知っておきたい肌の色、人種に関する表現
日本でもここ10年ほど「肌色」という表現を使わず、「薄だいだい色」もしくは「ペールオレンジ」のように表記されるようになりました。また、最近ではBLM運動にともなって大手の化粧品会社が「美白」という言葉を避けるようになるなど、人種差別になりえる表現の見直しが少しずつ進んでいます。
今回は、英語力に関係なく知っておいてほしい肌の色や人種に関する表現について触れていきたいと思います。
そもそも肌の色や人種に関することは要注意トピック!
人種だけに限らず、人権に関して意識の高い欧米では、差別になりえる考え方や表現の仕方にとても敏感です。もちろん、気心の知れた仲間、家族間で「あの子は、色白でそばかすができやすいから日焼け止めクリーム塗らないと」や「肌の色が濃いから、黒の真珠のイヤリングが映えるね」などと言うことはOKです。
気を付けたいのは、仕事中や、あまり知らない人との世間話の場面です。
「顔の作りがはっきりしてるけど、ハーフ?」
「黒人だと、みんな運動神経がいいよね」
このような会話やコメントは、欧米では避けたほうがよいと覚えておきましょう。自分では悪気がなくても、気分を害する人も多く、英語力に関係なく、日本語であっても国際的な場面では絶対に気を付けるべきトピックです。
肌の色を話題にすることはタブーではない!
肌の色の話題はタブーかというと、必ずしもそうではありません。
場面によっては、誰かを外見から表現しなければならないこともあるでしょう。例えば「背が高い眼鏡をかけている人が鈴木さんです」と表現するように、肌の色や人種で説明するほうが確実にわかりやすいこともあります。
では、肌の色や人種を表す一般的に受け入れられているフレーズは?
白人って何て言う?
日本人が思い浮かべる「白人」を表現するには、Caucasian(発音:コケイジャン)が一番一般的で、フォーマルな場面でもOK。また、WhiteもWhite female(白人の女性)、White people(白人の人たち)のように使え、こちらも安心して使える表現です。
黒人って何て言う?
実は「黒人」は、Blackが一般的に問題なく使われます。社会現象にもなっているBLM(Black lives matter)にも含まれているように、Blackを用いて黒人を表現することは差別とはされていません。
ただし、ここでものすごく重要なことがひとつあります。それは「黒人かどうかを決めるのは本人」であるということです。例えば、見た目には白人に見える人でも「お爺さんがナイジェリア人のハーフ」というような場合には「自分は黒人だ」と言う人もいます。また逆に、肌の色が濃い黒人に見える人でも「自分はスリランカ人なので黒人ではない」という人もいます。そのため、本人に不愉快な思いをされないように会話の中では「○○さんは黒人」とは言わずに、肌の色がDark(濃い)というように遠回しに表現されることが多いのも事実です。
例)Who’s Paul’s father?
ポールのお父さんて誰?
He is the dark guy always with a baseball cap.
いつも野球帽かぶってる黒人の男の人だよ。
アメリカでは、African American(アフリカ系アメリカ人)というように先祖の出身を使って表現することも多く、イギリスではアフリカ系だけでなくカリビアン出身の人も多いためBlack British(黒人のイギリス人)が一般的に使われています。
日本人(東洋人)って何て言う?
では、「日本人」は何て言う?
BlackやWhiteを黒人、白人として使うことは受け入れられていますが、Yellowを日本人や中国人の肌の色として表現するのは完全NG。
また、東洋人という意味のOriental(オリエンタル)も人種差別用語なので注意しましょう。Orientalという言葉自体は、レストランの名前になっていたり、形容詞として東洋風のエキゾチックな家具やインテリアを表現したりと普通に使えるのですが、東アジアからの人たちを指して使うことはできません。
East Asian(東アジア人)もしくは一番手っ取り早くJapaneseと言ってしまうのがおすすめです。イギリスでは、Asian(アジア人)は、ほぼ100%インド人を想像する人が多いこともお忘れなく。
絶対NGな肌の色を表す言葉 Coloured
絶対避けたい肌の色を表す表現として、Coloured(有色人種)という言葉があります。白人が、それ以外の人たちをひとくくりに表現した経緯から、現在は完全にNG!
有名人がインタビューなどで使ってしまった場合は、ネットが炎上するほどの影響力のあるワードです。あえてBlackを避けて、こちらを使うほうがいいのでは?と誤解している人も多いかもしれませんが、気を付けましょう。
ハーフって何て言う?
日本では、現在も「ハーフタレント」のように「ハーフ」という言葉がよく使われています。最近はあえて「ダブル」と言い換える人もいますが、英語ではハーフもダブルもどちらも通じません。では、英語ではどう表現する?
例)I am half Japanese, half German.
私は半分日本人で、半分ドイツ人です。
「2種類以上の人種が混じった混血の」と言う意味では、Mixed raceが一般的によく使われます。dual heritageという、もう少しフォーマルに聞こえる表現もあります。
例) My cousin is a mixed.
いとこは、混血なんだよ。
His Mom is an American and his Dad is from Greece.
彼のお母さんはアメリカ人で、お父さんはギリシャの人です。
不安な場合は事前に心遣いのひとことを
肌の色や人種についての話題はとてもデリケートですが、タブーというわけではなく、避ける必要はありません。ただし人によって感じ方やとらえ方がいろいろなので、知らないうちに誰かを傷付けていたというようなことは避けたいですよね。特に慣れない英語の場合は「もし英語で適切でない単語や表現を使ってしまったらぜひ、指摘してね。そのほうが勉強になるから」と相手にお願いしておくことも、国際人としての心遣いのひとつかもしれません。
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