
三角屋根に煙突のかわいらしいお店

あと1kmほどで小樽市に入ろうかという札幌市の西の端。手稲山がよく見える手稲区の住宅街に、駄菓子屋があるという情報を見つけたので訪ねてみました。角度の急な三角屋根と、突き出た煙突が印象的な、公園のすぐそばにあるかわいらしい建物。テントには「たこやき・たいやき」、外壁には「おやつ工房 ピッコロ」とあり、駄菓子とはどこにも書かれていませんが、まずは入店してみます。

店内は入ってすぐ左側に軽食を食べるスペース、右側に文房具があり、その奥はすべて駄菓子売り場になっていました。たこやき・たいやきは残念ながらすでに閉業していて、現在はフライドポテトと、夏場にかき氷を出しているとのこと。早速注文すると、かき氷がとてもノスタルジックなカップに入って出てきました。

駄菓子は、あわ玉・どんぐりガムの空き容器を再利用した陳列。統一感があり、品数も豊富です。書類ケースを転用したものもあり、管理や整理がしやすそうな見事なアイデアでした。「そういえば店内にあるイス、ゲーセンのやつだなあ」と気になって尋ねると、昔はゲームの筐体がたくさん置いてあり、学校で問題になるほどにぎわったそうです(笑)。

テレビの取材をきっかけとして駄菓子中心に

ピッコロは昭和58年(1983年)に、自宅を改装して店主が創業。店名は、当時小学生だった娘さんが、楽器のピッコロから着想して命名したそうです。働いていた日用雑貨店から独立するかたちだったため、当初は手芸用品や文房具、雑誌、クリーニングの受け付けなどが中心で、駄菓子の取り扱いは少なめだったとのこと。

ある時、テレビの取材が来ることになり、「見栄えが良くなるんじゃないか」と駄菓子をたくさん並べて出演すると、「ピッコロ=駄菓子屋」と見られるように。この出来事をきっかけに、売り物は駄菓子が中心になっていき、現在に至るそうです。

たこやき・たいやき部門は、定年退職後のご主人が平成10年(1998年)に創業。店舗以外でも移動販売やスーパーマーケットでの出張販売を行っていたそうです。五平餅など、北海道ではあまり見かけないメニューもあって人気を博していたものの、体力的な問題などで引退されたとのこと。

娘さんがたこやき・たいやきを復活予定

「店を始めて、もう40年近くになります。15年ほど前に大病をして、閉店しなきゃいけないかな、なんていう時期もあったんですよ。その時に子どもたちから『おばちゃんがいないとお菓子が買えないから、早く元気になって』なんていう手紙をもらったりして。これはまたがんばらなくちゃ、と思って復帰しました。今も絶好調というわけじゃないんですけど、子どもたちも来続けてくれるし、大人になった子たちもいまだに来てくれるし、なんとかやってますよ。遠足の前日で買い物する子が多いときなんかは、調子が悪くても無理やり開けてます(笑)」

お店の名付け親である娘さんが、現在、移動販売車を製作中だそうで、お店で眠ったままだった焼き台を組み付け、屋号はもちろん「ピッコロ」!来年には復活したたこやき、たいやきを食べることができそうです。ピッコロという駄菓子屋には、ひとつの家族が織りなす歴史がたっぷり詰まっていました。

ピッコロ
住所:北海道札幌市手稲区星置1条6-6-11
営業時間:13:00〜17:00
定休日:不定休
[All photos by Atsushi Miyanaga]

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Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
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