
ローカルなお店の気の抜けた感じが最高
釧路市は、漁業・農業・製造業など多くの産業を持ち、阿寒湖や釧路湿原などの自然味あふれる観光地も抱える、北海道東部(道東)の中心都市。見どころがありすぎて、ついつい滞在が長くなってしまう街のひとつですが、そんな釧路にも、もちろん駄菓子屋があります。

商店街や宅地が広がる釧路駅の北側。共栄新橋大通沿いに並ぶ商店の中に、「おもちゃ まことや」という切り文字の屋号が印象的な「まことやがん具店」がありました。外観は昔ながらのおもちゃ屋さんといった感じですが、駄菓子屋と書かれたのぼりも掲示されています。

お店に入ると、「おお。いらっしゃい」と、カウンター内で寝転がってテレビを見ながら完全にくつろいでいる店主に迎えられます。お客さんが来るとムクリと起き上がり、定位置の椅子に腰掛ける、というのがルーティンのようです。この完全に気の抜けた感じが、常連さんのみが利用するローカルなお店、という感じがして最高です(笑)。
プラモデルのお宝も!?

店内はかなり奥行きのある造りで、入って右側の通路の壁側の棚が駄菓子、それ以外はすべておもちゃやプラモデルが陳列されています。奥へ行けば行くほど古い在庫が多数あり、中にはお宝と思わしきものも。実際、掘り出し物を求めて遠方から来店する方もいるそうです。

「昭和のおもちゃ屋、駄菓子屋の雰囲気を忘れないで」
まことやがん具店は、元々おもちゃや菓子類を扱う問屋で働いていた店主が、昭和55年(1980年)ごろに問屋兼小売店として独立するかたちで創業。釧路や根室の小売店に品物を配達しつつ自分のお店を運営し、かなり忙しかったそうです。店名は、誠実な人だったという店主の父親が家訓にしていた「誠」からで、「おれは不真面目だけど、店名だけはそれにしといた」とのこと。

「駄菓子もそうだけど、いまだにプラモデルのお客さんが毎日来てくれるから、いろんな話ができて楽しいよ。長いことやってるけど、話すのが好きだから、飽きの来ない商売だよね。だけど自分はもう85歳。この場所も賃貸だから、そんなに長くはやれないのは決まっていること。だから、欲しい物があったら急いで買いに来たほうがいいよ、最後に儲けさせてください(笑)。みんなには、昭和のおもちゃ屋、駄菓子屋の雰囲気を忘れないでいてほしいな」

「話せそうな人が来たら捕まえて、ずっとしゃべるのが好きなんだよ」と言う通り、完全に捕まり話すこと3時間!あとの予定は全部潰れましたが、おかげで道東の駄菓子やおもちゃの事情をたくさん聞くことができました。ニコニコと笑顔で語り、時に豪快に笑う元気な店主。エンディングを意識しての運営には少し寂しさも感じますが、最近、娘さん夫婦が中標津に「まことや」という同名の駄菓子屋を開いたとのこと。家訓の「誠」は、次の世代へしっかりと受け継がれていました。

まことやがん具店(今村商店)
住所:北海道釧路市共栄大通2-1-2
営業時間:10:00〜18:30
[All photos by Atsushi Miyanaga]

