いながきの駄菓子屋探訪77 店主が一緒に遊んでくれる前橋市「わがじゃん」

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Jan 22nd, 2022

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は、お寺でのイベントをきっかけに地域の交流の場として始めた群馬県前橋市の「わがじゃん」です。

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レトロな雰囲気の商店街にポップな看板が出現

駄菓子屋いながきにカプセルトイを設置している業者さんが、同様にゲーム機などをリースしているという前橋市の駄菓子屋を紹介してくださったので、早速訪ねてみました。
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弁財天を祀る大蓮寺があることからその名がついた、弁天通り商店街。JR前橋駅から北へ1.5kmほどのところにあるアーケード商店街ですが、今回の目的地「わがじゃん」は、その大蓮寺の3軒となりで営業していました
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レトロな雰囲気漂うお店が立ち並ぶ中、「だがし わがじゃん」と書かれたポップな看板が目立ちます。店先にはカプセルトイや10円ゲームが置かれ、通りがかりで買い物ができるよう、駄菓子やくじ引きが詰められたワゴンも出ていました。外である程度のことが完結できるレイアウトは、アーケード商店街ならでは。郊外の駄菓子屋では見かけない光景です。

店内には無料で遊べる家庭用ゲーム機も

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店内は中央にテーブルが置かれ、無料の家庭用ゲーム機で子どもたちが遊んでいます。それを囲むようなかたちで壁側に棚があり、駄菓子やラーメン、飲み物が並んでいました。

普通の駄菓子屋であれば、テーブルの部分も駄菓子の棚になっているはず。このレイアウトの意図や、お金を使わずに長居できる点など、同業者として気になることばかりです。

大蓮寺で開催したイベントをきっかけに駄菓子屋を開店

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店主の我妻さんに伺うと、わがじゃんは平成21年(2009年)に創業。特徴的な店名は当時運営していたブログのタイトル、「我妻ジャンクション」の略称とのこと。お店を始めたきっかけは、大蓮寺で開催したイベントだったそうです。
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「大蓮寺の本山は『子育て呑龍』と言って、親のいない子どもを引き取って、弟子として育てていたというお寺。その史実にちなんだ昔遊びのイベントを境内でやらせてもらったら、子どもたちからお年寄りの方々まで、とても好評だったんです。その時、『ここで幅広い世代が交流できる常設の場所を作れたら、大蓮寺の歴史ともシンクロするし、町おこしにもなるのでは』というのが思い浮かびまして。自分は子どものころ、毎日のように駄菓子屋に通っていたので、『それには駄菓子屋が良いんじゃないだろうか!』という考えに至りました」

営業中に一緒に遊んでくれる店主

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「テーブルは、元々は外にあったんです。そうしたら、子どもたちがいつの間にか商店街でサッカーを始めちゃってたという出来事があって(笑)。それだとさすがに問題があるので、売り場は狭くなりますが、とりあえずは店内にいてもらうために、このレイアウトになりました。楽しい遊びにもルールやマナーが必要ですしね」
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子どもたちに挑まれるので、トレーディングカードゲームのデッキも用意しているという我妻さん。営業中に一緒に遊んでくれる駄菓子屋店主には、初めて出会いました!(笑)

地域の人々の交流の場・子どもたちの居場所づくり、というコンセプトが起源だった、わがじゃん。遊びに来る子どもや迎えに来るお母さん、散歩がてらにお菓子を買いに来るお年寄りの姿など、「ジャンクション」の名の通り、多くの人が交差する場所になっていました。
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わがじゃん
住所:群馬県前橋市千代田町3-3-25
営業時間:10:00~18:00
定休日:火・水+不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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