
閉店を決めたはずの店が営業中!
平成30年(2018年)に訪ねた際、「消費税が上がるとき(2019年10月)に辞めるよ」と言っていた、函館市にある駄菓子屋「いっせ」。時代や地域によっては駄菓子屋のことを「一銭店屋」と呼びますが、店名も看板もないこのお店は、その名残りで「いっせ」もしくは「いっせん」という通称で呼ばれていました。

五稜郭公園から北西に1.5kmほどの住宅街の中。今回3年ぶりに函館に来たので、在りし日を偲ぶべくお店の前を通ってみたところ、なんと営業中でした!地域の駄菓子屋文化の存続という観点では大変喜ばしいことですが、あのとき「閉店はもう決めたことだから」と揺るぎない感じだったので、なぜ一転、続けることにしたのかが気になります。
昔ながらの駄菓子屋のイメージそのもの

6畳ほどの小さなお店は、自宅の倉庫だった部分を使い、昭和55年(1980年)ごろに店主のお母さんと2人で創業したとのこと。土間の感じや壁材のベニヤ、重なって積まれた駄菓子の箱や天井の落書きなど、すべてが昔ながらの駄菓子屋のイメージそのもの。ゴチャつきかたにとても趣があります。

このお店の特徴は、なによりも店主の存在です。ちょっと辛口でぶっきらぼうな感じですが、ウィットに富んでいて嫌味がなく、厳しいけれど愛のあるベテランの先生のような雰囲気。子ども・大人関係なくまったく同じ調子で話すので、自分も子どもに戻ったような感覚になりました。
「当時は家を建てたばかりで、家計の足しにしようと思って店を始めたんだけど、まあ、失敗したよね。こんなに儲からない商売、ほかにないでしょう(笑)。それにここは自宅だから、『買わせてくれ』って店が閉まってても呼びに来るんだよ、子どもが!」
「続けてくれって言われちゃうと辞めづらい」

「なんでまだ続けてるのかって?そりゃ、おもちゃの在庫が残ってるからさ。店を続けて売りきらないと(笑)。あとはやっぱりみんなの声だね。続けてくれって言われちゃうと、なんだか辞めづらいよね」

「北海道は七夕の時に『ろうそくもらい』っていって、子どもが近所の家を訪ねて回るんだ。その時にお菓子を用意しておいて渡すんだけど、だから駄菓子がよく売れる機会が内地(北海道以外の日本)よりひとつ多いと思うよ。昔はろうそくを集めて、風情があったんだけどね。今の子どもはリュックサック背負って、お菓子を回収して歩いてるだけ。まったく、わや(めちゃくちゃ)だよ(笑)」
表向きは子どもたちへの評価が厳しめですが、なんだかんだ愛情を持って接していることが受け取れる店主の言葉。直接的な表現はされませんでしたが、閉業を取りやめたのも、きっとそこが決め手だったんだと思います。今年、雪で転倒し、背骨を骨折して、しばらく入院していたとのこと。それでも再開したわけですから、間違いありません。地域のためにも、そしてご自身のためにも、健康第一で末永くお店を開け続けてくださることを、心から願っています。

いっせ(いっせん)
住所:北海道函館市富岡町2-56-21
電話:なし
営業時間:不定
定休日:不定休
※完全に店主の気分次第での営業とのことです。訪問される際はその点をご了承ください。
[All photos by Atsushi Miyanaga]
Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
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