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
【3月ベストシーズンの国内旅行先】北海道のにしん・山梨県のクレソン・和歌
Mar 15th, 2023 | TABIZINE編集部
この連載では、毎月、その月にベストシーズンを迎えるおすすめの国内旅行先をピックアップしていきます。3月第3週は、そのときが旬のグルメをチェック! にしんそばの楽しめる「北海道」、クレソンが旬の「山梨県」、キャベツが春を告げる「千葉県」、あさりが味わえる「愛知県」、はっさくが堪能できる「和歌山県」を紹介します。
【ご当地パンまとめ】サラダパン・クリームボックス・マンハッタンも!お取り
Mar 10th, 2023 | TABIZINE編集部
土地の特色を生かした惣菜パンや長年地元で愛される菓子パンなど、さまざまな個性あるご当地パンは、故郷を離れて暮らす人にとっては懐かしかったり、お土産にしても喜ばれたり、人気の高いパンですよね。テレビ『マツコの知らない世界』で取り上げられたり、ランキングが話題になったりもしています。そこで、TABIZINEでこれまで紹介したご当地パンをまとめました。アンテナショップで購入できたり、お取り寄せできるものもありますよ。
【雪だるま型の最中が可愛すぎる】北海道土産にもお取り寄せスイーツにも!五
Feb 10th, 2023 | 山口彩
北海道の桧山郡江差町にある五勝手屋本舗(ごかってやほんぽ)は、糸で切る「五勝手屋羊羹」が看板商品。ですが、今回注目するのは冬の季節限定の雪だるま型最中「雪ぼうし」です。小豆こしあんの「赤」と、白小豆つぶあんの「白」があり、2つ並べて愛でていただきたい、罪深い可愛さの和菓子。レアで映える北海道土産としても、お取り寄せスイーツとしてもおすすめです。
【北海道おすすめ土産】中から昆布が!?芋を一切使用していない「わかさいも
Jan 17th, 2023 | Sayaka Miyata
今回紹介するのは、洞爺湖の名物「わかさいも」。「いも」という名前がついていますが、芋は使用されていません。おまけに中からきざみ昆布が!? さつまいもの穫れない北海道で、「やきいも」を表現した、ユニークなお菓子なんです。でもそのおいしさは本物。芋好きにこそ食べてほしい! 北海道のおすすめ土産「わかさいも」を実食ルポで紹介します。
【北海道のお土産22選】定番人気や空港限定商品もすべて実食ルポ
Jan 13th, 2023 | TABIZINE編集部
北海道といえばお土産の宝庫! たくさんあって迷ってしまいますよね。今回は、スイーツはもちろんのこと、ラーメンやビール、牛乳など、定番から空港限定商品まで人気のお土産22品をすべて実食ルポで紹介します。
【北海道おすすめ土産】衝撃の味わい「よいとまけ」!ハスカップの野生的な酸
Jan 7th, 2023 | Chika
北海道のお土産といえば、六花亭やロイズのスイーツなど思い浮かぶものがたくさんありますが、「よいとまけ」もその一つ。ロールカステラには北海道産ハスカップジャムが使われ、甘みと酸味が融合したほかでは味わえない風味が魅力です。今回は、北海道土産「よいとまけ」を紹介します。
【久世福でご当地調味料の旅!人気記事ランキング】うに醤油からこな柚子こし
Jan 2nd, 2023 | TABIZINE編集部
バイヤーが実際に旅して見つけた、地方の心ときめく逸品を自宅の食卓で楽しむことができる産直スタイルのオンラインモール「旅する久世福e商店」(通称「たびふく」)で、「旅行家・食事家・写真家」の石黒アツシが、地方の調味料を実際にお取り寄せして、その味を土地の魅力とともに紹介する連載「久世福でご当地調味料の旅」。これまで公開した記事の人気ランキングを発表します。
北海道八雲町「脇屋シェフのにんにく醬油」はこれ1本で味が決まる!【久世福
Dec 26th, 2022 | 石黒アツシ
全国からこだわりの生産者が集まった産直スタイルのオンラインモール「旅する久世福e商店」(通称「たびふく」)。バイヤーが実際に旅して見つけた、その土地ならではのおいしさを集めたということで、地方の心ときめく逸品を自宅の食卓で楽しむことができるんです。そこで、この連載では、ご当地の銘品や特産品に目がない「旅行家・食事家・写真家」の石黒アツシが、地方の調味料に注目。実際にお取り寄せして、その味を土地の魅力とともに紹介します。第10回は北海道八雲町の「脇屋シェフのにんにく醤油」です。
【道の駅 流氷街道網走 オホーツク】人気お土産ランキングTOP8!おすす
Dec 3rd, 2022 | TABIZINE編集部
オホーツク海を望む絶好のロケーションにある、北海道の網走にある「道の駅 流氷街道網走」の人気土産ランキングTOP8を実食ルポ込みでご紹介します。「マツコの知らない世界」で取り上げられた大人気の「オホーツクの塩ラーメン(つらら)」もランクイン。必食のご当地ソフトクリームからフードコートの人気No.1メニューまで、「道の駅 流氷街道網走」を魅力を現地ルポで余すところなろなくお届けします。
【北海道では連日完売】話題のお土産「生ノースマン」が大丸東京で買えた!1
Nov 3rd, 2022 | Mayumi.W
パイ生地であんこを包んだ北海道銘菓「ノースマン」。お土産としても有名ですよね。今回、そんな「ノースマン」に、生クリームが入った「生ノースマン」が誕生! 大丸札幌店で販売したところ、なんと発売開始3週間で4万個も売れたのだとか。連日完売のお菓子が、2022年11月2日(水)〜11月15日(火)の期間限定で大丸東京店に登場しました。お店の様子や気になるお味をルポします!