道具を大切に使い続けることの意味を学ばせてくれるお店でした。
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かえで商店
住所:岐阜県土岐市土岐津町土岐口920-8
営業時間:10:00~17:30
定休日:月曜日

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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